【寄り付き概況】
13日の日経平均株価は続落で始まった。始値は前日比58円94銭安の3万9317円15銭。
前日の欧州株市場では主要国の株価が総じて軟調となり、トランプ次期政権の対中強硬姿勢などを警戒視してリスク回避ムードが強く、下落幅も比較的大きくなった。また、米国株市場でもトランプラリーが一服し、NYダウが一時400ドルの下落をみせるなど利益確定の動きに押された。
これを受け東京株式市場でも投資家のセンチメントが冷やされ、足もとで見送りムードとなっている。
外国為替市場でドル高・円安が進んでいることは輸出セクターなどを中心に株価の下支え材料となるが、日本時間今晩に発表が予定される10月の米消費者物価指数(CPI)を控え、積極的な買いは見込みにくいだろう。
12日に2025年3月期(今期)の連結純利益予想を上方修正した東エレクは一時、前日比7%高となった。12日発表の24年4〜9月期の連結決算(国際会計基準)で、最終損益が1兆53億円の黒字(前年同期は1兆4087億円の赤字)だったソフトバンクグループ(SBG)も大きく上昇し、2銘柄で日経平均を140円程度押し上げている。
東証株価指数(TOPIX)は反落している。
個別では、ファストリやアドテストが安い。テルモや中外薬、第一三共が下落した。一方、スクリンやレゾナックが高い。トレンドや出光興産が上昇した。
13日の東京株式市場は、弱含みの展開か。
日経平均株価の予想レンジは、3万8900円-3万9500円を想定。(12日終値3万9376円09銭)
米国株は下落。ダウ平均は382ドル安の43910ドルで取引を終えた。
日経平均株価は、現地12日の米国株式が下落したことから、きのう12日の弱い地合いが継続し、軟調な動きとなりそう。
為替相場は、ドル・円が1ドル=154円台の半ば(12日は153円81-83銭)とやや円安方向にある一方、ユーロ・円が1ユーロ=164円台の前半(同163円51-55銭)と小動き。多くの決算が発表されるなか、好業績や増配などを公表する銘柄への個別物色が中心になりそう。
シカゴ日経平均先物の円建て清算値は、12日の大阪取引所清算値比150円安の3万9260円だった。
【好材料銘柄】
■タスキホールディングス <166A>
今期経常は2.1倍増益、前期配当を1円増額・今期は19円増配へ。
■朝日工業社 <1975>
今期経常を一転27%増益に上方修正・最高益、配当も40円増額。
■ウェルディッシュ <2901>
上期最終は黒字浮上・通期計画を超過。
■川田テクノロジーズ <3443>
今期経常を31%上方修正、配当も10円増額。
■ブロードリーフ <3673>
今期最終を39%上方修正。
■中越パルプ工業 <3877>
今期経常を4%上方修正、配当も10円増額。
■レゾナック・ホールディングス <4004>
今期経常を21%上方修正。
■プレイド <4165>
今期営業は2.6倍増益へ。
■ヤプリ <4168>
今期最終を65%上方修正。
■東京応化工業 <4186>
1-9月期(3Q累計)経常が45%増益で着地・7-9月期も2.1倍増益。また、発行済み株式数(自社株を除く)の2.05%にあたる250万株(金額で70億円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は11月13日から25年1月31日まで。
■エクサウィザーズ <4259>
上期経常が赤字縮小で着地・7-9月期は黒字浮上。
■JDSC <4418>
7-9月期(1Q)経常は黒字浮上で着地。
■アール・エス・シー <4664>
上期経常を一転6%増益に上方修正、通期も増額。
■新日本製薬 <4931>
今期経常は10%増で9期連続最高益、7円増配へ。また、発行済み株式数(自社株を除く)の2.50%にあたる54万株(金額で11億円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は11月13日から12月12日まで。
■Laboro.AI <5586>
今期経常は37%増で2期ぶり最高益更新へ。
■エイチワン <5989>
上期最終が23倍増益で着地・7-9月期も3.7倍増益。
■THK <6481>
発行済み株式数(自社株を除く)の16.31%にあたる2000万株(金額で400億円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は11月13日から25年11月12日まで。一方、今期最終を一転34%減益に下方修正。
■シャープ <6753>
上期最終は4.6倍増益・通期計画を超過。
■名村造船所 <7014>
今期経常を一転20%増益に上方修正・11期ぶり最高益、配当も5円増額。
■ヴィア・ホールディングス <7918>
上期経常は3.4倍増益で着地。また、株主優待制度を拡充。優待割引券の割引額を1000円につき250円?500円(50%割引)に引き上げる。年間5000~4万円相当の贈呈となる。
■東京エレクトロン <8035>
今期経常を10%上方修正・最高益予想を上乗せ、配当も52円増額。また、発行済み株式数(自社株を除く)の0.8%にあたる350万株(金額で700億円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は11月13日から25年1月31日まで。
■青山商事 <8219>
今期経常を4%上方修正、配当も66円増額。
【主な経済指標・スケジュール】
13(水)
【国内】
10月国内企業物価指数(8:50)
30年利付国債入札
《決算発表》
ENEOS、楽天G、TOPPANHD、ミツコシイセタン、ロート、クラレ、小田急、すかいHD、博報堂DY、三浦工、ニッパツ、デクセリアルス、堀場製、ラクス、上 組、ペプチド、トライアル、タウンズ、Aiロボティク、ROXX、カウリス、アスア
【海外】
米10月消費者物価指数(CPI)(22:30)
米10月財政収支(11/14 4:00)
《米決算発表》シスコシステムズ
《アジア決算発表》
テンセント・ホールディングス
※株式スケジュールは予定の為、変更される場合があります。
12日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比382ドル15セント(0.86%)安の4万3910ドル98セントで終えた。
トランプ次期米大統領による規制緩和への期待を背景に相場をけん引してきた金融大手ゴールドマン・サックスなどが売られた。長期金利の上昇も相場を圧迫し、ダウの下げ幅は一時400ドルを超えた。
トランプ氏を支援する米実業家イーロン・マスク氏率いる電気自動車(EV)大手テスラは6.2%安。同株もナスダックを押し上げてきたが、高値警戒感から売りが先行した。翌13日に10月の米消費者物価指数(CPI)発表を控えて様子見ムードも漂う中、投資家が重視するS&P500種株価指数は米大統領選後、終値ベースで初めて下落して取引を終えた。
トランプ氏の勝利とともに連邦議会選で共和党が上院の多数派議席を獲得し、下院でも共和党が過半数を占める可能性が高まっている。大統領と上下両院すべてを共和党が制する「トリプルレッド」となれば、トランプ氏の掲げる政策が実現しやすくなる。規制緩和や現行の所得税減税の恒久化、法人税減税などへの期待は高い。一方、移民政策の強化や関税引き上げなどの米経済への影響を懸念する声もあった。
米債券市場で長期金利が前週末の4.30%から4.4%台に上昇(債券価格は下落)した。足元の米景気の底堅さに加え、次期トランプ政権の政策がインフレの再加速や財政赤字の拡大につながる可能性が意識されている。金利上昇で株式の相対的な割高感が強まることへの懸念も投資家心理の重荷だった。
ダウ平均ではアムジェンやボーイング、メルクなどが売られた。12日に四半期決算を発表したホーム・デポも安い。一方、アクティビスト(物言う株主)による株式取得が明らかになったハネウェル・インターナショナルが高い。エヌビディアやマイクロソフト、アマゾン・ドット・コムも上げた。
ナスダック指数は6営業日ぶりに反落した。前日比17.362ポイント(0.08%)安の1万9281.401で終えた。ブロードコムやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)などが安い。一方、ネットフリックスが上昇した。
NYダウ 43910.98 ( -382.15 )
S&P500 5983.99 ( -17.36 )
NASDAQ 19281.40 ( -17.36 )
米10年債利回り 4.428 ( +0.122 )
NY(WTI)原油 68.12 ( +0.08 )
NY金 2606.3 ( -11.4 )
VIX指数 14.71 ( -0.26 )
【シカゴ日本株先物概況】
12日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比375円安の3万9260円で終えた。
NYダウ平均は、史上最高値を連日更新した反動から利食い売りが優勢となり、3営業日ぶりに反落した。
この日は米主要株価指数が下落し、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが広がった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39260 ( -150 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39300 ( -110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
12日のFTSE100種総合株価指数は反落し、前日比99.42ポイント(1.22%)安の8025.77と8月上旬以来、約3カ月ぶりの安値で終えた。米国の次期政権下で米中関係が悪化しかねないとの懸念などを背景に12日の中国・上海や香港の株式相場が下げ、投資家心理を冷やした。
銅やアルミニウムといった非鉄金属の先物や貴金属の相場が下落しスイスのグレンコア、英アングロ・アメリカンといった資源株の下げにつながった。エネルギーや銀行を含め、幅広い業種で売りが優勢となった。
FTSEの構成銘柄では、12日公表した2024年4〜9月期決算で売上高が市場予想を下回った通信大手ボーダフォンが8.19%安、産金大手フレスニロが7.84%安、住宅大手ビストリー・グループが5.56%安と下げを主導した。
一方、通期業績予想を上方修正した医療機器のコンバテックは22.07%高と急伸したほか、複合企業DCCも14.18%高と大きく買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
12日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比414.96ポイント(2.13%)安の1万9033.64と10月上旬以来の安値で終えた。米国の次期政権の顔ぶれに市場参加者の関心が向かうなかで12日の中国・上海や香港などの株式相場が下落し、投資家心理が悪化した。
12日の米株式市場で主要な株価指数が下げ幅を広げると、DAXも取引終了にかけて一段と下落した。
個別では、2024年12月期通期の調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)見通しを下方修正した製薬大手バイエルが14.50%安、化学品商社ブレンタークが8.16%安、化学大手BASFが4.28%安。半面、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは3.66%高、防衛大手ラインメタルは1.59%高、医療機器のザルトリウスは0.17%高で引けた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比2.69%安の7226.98と8月上旬以来、約3カ月ぶりの安値で終えた。幅広い業種・銘柄に売りが広がり、同指数を構成する40銘柄のうち半導体のSTマイクロエレクトロニクス(スイス)を除く39銘柄が下落した。