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英明コラム 3月第3週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》3月3週

【推移】
 
9日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は下落。NYダウは乱高下しているが先週末比ではプラス。2月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から27万3000人増と好調な数字で着地。市場予想は17万5000人増だった。「新型ウイルスが米国で広がり始めたのは2月末だったため感染拡大の影響を完全には反映していない。ただ労働市場に打撃を与えている兆しはない」との見方もある。
 
日経平均株価は1050円安の19698円と3日続落。取引時間中として2019年1月7日以来、約1年2カ月ぶりに2万円を割り込んだ。下落幅は一時1200円を超えた場面もあった。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速懸念や原油価格の急落が投資家心理を冷やした格好。
 
東証1部の売買代金は3兆4646億円。値上がり22銘柄、値下がり2139銘柄。新高値ゼロ。新安値1254銘柄。ニチレイ、エーザイが上昇。SBG、ファーストリテが下落。ドル円は一時101.53円まで上昇し102円台後半。長期金利は低下(債券価格は上昇)し10年国債利回りはマイナス0.155%で推移。「原油安と円高が余計だった」との声もある。市場から聞こえるのは「アルマゲドン・ブラックスワン・パンドラの箱など」と市場関係者。
 
10日(火):
夏時間となった週明けのNY市場は大幅に3日続落。NYダウは2013ドル(7.88%)安の23851ドル。下落幅は過去最大で昨年1月上旬以来の安値水準。
新型コロナウイルスの世界的な感染懸念が拡大。一時バレル27ドル台をつけた原油先物相場の急落で米エネルギー企業の業績悪化が大きく懸念された。
NYダウの過去最大の下落幅は2月27日の1190ドルだった。2月12日の過去最高値からの下落率は19.3%。高値から20%以上下落する「弱気相場」入り目前。S&P500は一時7%安となり取引を一時停止する「サーキットブレーカー」が発動され15分間売買を停止した場面もあった。国債利回りはさらに急低下し過去最低を更新。
 
日経平均株価は168円高の19867円と3日ぶりに反発。円安トレンドや原油先物の下げ止まりを好感した。東証一部の売買代金は3兆8120億円。値上がり1645銘柄、値下がり4777銘柄。野村、東ガスか上昇。コマツ旭化成が下落。
 
11日(水):
NY株式市場は4日ぶりに急反発。前日に2000ドル超下落したNYダウは1167ドル高。ただ2日の1293ドル96セントの過去最高の上昇幅には届かなかった。
3月のNYダウは△1293→▲785→△1173→▲969→△256→▲2013→△1167。4ケタの変動が4回とボラは大きい。トランプ大統領が景気を下支えするため給与税の引き下げなどの措置を協議するコメント。「政府による景気刺激策への期待から安値拾いの買いが入った」との解釈だ。「最大の恩恵は実際に何が行われるかではなく、計画があるように見えること。何かを行うという意欲が見られ、これがおそらく市場の支援材料になった」という結構いい加減な姿勢もある。1991年の湾岸戦争以来となる大幅な下落率(▲25%)を記録した原油価格は8%上昇と反発。
 
日経平均株価は451円安の19416円と昨年来安値を更新した。2018年12月26日以来の低い水準だ。後場一部報道で米国内の新型コロナウイルスの感染者が1000人を超えたと伝わり、米ダウ先物が一時700ドルまで下落を拡大。日経平均も追随する形で一段安となった。TOPIXも大幅反落で昨年来安値を更新。
東証1部の売買代金は3兆1263億円。東ガス、高島屋が上昇。KDDI、リクルートが下落。
 
12日 (木):
NY株式は大幅反落。NYダウは1464ドル安と前日の上昇幅を打ち消した。下落幅は市場2位の大きさ。直近高値からの下落率は20%を超えリーマンショック以降初めてベア相場入りした。WHOのテドロス事務局長は「新型コロナ感染拡大がパンデミックに相当する」と表明。警戒感が高まった。
 
またホワイトハウスが新型コロナの高官会議を機密扱いにするよう命じたという報道も悪材料視された。「トランプ政権による財政刺激策の詳細が見えてこないことも不透明感」という見方もある。恐怖と欲望指数は6→4。過去の指標はほぼ限界値だが、明るさは見えない。
 
日経平均株価は856円安の18559円と大幅に続落。下落幅は今年2番目の大きさ。2017年4月24日以来2年11か月ぶりに19000円台を割り込んだ。トランプ米大統領の演説が失望を誘い、日経平均は一時1000円超安となった場面もあった。TOPIXは57ポイント安の1327ポイントと2016年11月9日以来およそ3年4カ月ぶりの安値水準。
 
東証1部の売買代金は3兆7853億円。値上がり39銘柄、値下がり2117銘柄。クラボウ、ドコモが上昇。OLC、JALが下落。唯一言えるのは「現実がパンデミックであって金融危機でも貿易摩擦でもない」ということ。多元連立方程式の解を求めようとすることに無理があろうか。
 
13日(金):
NY市場は暴落。NYダウは2352ドル安と過去最大の下落幅。2度目のサーキットブレーカーも発動。下落率は約10%と1987年10月のブラックマンデー以降で最大。2017年6月の安値水準まで低下した。S&P500とNASDAQは2月に付けた最高値から20%超の下落。リーマンショック以来の弱気相場入りとなった。VIX指数は75.06と2008年11月以来の高水準。恐怖と欲望指数は4→1に低下。
 
日経平均株価は1128円安17431円と続落。前場1669円安があったが後場一時下落幅を3ケタに縮小し18000円台を回復した場面もあった。日中値幅は1490円。全面安の展開となり、1万7500円割れは16年11月11日(終値1万7455円78銭)以来ほぼ3年4カ月ぶり。下げ幅は16年6月24日(1286円33銭)以来の大きさとなった。「下ひげが底打ちシグナルになって欲しい」との声もあるがSQ値17052円は上回って幻ではない。
東証1部の売買代金は4兆8923億円。値上がり64銘柄、値下がり2099銘柄。三菱ケミ、キーエンス、OLCが上昇。KDDI、野村、ファーストリテが下落。
 
 
(2) 欧米動向
 
トランプ大統領が新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため英国を除く欧州からの入国禁止を発表。
これが警戒感の拡大につながったとの解釈だ。
世界株安は欧州株の6日続落を経て木曜のNY株安まで止まらなかった。
「市場はコロナ対策が十分でないと感じている。
これが売り継続につながっている。
市民生活が通常に戻る見通しが全く立たない」という声まで聞こえていた。
 
(3)アジア・新興国動向
 
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち全指数が下落。
 
上位1位中国週間騰落率▲4.85%、2位メキシコ▲7.98%、3位香港▲8.08%、
4位インド▲9.24%、5位マレーシア▲9.33%、6位米国▲10.36%。
下位25位イタリア▲23.30%、24位ポーランド▲22.60%、23位ロシア▲21.17%、
22位ドイツ▲20.01%、21位フランス▲19.86%、20位日本▲15.99%。
 
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・。
 
16日(月):機械受注、米NY連銀製造業景気指数、NAHB住宅価格、中国各種経済指標、下げの日、変化日
17日(火):首都圏マンション販売、米FOMC(→18日)、鉱工業生産、小売売上高、独ZEW景況感、大幅高の日
18日(水):日銀金融政策決定会合(→19日)、貿易統計、訪日外客数、米住宅着工件数、建築許可件数、パウエルFRB議長会見(経済見通し発表)
19日(木):消費者物価指数、全産業活動指数、黒田日銀総裁会見、米CB景気先行指数、フィラデルフィア連銀製造業景況感
20日(金):春分の日で休場、米中古住宅販売
22日(日):埼玉県知事選挙投開票
 
金曜日経朝刊では「パンデミック、損失100兆円」の見出し。
国連貿易開発会議(UNCTAD)の試算では新型コロナによる経済損失は1兆ドル(104億円)。
GDPを1.2%押し下げるという。
因みにSARSの時の損失額は400億ドル。
感染者は8000人だった。
今は米中欧で人の移動まで止まった。
100兆円の損失に対する漠たる不安がこの暴落の主たる背景。
小手先では効かなくなってきた印象。
一方で、先週の個人投資家は5500億円の買い越し。
18年10月以来1年5か月ぶりの大きさだった。
現物が4466億円、信用が1087億円。
見出しは「個人の逆張り鮮明」。
そして公募投信への資金流入は2377億円。
報われて欲しい。
「失神しそうなスピードの下落です。
初めての経験のような感覚です。
見たことのない数値です。
えぐいです。
歴史的な一日になりそうです」と市場関係者。
 
 
興味深かったのは昨日の参院財政金融委員会での黒田日銀総裁の発言。
日銀の保有するETFの損益分岐点は昨年9月末時点で19000円程度だとのコメント。
「その後の実績を踏まえると9月末比500円ほど切りあがった可能性がある」。
要は19500円が簿価ということと解釈される。
しかしJPモルガンの試算もある。
昨年9月末時点でTOPIXの簿価は1502ポイント、日経平均で16743円。
この乖離は何なのだろうか。
日経平均で2500円以上の乖離がある。


(兜町カタリスト 櫻井英明)

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