16日のNYダウ工業株30種平均は続伸した。前日比331ドル99セント高の4万2654ドル74セントと3月上旬以来、約2カ月ぶりの高値で終えた。
前日まで8日続落していたユナイテッドヘルス・グループに買いが入り、ダウ平均を押し上げた。一方、消費の伸び悩みに対する懸念は根強く、ダウ平均は上値の重さも意識された。
米長期金利が低下する中、幅広い銘柄に買いが入った。また米司法省から最高経営責任者(CEO)の交代を発表したほか、2025年12月期通期の収益見通しを撤回。米司法省がメディケア(高齢者向け公的医療保険)事業における不正行為の疑いで捜査しているとも伝わり、このところ悪材料が相次いでいた。
不正行為の疑いで捜査を受けていると報じられ、前日大幅安となったユナイテッドヘルス・グループは買い戻されて6.4%上昇。ウォルマートは2.0%高。
米中は関税の引き下げで合意したと週初に発表して地合いが改善したが、米政権の通商政策を巡る先行き不透明感はなおも懸念材料となっている。市場関係者は関税による物価押し上げ圧力や消費への影響を見極めようと、来週発表されるターゲットやホーム・デポの決算に注目している。
米ミシガン大学が16日発表した消費者調査によると、5月の景況感指数(暫定値)は50.8となり、前月(確報値)の52.2から低下した。市場予想(ロイター通信調べ)の53.4も下回った。市場では「トランプ政権の関税政策やインフレ圧力の高まりを巡る不透明感があらわになった」との声が聞かれた。
週初には米中が互いの関税を引き下げることで合意したと発表。前週には米国と英国が貿易協定を結ぶことで合意した。関税交渉が進展し、世界経済が悪化するとの見方が後退したのも引き続き米株相場を支えた。16日にはトランプ米大統領が貿易相手に「今後2〜3週間で関税率を伝える」との考えを示した。具体的な税率に言及しなかったものの、悪材料視する動きは限られた。
ダウ平均の構成銘柄ではスリーエムやウォルマート、マクドナルドに買いが入った。メルクやジョンソン・エンド・ジョンソンなどヘルスケア関連も高かった。半面、シスコシステムズとボーイングは下げた。
ダウ平均は週間で1405ドル上げた。上げ幅は5週ぶりの大きさだった。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比98.783ポイント高の1万9211.102で終えた。テスラやアルファベットが上昇した。S&P500種株価指数は5日続伸した。前日比41.45ポイント高の5958.38と、2月下旬以来の高値で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比240円高の3万7995円で終えた。同日の米株式相場が堅調で、日経平均先物の買いを誘った。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
16日の英FTSE100種総合株価指数は続伸した。前日比50.81ポイント(0.58%)高の8684.56と3月26日以来、約1カ月半ぶりの高値で終えた。このところ株価水準が切り下がっていた英製薬大手アストラゼネカなどヘルスケアやエネルギーの関連銘柄に値ごろ感からの買いが入った。
米関税政策を巡り、目立った悪材料が出ていないのも投資家心理を支えた。
FTSEの構成銘柄では、たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコが3.57%高、製薬大手GSKが2.35%高、保険会社セント・ジェームズ・プレイスが2.15%高と相場をけん引。他方、鉱業大手アングロ・アメリカンは3.59%安、投資会社メルローズ・インダストリーズは2.14%安、産銅大手アントファガスタは1.89%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
16日のドイツ株価指数(DAX)は続伸した。終値は前日比71.84ポイント(0.30%)高の2万3767.43と再び最高値を更新した。週間としては5週連続の上昇となる。
個別では、防衛大手ラインメタルが2.44%高で前日に続き上昇率トップ。ドイツ取引所は1.50%高、不動産大手ボノビアも1.44%高と買われた。半面、エネルギー大手イーオンは2.89%安、化学大手BASFは2.25%安、高級車メーカーのポルシェは1.91%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は続伸し、前日比0.42%高で終えた。終値は7886.69と3月下旬以来の高値となった。眼鏡メーカー大手のエシロール・ルックスオティカや製薬のサノフィが上昇。仏タレスなど防衛関連が上げた。一方で欧州鉄鋼大手アルセロール・ミタル、化粧品大手ロレアルが下げた。