《マーケットストラテジーメモ一覧へ》
《マーケットストラテジーメモ》11月 第3週
11日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って上昇。S&P500は一時、初の6000ポイント台乗せ。週間では4.66%高と2023年11月以来1年ぶりの上昇率。終値ベースで今年50回目の最高値を更新した。ナスダック総合は2か月ぶりの上昇。3日連続で最高値を更新。ラッセル2000は週間で8.51%上昇。20年4月以来最大の週間上昇率を記録した。日経平均株価は32円高の3万9533円と小幅続伸。前週末の米株高や外国為替市場での円安・ドル高の進行を受けた買いが優勢の展開。TOPIXは続落。東証プライムの売買代金は4兆2256億円。アドテスト、スズキが上昇。信越化、ダイキンが下落。日経VIは23.71。
12日(火):
週明けNY株式市場で主要3指数は揃って上昇し過去最高値を更新。S&P500は終値ベースで初の6000ポイント台乗せ。終値ベースで今年51回目の最高値を更新。テスラは時価総額が9%増加し1兆1000億ドルを超え。ウェルズ・ファーゴやJPモルガンなど銀行株への買いがNYダウを押し上げた。中小型株で構成するラッセル2000は1.5%上昇。2021年11月以来の高値水準。中小企業はトランプ氏の減税案や規制緩和の恩恵を受けるとの見方。
日経平均株価は157円安の3万9376円と3日ぶりに反落。前場は米株高を支えにした買いが優勢だったが、後場は株価指数先物への売りが主導して日経平均は400近く下げる場面があった。TOPIXは3日ぶりに反発。東証プライムの売買代金は5兆158億円。トヨタ、清水建が上昇。テルモ、ファナックが下落。
13日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反落。楽観的な見方が後退。ECB当局者が「米新政権による保護主義政策が世界経済の成長を阻害する恐れがある」と警告。欧州株が2%下落したあおりを受けた格好。大統領選挙日以降40%近く上昇していたテスラが下落。中小型株のラッセル2000指数も反落。「国債利回りの上昇が株価の重し」という解釈。
日経平均株価は654円安の3万8721円と続落。1週間ぶりに3万9000円を割り込んだ。前日の欧米株安の流れを引き継ぎ、幅広い銘柄に売りもの優勢の展開。日経平均の下落幅は一時700円を超えた。TOPIXは反落。東証プライムの売買代金は4兆9077億円。東エレ、フジクラが上昇。レゾナック、ネクソンが下落。下向きの25日線(38964円)を6日ぶりに下回った。
14日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウとS&P500は小幅反発。10月の消費者物価指数(CPI)は、前年比2.6%上昇。市場予測通りの着地だった。経営危機に陥っている格安航空会社(LCC)のスピリット航空が59%急落。新興EVメーカーのリビアンは13.7%急伸。ビットコインは2.75%高の9万0734ドルと初の初の9万ドル台。
日経平均採用銘柄のEPSは2425円まで低下。
直近ピークは10月15日の2514円。
15日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って下落。「年内の追加利下げへの期待が後退した」との解釈。市場の注目はトランプ政策に映っていたのに「また金利ですか」という印象。「45日ルール」での売りもあったかもしれない。10月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比2.4%上昇。伸びは前月の1.9%から加速。市場予想の2.3%を上回った。SOX指数は5日続落。ファンド解約の45日ルールは通過。
日経平均株価は107円高の3万8642円と4日ぶりに反発。上場幅は一時500円を超えたが、大引けにかけて急速に伸び悩んだ。円は156円台後半まで下落し約4カ月ぶりの安値を付ける場面があった。オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングが2030年の売上高目標を据え置き強気の姿勢を維持。ディスコなど半導体関連が大幅高となった。TOPIXは3日ぶりに反発。東証プライムの売買代金は4兆6014億円。東エレク、トヨタが上昇。リクルート、京セラが下落。
(2)欧米動向
S&Pのバリュエーション(投資尺度)が上昇。
S&P500の1年先の予想PER(株価収益率)は7日時点で22.2倍。
過去5年や10年、20年の平均を大きく上回っている。
21年4月27日以来ほぼ3年半ぶりの高水準。
3カ月前の8月7日時点は19.7倍。
S&P500は14.9%上昇した一方1年先の予想1株利益(EPS)は1.9%の増加にとどまった。
S&P500のPERは00年3月23日に24.4倍だった。
(3)新興国動向
上海と深センの証券取引所の売買代金は13日まで7日連続で2兆元(約43兆円)を上回り過去最長。
木曜は反落となった。
ただ信用取引残高は2015年の株式バブル前の水準となっている。
個人投資家は銀行預金から株式市場に大きく資産を移している兆候が見られる。
中国の家計貯蓄は10月に5700億元減。
4月以来の大幅な減少となった。
(兜町カタリスト 櫻井英明)
15日の東京株式市場は反発後、堅調な展開か。
日経平均株価の予想レンジは、3万8500円-3万9000円を想定。(14日終値3万8535円70銭)
米国株は下落。ダウ平均は207ドル安の43750ドルで取引を終えた。
日経平均株価はきのう14日まで3日続落し、終値ベースで1000円近い下落となっている反動から、リバウンド狙いの買いが先行するとみられる。
為替相場は、ドル・円が1ドル=156円台の前半(14日は155円83-85銭)と円安方向にある一方、ユーロ・円が1ユーロ=164円台の半ば(同164円41-45銭)と小動き。市場では、円安進行を背景に日銀が追加利上げに踏み切るとの見方もあり、買い一巡後は上値が重くなる場面も想定される。
シカゴ日経平均先物の円建て清算値は、14日の大阪取引所清算値比390円高の3万8970円だった。
【好材料銘柄】
■FRONTEO <2158>
上期経常が黒字浮上で着地・7-9月期は8.4倍増益。
■極楽湯ホールディングス <2340>
上期経常が5.1倍増益で着地・7-9月期も3倍増益。
■Hmcomm <265A>
1-9月期(3Q累計)経常は1億1600万円・通期計画を超過。
■Sapeet <269A>
今期最終は黒字浮上で5期ぶり最高益更新へ。
■STIフードホールディングス <2932>
今期経常を7%上方修正・最高益予想を上乗せ、配当も10円増額。
■オイシックス・ラ・大地 <3182>
上期経常が57%増益で着地・7-9月期も2.4倍増益。
■ビーロット <3452>
1-9月期(3Q累計)経常は62%増益・通期計画を超過。
■エムアップホールディングス <3661>
今期経常を15%上方修正・最高益予想を上乗せ。
■アイビーシー <3920>
今期経常は17%増で2期連続最高益、4円増配へ。
■マクロミル <3978>
CVCファンド系TJ1がTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化を目指す。TOB価格は1株1150円で14日終値を40.1%上回る水準。買い付け期間は11月15日から12月26日まで。
■UUUM <3990>
フリークアウト・ホールディングス <6094> がTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化を目指す。TOB価格は1株532円で14日終値を45.8%上回る水準。買い付け期間は11月15日から12月26日まで。
■フェイス <4295>
MBO(経営陣が参加する買収)による株式の非公開化を目指す。平澤創社長が代表を務めるGenesis1がTOB(株式公開買い付け)を実施する。TOB価格は1株1220円で14日終値を3.2倍上回る水準。買い付け期間は11月15日から12月26日まで。
■NEXYZ.Group <4346>
前期経常が上振れ着地・今期は30%増益へ。
■Finatextホールディングス <4419>
上期経常が黒字浮上で着地・7-9月期も黒字浮上。
■ギフティ <4449>
7-9月期(3Q)経常は59%増益、今期配当を10円に修正。
■フリー <4478>
7-9月期(1Q)経常は黒字浮上で着地。
■イーエムシステムズ <4820>
今期経常を41%上方修正・7期ぶり最高益、配当も13円増額。
■AnyMind Group <5027>
今期最終を17%上方修正・最高益予想を上乗せ。
■BBDイニシアティブ <5259>
今期最終は31%増で2期連続最高益更新へ。また、株主優待制度を導入。毎年3月末と9月末時点で500株以上を保有する株主を対象に、保有株数と保有期間に応じて年間4万~7万円分のデジタルギフトを贈呈する。
■トレンダーズ <6069>
上期経常が39%増益で着地・7-9月期も79%増益。
■鈴茂器工 <6405>
上期経常は2.3倍増益で上振れ着地。
■エスユーエス <6554>
今期経常は26%増で2期連続最高益、前期配当を5円増額・今期は5円増配へ。
■ジーニー <6562>
今期最終を6%上方修正。
■フェローテックホールディングス <6890>
上期経常は一転2%増益で上振れ着地、今期配当を10円増額修正。また、発行済み株式数(自社株を除く)の0.42%にあたる20万株(金額で5億円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は11月15日から25年3月31日まで。
■日本ホスピスホールディングス <7061>
7-9月期(3Q)経常は12%増益、今期配当を15円に修正。
■ネットプロテクションズホールディングス <7383>
今期最終を58%上方修正・最高益予想を上乗せ。
■銀座山形屋 <8215>
自社の株主をカネヨシら3者のみとする株式併合を実施し非公開化を目指す。株式併合に伴い1株1450円に相当する金銭が交付されるように設定する。
■青山財産ネットワークス <8929>
1-9月期(3Q累計)経常は22%増益で着地。また、発行済み株式数(自社株を除く)の5.12%にあたる125万株(金額で21億円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は11月15日から25年5月14日まで。
■W TOKYO <9159>
発行済み株式数(自社株を除く)の3.05%にあたる8万2500株(金額で1億8000万円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は11月15日から25年3月31日まで。一方、7-9月期(1Q)経常は19%減益で着地。
■ノバレーゼ <9160>
ティーケーピー <3479> がTOB(株式公開買い付け)を実施し、資本業務提携を締結する。TOB価格は1株380円で14日終値を8.9%上回る水準。買い付け期間は11月15日から??年??月??日まで。
■ヤマタネ <9305>
発行済み株式数(自社株を除く)の8.72%にあたる90万株(金額で30億円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は11月15日から25年10月31日まで。
■アルファポリス <9467>
上期経常は32%増益で着地。また、12月31日現在の株主を対象に1→3の株式分割を実施。
■エアークローゼット <9557>
7-9月期(1Q)経常は20倍増益・通期計画を超過。また、株主優待制度を導入。毎年6月末時点で300株以上かつ6ヵ月以上継続保有する株主を対象に、ファッションレンタルサービス「airCloset」の月額会費1ヵ月無料クーポンを贈呈する。
■リニューアブル・ジャパン <9522>
MBO(経営陣が参加する買収)による株式の非公開化を目指す。 東急不動産らがTOB(株式公開買い付け)を実施する。TOB価格は1株1250円で14日終値を2.3倍上回る水準。
■AViC <9554>
今期経常は51%増で2期連続最高益更新へ。
【主な経済指標・スケジュール】
15(金)
【国内】
7-9月期GDP(8:50)
9月第三次産業活動指数(13:30)
5年利付国債入札
《決算発表》
SHOEI、ミルボン、あおぞら
【海外】
中国10月鉱工業生産(11:00)
中国10月小売売上高(11:00)
中国10月固定資産投資(11:00)
米11月ニューヨーク連銀製造業景気指数(22:30)
米10月小売売上高(22:30)
米10月輸出物価指数(22:30)
米10月輸入物価指数(22:30)
米10月鉱工業生産(23:15)
米10月設備稼働率(23:15)
APEC首脳会議(~11/16)
※株式スケジュールは予定の為、変更される場合があります。
14日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比207ドル33セント(0.47%)安の4万3750ドル86セントで終えた。
週初に最高値を更新した後で、主力株の一部には利益確定の売りが出た。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日夕方の講演で、米経済は堅調で「利下げを急ぐ必要があるというシグナルを発していない」と説明。今後の利下げペースを慎重に判断する姿勢を示した。
5日の米大統領選の投開票後に大幅上昇していため、利益確定売りが出やすい状況で、パウエル議長の講演を受けて一段と値下がりした。
米労働省が14日発表した10月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇と、市場予想(ロイター通信調べ)と一致。ただ、前年同月比(季節調整前)は2.4%上昇と予想(2.3%)を上回った。また、米新規失業保険申請は9日までの1週間で前週比4000件減の21万7000件と市場予想を下回り、労働市場の底堅さが示された。
米金利先物の値動きから市場が織り込む政策金利予想を算出する「フェドウオッチ」によれば、FRBが次回12月の会合で追加利下げを見送る確率は14日夕時点でおよそ4割と、前日の17.5%から高まった。ダウ平均は5日投開票の大統領選後から13日にかけて1700ドルあまり上昇。短期間で大幅に買われたことから主力株には利益確定売りが出やすかった面もある。
ただ、米株相場の下値は堅かった。ウォルト・ディズニーが14日に発表した2024年7〜9月期決算は動画配信事業の伸びを背景に売上高が市場予想を上回り、収益見通しも堅調だった。株価は6%高で終え、投資家心理の悪化に歯止めをかけた。
セールスフォースやユナイテッドヘルス・グループ、アムジェンが下落した。前日夕に決算を発表したシスコシステムズも売られた。半面、シェブロンやアップル、スリーエムは上昇した。
ナスダック総合株価指数は3日続落した。前日比123.074ポイント(0.63%)安の1万9107.651で終えた。テスラやアルファベットの下げが目立った。
NYダウ 43750.86 ( -207.33 )
S&P500 5949.17 ( -36.21 )
NASDAQ 19107.65 ( -123.07 )
米10年債利回り 4.436 ( -0.028 )
NY(WTI)原油 68.70 ( +0.27 )
NY金 2572.9 ( -13.6 )
VIX指数 14.31 ( +0.29 )
【シカゴ日本株先物概況】
14日のシカゴ日経平均先物は横ばいだった。12月物は前日と同水準の3万8970円で終えた。
NYダウ平均は、10月生産者物価指数(PPI)がやや強めだったことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が利下げを急ぐ必要がなくなったと発言したことが相場の重しとなった。
この日は日米株式相場がともに下落したものの、シカゴ市場の日経平均先物は方向感を欠く展開となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38970 ( +390 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38995 ( +415 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
14日のFTSE100種総合株価指数は続伸し、前日比40.86ポイント(0.50%)高の8071.19で終えた。12日に約3カ月ぶりの安値となるなど、このところ下落基調にあったため、目先の自律反発を見込んだ買いが優勢となった。
英BPなどエネルギー株に買いが集まった。電力・ガス供給のナショナル・グリッドといった公益や、蒸留酒大手ディアジオなど飲食料品・たばこに買いが優勢だった。
FTSEの構成銘柄では、小売り大手B&Mヨーロピアン・バリュー・リテールが5.00%高、蒸気システム大手スパイラックス・サーコが4.71%高、資産運用大手シュローダーが4.62%高と上げを主導。一方、医療機器のコンバテックは3.51%安、信用リスク管理サービス会社エクスペリアンは2.87%安、投資会社メルローズ・インダストリーズは2.64%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
14日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発し、前日比260.59ポイント(1.37%)高の1万9263.70で終えた。好調な決算など個別材料を踏まえた銘柄への買いが、相場を押し上げた。
個別では、14日発表した2024年9月通期決算は純利益が過去最高となり、受注額は市場予想を上回った総合電機大手シーメンスが4.91%高、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが4.64%高、24年12月通期の調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)見通しを引き上げた通信大手ドイツテレコムが3.30%高と買われた半面、医薬大手メルクは3.37%安、防衛大手ラインメタルは1.12%安、電力大手RWEは0.69%安で引けた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3営業日ぶりに反発し、前日比1.31%高で終えた。ハイテク株を中心に買いが膨らんだ。良好な決算を発表した銘柄がけん引役となり、通信株やエネルギー株も値上がりした。