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[9678]カナモト

[06月19日更新]

カナモトは上値試す、24年10月期2Q累計2桁増益で通期も2桁増益予想

 カナモト<9678>(東証プライム)は建設機械レンタルの大手である。成長戦略として国内営業基盤拡充、海外展開、内部オペレーション最適化によるレンタルビジネス収益力向上を推進し、環境対策機への資産シフトなどサステナビリティへの取り組みも強化している。24年10月期第2四半期累計は2桁増益で着地した。建設機械レンタル需要が堅調に推移し、レンタル価格適正化などの施策も寄与した。そして通期の2桁増益予想を据え置いた。レンタル用資産稼働率向上に向けた各種施策の強化を強化し、先行投資による費用増を吸収する見込みだ。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して年初来高値を更新した。1倍割れの低PBRも評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
 
■建設機械レンタルの大手
 
 建設機械レンタルの大手で、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタル、福祉用具レンタルなども展開している。M&Aも積極活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。営業拠点数は23年4月に太田営業所(群馬県太田市)および東川機械センター(北海道上川)をオープンし、単体ベース231拠点、グループ合計575拠点となった。海外は7ヶ国に拠点展開している。
 
 M&A・グループ再編では21年4月に子会社アシストが同じく子会社化のコムサプライを吸収合併、21年5月にシステムソリューション商社の岩崎(札幌市)と業務提携、21年9月に子会社のニシケンが同じく子会社の九州建産を吸収合併、22年6月に子会社のサンワ機械リースを吸収合併、22年7月に子会社のNEK(岩手県奥州市)がセントラル(岩手県奥州市)から建設機械等リース・レンタル・販売事業を譲り受けて社名をセントラルに変更、23年11月に子会社のニシケンが同じく子会社の第一機械産業を吸収合併した。
 
 23年10月期は、建設関連事業の売上高が22年1月期比4.5%増の1780億87百万円で営業利益(調整前)が10.4%減の103億09百万円、その他事業鉄鋼関連、情報関連、福祉関連の売上高が10.2%増の193億93百万円で営業利益が7.1%減の11億44百万円だった。
 
 建設関連事業の地域別レンタル売上比率は、北海道地区が23.0%、東北地区が22.6%、関東甲信越地区が22.3%、西日本地区が13.1%、九州・沖縄地区が15.3%、海外が3.7%だった。
 
 収益面では建設工事の影響を受けやすく、売上高が第4四半期(8〜10月)から第1四半期(11月〜1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2〜4月)および第3四半期(5〜7月)は減少する季節特性がある。なお収益認識会計基準適用に伴って建設機械等レンタル基本約款の改定を行い、21年11月から売上認識の始点を従来の出荷日基準から引渡日基準に変更した。
 
■サステナビリティを意識した事業展開を推進
 
 中期経営計画「Creative 60」の目標値には最終年度24年10月期の売上高2053億円、営業利益141億円、ROE6.1%、EBITDA617億円などを掲げ、さらに2030年ビジョンでは2030年に売上高2250億円、営業利益200億円、ROE8%以上、総還元性向50%超を目指すとしている。
 
 成長に向けた重点戦略として国内営業基盤拡充、海外展開、内部オペレーション最適化によるレンタルビジネスの収益力向上を推進するとともに、環境対策機への資産シフトなどサステナビリティを意識した取り組みや、さまざまな社会環境変化(トランスフォーメーション)への積極対応による事業のレジリエンスを強化する方針としている。
 
 国内営業基盤拡充では、グループの総力を結集して既存エリアの深掘り、未進出エリア・低シェア領域の開拓、非建設分野への進出を推進している。さらに今後の強化分野として、維持補修分野への参入強化、再生可能エネルギー分野への参入強化、ICT・IoTソリューションの開発、地方再強化などを推進する。
 
 海外展開では、海外戦略2.0(Next Generation)へのバージョンアップによって、グローバルポートフォリオの最適化、カナモト版グローバルプラットフォームの確立、ノンオーガニック戦略(海外でのM&Aの取り組み)、海外売上比率10%への布石を推進している。
 
 内部オペレーションの最適化では、レンタルビジネスの収益性向上に向けた営業戦略とITの融合、商品企画・研究開発への資源投資、工事現場に必要な技術・システムの開発、業務効率向上、原価コントロール、長期的な安定稼働、人財の確保・育成などを推進している。
 
 また、従業員の健康確保やワークライフバランスの改善を図り、より働きやすい職場環境を目指すため、23年3月より人事制度を改定して4週8休へ移行した。また23年3月には公益財団法人カナモト財団を設立した。同社の金本寛中代表取締役会長が21年4月に設立した一般財団法人カナモト財団が、公益認定等委員会の答申を経て北海道知事より認定を受け、公益財団法人として発足した。24年3月にはカーリングの一般社団法人ロコ・ソラーレとスポンサー契約を締結した。スポーツへの支援を通じてスポーツ振興と地域活性化に貢献する。また24年3月には、経済産業省が認定する健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2024(大規模法人部門)に認定された。
 
 環境対策機への資産シフトなどによってサステナビリティへの取り組みも強化している。21年7月には、ESG経営に基づくガバナンス強化に向けて、金融安定理事会(FSB)によって設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに参画した。21年12月には自社HPにサステナビリティページを開設した。23年9月には、同社が事務局を務める一般社団法人環境ロボティクス協会(ERA)主催「水中ドローンスクール福島いわき校」が開校した。
 
 24年1月には環境配慮型バイオ燃料発電機のレンタル開始を発表した。24年2月には、Gachacoが提供する電動二輪車向けバッテリー交換ステーション「Gachacoステーション」を、東京都港区の自社敷地内に設置した。環境に優しい電動機器の利用促進に貢献する。24年4月には、加藤製作所<6390>から導入する不整地運搬車「IC70R」2台を対象にした「土砂運搬可視化システム」の運用を開始した。また、キーボックスを使用した無人レンタカー「フルタイム・レンタルサービス」の本格的な運用を開始した。
 
 なお23年12月には東京証券取引所の要請を踏まえて「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を決議した。2030年ビジョンの達成に向けて各種取組を着実に推進し、持続的な成長と企業価値の向上に取り組む方針としている。
 
■24年10月期2Q累計2桁増益、通期2桁増益予想据え置き
 
 24年10月期連結業績予想は売上高が23年10月期比4.0%増の2053億円、営業利益が17.9%増の141億円、経常利益が14.5%増の143億円、親会社株主帰属当期純利益が23.5%増の83億円としている。配当予想は23年10月期と同額の75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。予想配当性向は32.0%となる。
 
 第2四半期累計は、売上高が前年同期比3.5%増の1006億81百万円、営業利益が16.2%増の61億88百万円、経常利益が17.6%増の64億56百万円、親会社株主帰属四半期純利益が23.9%増の36億23百万円だった。2桁増益で着地した。建設機械レンタル需要が堅調に推移し、レンタル価格適正化などの施策も寄与した。
 
 建設関連事業は売上高が2.9%増の908億15百万円、営業利益(調整前)が20.9%増の54億50百万円だった。建機レンタル需要が堅調に推移した。中古建機販売(2.6%増収)についてはレンタル用資産の運用期間延長を進めつつ、適正な資産構成の維持に向けて売却を進めた。
 
 その他事業は売上高が9.4%増の98億66百万円、営業利益が16.0%減の4億73百万円だった。鉄鋼関連、情報関連、福祉関連とも概ね底堅く推移した。
 
 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が501億18百万円で営業利益が29億85百万円、第2四半期は売上高が505億63百万円で営業利益が32億03百万円だった。
 
 通期連結業績予想は据え置いて2桁増益予想としている。建設機械レンタル需要が堅調に推移し、レンタル用資産稼働率向上に向けた各種施策の強化も寄与して、先行投資による費用増を吸収する見込みだ。第2四半期累計の進捗率は売上高49%、営業利益44%、経常利益45%、当期純利益44%である。季節特性などを考慮しても概ね順調な水準となっている。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
 
■株主優待制度は毎年10月末対象
 
 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年10月末時点の株主を対象として、保有株式数および継続保有期間に応じて優待品(北海道特産品)を贈呈している。なお5月15日に株主優待品の一部変更を発表している。
 
■株価は上値試す
 
 株価は急伸して一気に年初来高値を更新した。1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。6月18日の終値は2997円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS232円52銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3729円73銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約1161億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
 
[04月16日更新]

カナモトは調整一巡、24年10月期2桁増益予想

   カナモト<9678>(東証プライム)は建設機械レンタルの大手である。成長戦略として国内営業基盤拡充、海外展開、内部オペレーション最適化によるレンタルビジネス収益力向上を推進し、環境対策機への資産シフトなどサステナビリティへの取り組みも強化している。なお4月27日〜28日(予定)には加藤製作所<6390>とともに、被災地支援策の一環として石川県金沢市で地域の学生等を対象にショベルカーの無償教習を開催する。24年10月期は2桁増益予想としている。建設機械レンタル需要が堅調に推移し、レンタル用資産稼働率向上に向けた各種施策の強化も寄与して、先行投資による費用増を吸収する見込みだ。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は第1四半期業績を嫌気する形で反落の形となったが、調整一巡感を強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、利益確定売りをこなしながら戻りを試す展開を期待したい。
 
■建設機械レンタル大手
 
建設機械レンタルの大手で、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタル、福祉用具レンタルなども展開している。M&Aも積極活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。営業拠点数は23年4月に太田営業所(群馬県太田市)および東川機械センター(北海道上川)をオープンし、単体ベース231拠点、グループ合計575拠点となった。海外は7ヶ国に拠点展開している。
 
M&A・グループ再編では21年4月に子会社アシストが同じく子会社化のコムサプライを吸収合併、21年5月にシステムソリューション商社の岩崎(札幌市)と業務提携、21年9月に子会社のニシケンが同じく子会社の九州建産を吸収合併、22年6月に子会社のサンワ機械リースを吸収合併、22年7月に子会社のNEK(岩手県奥州市)がセントラル(岩手県奥州市)から建設機械等リース・レンタル・販売事業を譲り受けて社名をセントラルに変更、23年11月に子会社のニシケンが同じく子会社の第一機械産業を吸収合併した。
 
23年10月期は、建設関連事業の売上高が22年1月期比4.5%増の1780億87百万円で営業利益(調整前)が10.4%減の103億09百万円、その他事業鉄鋼関連、情報関連、福祉関連の売上高が10.2%増の193億93百万円で営業利益が7.1%減の11億44百万円だった。
 
建設関連事業の地域別レンタル売上比率は、北海道地区が23.0%、東北地区が22.6%、関東甲信越地区が22.3%、西日本地区が13.1%、九州・沖縄地区が15.3%、海外が3.7%だった。
 
収益面では建設工事の影響を受けやすく、売上高が第4四半期(8〜10月)から第1四半期(11月〜1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2〜4月)および第3四半期(5〜7月)は減少する季節特性がある。なお収益認識会計基準適用に伴って建設機械等レンタル基本約款の改定を行い、21年11月から売上認識の始点を従来の出荷日基準から引渡日基準に変更した。
 
■サステナビリティを意識した事業展開を推進
 
中期経営計画「Creative 60」の目標値には最終年度24年10月期の売上高2053億円、営業利益141億円、ROE6.1%、EBITDA617億円などを掲げている。さらに2030年ビジョンでは、2030年に売上高2250億円、営業利益200億円、ROE8%以上、総還元性向50%超を目指すとしている。
 
成長に向けた重点戦略として国内営業基盤拡充、海外展開、内部オペレーション最適化によるレンタルビジネスの収益力向上を推進するとともに、環境対策機への資産シフトなどサステナビリティを意識した取り組みや、さまざまな社会環境変化(トランスフォーメーション)への積極対応による事業のレジリエンスを強化する方針としている。
 
国内営業基盤拡充では、グループの総力を結集して既存エリアの深掘り、未進出エリア・低シェア領域の開拓、非建設分野への進出を推進している。さらに今後の強化分野として、維持補修分野への参入強化、再生可能エネルギー分野への参入強化、ICT・IoTソリューションの開発、地方再強化などを推進する。
 
海外展開では、海外戦略2.0(Next Generation)へのバージョンアップによって、グローバルポートフォリオの最適化、カナモト版グローバルプラットフォームの確立、ノンオーガニック戦略(海外でのM&Aの取り組み)、海外売上比率10%への布石を推進している。
 
内部オペレーションの最適化では、レンタルビジネスの収益性向上に向けた営業戦略とITの融合、商品企画・研究開発への資源投資、工事現場に必要な技術・システムの開発、業務効率向上、原価コントロール、長期的な安定稼働、人財の確保・育成などを推進している。
 
なお、従業員の健康確保やワークライフバランスの改善を図り、より働きやすい職場環境を目指すため、23年3月より人事制度を改定して4週8休へ移行した。また23年3月には公益財団法人カナモト財団を設立した。同社の金本寛中代表取締役会長が21年4月に設立した一般財団法人カナモト財団が、公益認定等委員会の答申を経て北海道知事より認定を受け、公益財団法人として発足した。24年3月にはカーリングの一般社団法人ロコ・ソラーレとスポンサー契約を締結した。スポーツへの支援を通じてスポーツ振興と地域活性化に貢献する。また24年3月には、経済産業省が認定する健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2024(大規模法人部門)に認定された。
 
環境対策機への資産シフトなどによってサステナビリティへの取り組みも強化している。21年7月には、ESG経営に基づくガバナンス強化に向けて、金融安定理事会(FSB)によって設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに参画した。21年12月には自社HPにサステナビリティページを開設した。23年9月には、同社が事務局を務める一般社団法人環境ロボティクス協会(ERA)主催「水中ドローンスクール福島いわき校」が開校した。
 
24年1月には環境配慮型バイオ燃料発電機のレンタル開始を発表した。24年2月には、Gachacoが提供する電動二輪車向けバッテリー交換ステーション「Gachacoステーション」を、東京都港区の自社敷地内に設置した。環境に優しい電動機器の利用促進に貢献する。24年4月には、加藤製作所<6390>から導入する不整地運搬車「IC70R」2台を対象にした「土砂運搬可視化システム」の運用を開始した。また、キーボックスを使用した無人レンタカー「フルタイム・レンタルサービス」の本格的な運用を開始した。
 
なお23年12月には東京証券取引所の要請を踏まえて「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を決議した。2030年ビジョンの達成に向けて各種取組を着実に推進し、持続的な成長と企業価値の向上に取り組む方針としている。
 
■24年10月期2桁増益予想
 
24年10月期連結業績予想は売上高が23年10月期比4.0%増の2053億円、営業利益が17.9%増の141億円、経常利益が14.5%増の143億円、親会社株主帰属当期純利益が23.5%増の83億円としている。配当予想は23年10月期と同額の75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。予想配当性向は32.0%となる。
 
第1四半期は、売上高が前年同期比1.2%増の501億18百万円、営業利益が3.6%減の29億85百万円、経常利益が2.1%減の32億円、親会社株主帰属四半期純利益が2.3%増の17億78百万円だった。利益面は海外事業の出遅れなどの影響で小幅営業・経常減益だったが、売上面は堅調に推移した。
 
建設関連事業は売上高が0.5%増の453億15百万円、営業利益(調整前)が1.1%減の26億33百万円だった。建機レンタルの需要が堅調に推移した。中古建機販売(11.8%減収)についてはレンタル用資産の運用期間延長を進めつつ、適正な資産構成の維持に向けて売却を進めた。
 
その他事業は売上高が9.2%増の48億03百万円で、営業利益が28.1%減の2億18百万円だった。鉄鋼関連、情報関連、福祉関連とも概ね底堅く推移した。
 
通期の連結業績予想は据え置いている。建設機械レンタル需要が堅調に推移し、レンタル用資産稼働率向上に向けた各種施策の強化も寄与して、先行投資による費用増を吸収する見込みだ。第1四半期の進捗率は売上高24%、営業利益21%、経常利益22%、当期純利益21%である。季節要因などを考慮すれば概ね順調な水準と言えるだろう。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
 
■株主優待制度は毎年10月末対象
 
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年10月末時点の株主を対象として、保有株式数および継続保有期間に応じて優待品(北海道特産品)を贈呈している。
 
■株価は調整一巡
 
23年12月8日発表の自己株式取得(上限90万株・20億円、取得期間23年12月11日〜24年8月30日)は24年3月27日に終了した。累計取得株式総数は72万400株だった。
 
株価は第1四半期業績を嫌気する形で反落の形となったが、調整一巡感を強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、利益確定売りをこなしながら戻りを試す展開を期待したい。4月15日の終値は2721円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS234円09銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3729円73銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約1054億円である。
 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[03月25日更新]

カナモトは目先的な売り一巡、24年10月期1Q小幅営業・経常減益だが通期2桁増益予想

 カナモト<9678>(東証プライム)は建設機械レンタルの大手である。成長戦略として国内営業基盤拡充、海外展開、内部オペレーション最適化によるレンタルビジネス収益力向上を推進し、環境対策機への資産シフトなどサステナビリティへの取り組みも強化している。24年10月期第1四半期は海外事業の出遅れなどの影響で小幅営業・経常減益だったが、通期の2桁増益予想を据え置いている。建設機械レンタル需要が堅調に推移し、レンタル用資産稼働率向上に向けた各種施策の強化も寄与して、先行投資による費用増を吸収する見込みだ。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は第1四半期業績を嫌気する形で反落の形となったが、目先的な売りが一巡して切り返しの動きを強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。
 
■建設機械レンタル大手
 
 建設機械レンタルの大手で、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタル、福祉用具レンタルなども展開している。M&Aも積極活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。営業拠点数は23年4月に太田営業所(群馬県太田市)および東川機械センター(北海道上川)をオープンし、単体ベース231拠点、グループ合計575拠点となった。海外は7ヶ国に拠点展開している。
 
 M&A・グループ再編では21年4月に子会社アシストが同じく子会社化のコムサプライを吸収合併、21年5月にシステムソリューション商社の岩崎(札幌市)と業務提携、21年9月に子会社のニシケンが同じく子会社の九州建産を吸収合併、22年6月に子会社のサンワ機械リースを吸収合併、22年7月に子会社のNEK(岩手県奥州市)がセントラル(岩手県奥州市)から建設機械等リース・レンタル・販売事業を譲り受けて社名をセントラルに変更、23年11月に子会社のニシケンが同じく子会社の第一機械産業を吸収合併した。
 
 23年10月期は、建設関連事業の売上高が22年1月期比4.5%増の1780億87百万円で営業利益(調整前)が10.4%減の103億09百万円、その他事業鉄鋼関連、情報関連、福祉関連の売上高が10.2%増の193億93百万円で営業利益が7.1%減の11億44百万円だった。
 
 建設関連事業の地域別レンタル売上比率は、北海道地区が23.0%、東北地区が22.6%、関東甲信越地区が22.3%、西日本地区が13.1%、九州・沖縄地区が15.3%、海外が3.7%だった。
 
 収益面では建設工事の影響を受けやすく、売上高が第4四半期(8〜10月)から第1四半期(11月〜1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2〜4月)および第3四半期(5〜7月)は減少する季節特性がある。なお収益認識会計基準適用に伴って建設機械等レンタル基本約款の改定を行い、21年11月から売上認識の始点を従来の出荷日基準から引渡日基準に変更した。
 
■サステナビリティを意識した事業展開を推進
 
 中期経営計画「Creative 60」の目標値には最終年度24年10月期の売上高2053億円、営業利益141億円、ROE6.1%、EBITDA617億円などを掲げている。さらに2030年ビジョンでは、2030年に売上高2250億円、営業利益200億円、ROE8%以上、総還元性向50%超を目指すとしている。
 
 成長に向けた重点戦略として国内営業基盤拡充、海外展開、内部オペレーション最適化によるレンタルビジネスの収益力向上を推進するとともに、環境対策機への資産シフトなどサステナビリティを意識した取り組みや、さまざまな社会環境変化(トランスフォーメーション)への積極対応による事業のレジリエンスを強化する方針としている。
 
 国内営業基盤拡充では、グループの総力を結集して既存エリアの深掘り、未進出エリア・低シェア領域の開拓、非建設分野への進出を推進している。さらに今後の強化分野として、維持補修分野への参入強化、再生可能エネルギー分野への参入強化、ICT・IoTソリューションの開発、地方再強化などを推進する。
 
 海外展開では、海外戦略2.0(Next Generation)へのバージョンアップによって、グローバルポートフォリオの最適化、カナモト版グローバルプラットフォームの確立、ノンオーガニック戦略(海外でのM&Aの取り組み)、海外売上比率10%への布石を推進している。
 
 内部オペレーションの最適化では、レンタルビジネスの収益性向上に向けた営業戦略とITの融合、商品企画・研究開発への資源投資、工事現場に必要な技術・システムの開発、業務効率向上、原価コントロール、長期的な安定稼働、人財の確保・育成などを推進している。
 
 なお、従業員の健康確保やワークライフバランスの改善を図り、より働きやすい職場環境を目指すため、23年3月より人事制度を改定して4週8休へ移行した。また23年3月には公益財団法人カナモト財団を設立した。同社の金本寛中代表取締役会長が21年4月に設立した一般財団法人カナモト財団が、公益認定等委員会の答申を経て北海道知事より認定を受け、公益財団法人として発足した。24年3月にはカーリングの一般社団法人ロコ・ソラーレとスポンサー契約を締結した。スポーツへの支援を通じてスポーツ振興と地域活性化に貢献する。また24年3月には、経済産業省が認定する健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2024(大規模法人部門)に認定された。
 
 環境対策機への資産シフトなどによってサステナビリティへの取り組みも強化している。21年7月には、ESG経営に基づくガバナンス強化に向けて、金融安定理事会(FSB)によって設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに参画した。21年12月には自社HPにサステナビリティページを開設した。23年9月には、同社が事務局を務める一般社団法人環境ロボティクス協会(ERA)主催「水中ドローンスクール福島いわき校」が開校した。
 
 24年1月には環境配慮型バイオ燃料発電機のレンタル開始を発表した。24年2月には、Gachacoが提供する電動二輪車向けバッテリー交換ステーション「Gachacoステーション」を、東京都港区の自社敷地内に設置したと発表した。環境に優しい電動機器の利用促進に貢献する。3月22日には、加藤製作所<6390>から導入する不整地運搬車「IC70R」2台を対象にした「土砂運搬可視化システム」の運用を4月から開始すると発表した。
 
 なお23年12月には東京証券取引所の要請を踏まえて「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を決議した。2030年ビジョンの達成に向けて各種取組を着実に推進し、持続的な成長と企業価値の向上に取り組む方針としている。
 
■24年10月期1Q小幅営業・経常減益、通期2桁増益予想据え置き
 
 24年10月期連結業績予想は売上高が23年10月期比4.0%増の2053億円、営業利益が17.9%増の141億円、経常利益が14.5%増の143億円、親会社株主帰属当期純利益が23.5%増の83億円としている。配当予想は23年10月期と同額の75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。予想配当性向は32.0%となる。
 
 第1四半期は、売上高が前年同期比1.2%増の501億18百万円、営業利益が3.6%減の29億85百万円、経常利益が2.1%減の32億円、親会社株主帰属四半期純利益が2.3%増の17億78百万円だった。利益面は海外事業の出遅れなどの影響で小幅営業・経常減益だったが、売上面は堅調に推移した。
 
 建設関連事業は売上高が0.5%増の453億15百万円、営業利益(調整前)が1.1%減の26億33百万円だった。建機レンタルの需要が堅調に推移した。中古建機販売(11.8%減収)についてはレンタル用資産の運用期間延長を進めつつ、適正な資産構成の維持に向けて売却を進めた。
 
 その他事業は売上高が9.2%増の48億03百万円で、営業利益が28.1%減の2億18百万円だった。鉄鋼関連、情報関連、福祉関連とも概ね底堅く推移した。
 
 通期の連結業績予想は据え置いている。建設機械レンタル需要が堅調に推移し、レンタル用資産稼働率向上に向けた各種施策の強化も寄与して、先行投資による費用増を吸収する見込みだ。第1四半期の進捗率は売上高24%、営業利益21%、経常利益22%、当期純利益21%である。季節要因などを考慮すれば概ね順調な水準と言えるだろう。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
 
■株主優待制度は毎年10月末対象
 
 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年10月末時点の株主を対象として、保有株式数および継続保有期間に応じて優待品(北海道特産品)を贈呈している。
 
■株価は上値試す
 
 23年12月8日に発表した自己株式取得(上限90万株・20億円、取得期間は23年12月11日〜24年8月30日)については、24年2月29日時点での累計取得株式総数が41万3000株となっている。
 
 株価は第1四半期業績を嫌気する形で反落の形となったが、目先的な売りが一巡して切り返しの動きを強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。3月22日の終値は2687円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS234円09銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3729円73銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約1041億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
 
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