20日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比114ドル83セント安の4万2677ドル24セントで終えた。
前日に3月上旬以来の高値を付けた後で、主力株に持ち高調整や利益確定の売りが広がった。米長期金利が上昇したことも、株式の相対的な割高感が意識された。
S&P500種株価指数は前日まで6日続伸し、2月下旬以来の高値を付けていた。米国と貿易相手の関税交渉が進展することへの期待などが相場の上昇を支えていた。4月に付けた直近安値から急速に相場が戻った後で、上昇が目立っていたハイテク株などを中心に売りが出やすかった。
米主要経済指標の発表がなかったため、積極的な取引は手控えられた。トランプ米政権の高関税政策を巡る懸念が和らぎ、今月に入ってから19日までの13営業日でダウの上げ幅は2100ドルを超過。これまで値を上げた金融やハイテクを中心に利益確定売りが出やすい地合いだった。
トランプ大統領肝煎りの大規模減税を盛り込んだ法案に関する先行き不透明感から、ダウの下げ幅が300ドルを超える場面もあった。
高関税政策の影響で多くの企業が業績見通しの撤回や下方修正を迫られる一方、この日決算を発表したホームセンター大手ホーム・デポは通期予想を据え置いた。ただ、値上げ見送り方針を示したことで「利益が押し下げられる」(市場参加者)との懸念が浮上し、同株は0.6%安で取引を終えた。
20日の米債券市場では長期金利が4.50%前後と、前日終値(4.45%)を上回って推移した。市場では「米国の財政赤字は悪化する可能性が高く、金利の先高観が意識されている」との声が聞かれた。金利の動きを見極めたい雰囲気も強く、積極的な株買いを見送る動きにつながった。
トランプ米大統領は20日、大型減税策の成立に向けて共和党議員らに団結するように呼びかけたが、反対派の議員の説得が難航しているもようだと伝わった。米経済の先行きや財政を巡る不透明感が意識され、投資家心理の悪化につながったとの見方もあった。
個別銘柄ではアマゾン・ドット・コムやアップル、エヌビディアが売られた。アメリカン・エキスプレスやゴールドマン・サックス、キャタピラーも安い。
一方、ユナイテッドヘルス・グループやボーイング、メルクは上昇した。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日比72.749ポイント(0.37%)安の1万9142.714で終えた。前日に2月下旬以来の高値を付けた後で主力株に利益確定売りが優勢になった。アルファベットやメタプラットフォームズが下げた。S&P500種株価指数は7営業日ぶりに反落した。
【シカゴ日本株先物概況】
20日のシカゴ日経平均先物は小幅に上昇した。6月物は前日比15円高の3万7620円で終えた。この日は日経平均株価が小反発し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いがやや優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
37620 ( +90 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
37650 ( +120 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
20日の英FTSE100種総合株価指数は4日続伸し、前日比81.81ポイント(0.94%)高の8781.12と3月上旬以来、約2カ月半ぶりの高値で終えた。公益やたばこ、日用品関連など景気動向に左右されにくい銘柄への買いが続き、指数を支えた。決算など個別の材料を受けた買いも指数を押し上げた。
FTSEの構成銘柄では、20日公表した2024年10月〜25年3月期決算で売上高が市場予想を上回った生命科学分野などの専門的商品・サービスを提供するディプロマが15.11%高と急騰。2025年3月期決算とあわせて自社株買いの開始を公表した通信大手ボーダフォンが7.26%高、医療機器・精密部品大手スミスグループが4.38%高で続いた。
一方、賭け屋大手エンテインは1.53%安、流通大手バンズルは1.43%安、飲料大手コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズは0.60%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
20日のドイツ株価指数(DAX)は4日続伸した。終値は前日比101.13ポイント(0.42%)高の2万4036.11と連日で最高値を更新した。ドイツのRWEなど再生可能エネルギーを手掛ける銘柄が上昇した。自動車・自動車部品や、医薬品などヘルスケア関連にも買いが優勢だった。
再エネ関連への買いは、ノルウェーの石油大手エクイノールが19日、米国での洋上風力発電施設の建設に出されていた中止命令が解除されたと公表したのが支援材料となった。他方、建設資材のハイデルベルク・マテリアルズ、ファッション通販大手ザランドが下落。化学大手BASFなど素材関連の一角に売りが出た。
個別では、人工透析製品・サービスのフレゼニウスメディカルケアが3.87%高、電力大手RWEが3.06%高、製薬大手バイエルが2.25%高と買われた半面、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズは1.62%安、通販大手ザランドは1.61%安、保険大手アリアンツは1.08%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反発し、終値は前日比0.74%高の7942.42と3月27日以来の高値となった。