[7636]ハンズマン
[09月20日更新]
ハンズマン<7636>(東証スタンダード)は、九州エリアにおいてDIY用品を中心とするホームセンター(HC)を展開し、23年秋には関西エリア初出店となる大阪松原店(大阪府松原市)オープンを予定している。23年6月期の業績(非連結)は大阪松原店オープンに向けた準備費用の影響で減益予想だが、関西エリアへの店舗展開で新たな成長ステージを迎える。中長期的に収益拡大を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが売り一巡して底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。
■九州エリアにおいてDIYホームセンターを展開
本社および物流センターを宮崎県都城市に置き、九州エリアにおいてDIY用品を中心とするホームセンター(HC)を展開している。DIY用品の豊富な品揃えを誇る大型店を特徴としている。
22年6月期末時点の店舗数は11店舗(宮崎県4店舗、福岡県2店舗、熊本県2店舗、鹿児島県2店舗、大分県1店舗)で、22年6月期の商品部門別売上高構成比はDIY用品57.9%、家庭用品29.4%、カー・レジャー用品12.7%だった。既存店売上高は前年比90.6%(=来店客数91.8%×客単価98.6%)で、客単価は98.6%(=1品単価101.1%×買上点数97.6%)だった。
■お客様第一主義の豊富な品揃えと質の高い接客サービスが特徴・強み
品揃えの基本方針には「お客様の声で決める、売れなくても我慢する」を掲げ、全国のお客様に感動してもらえる唯一無二のチェーンを目指し、感動の店頭体験を提供するテーマパークとして「感動の品揃え」「感動の接客」「感動の売場空間」の実現を推進している。
消費者ニーズに応えるための1店舗あたり約22万アイテムの豊富な品揃え、必要なものを必要なだけ買いたいという要望に応えるためのバラ売り・1個売り、独自の商品分類と売場レイアウト・商品陳列、商品知識豊富な従業員による接客、無料で利用できる「お客様工作室」の設置などを店舗の特徴としている。品揃えの面では、他社にはないマニアック商品を取り扱っていることが競合優位性につながっている。
接客を重視しているため、流通業において一般的となっているPOSシステムを導入せず、アナログとデジタルを融合した独自のオペレーションシステムとして、全店舗・全売場の陳列状況を可視化するシステム、お客様の要望商品を迅速かつ確実に導入するために商品情報をデジタル化するシステム、店舗から上がってきた「お客様の声」のデジタル情報を商品見本の現物に替えて本部に取り寄せる要望商品課、商品改廃を効率良く確実に行う改装システム、販売数に応じた適正在庫を維持する発注・在庫管理システム、商品検品を効率良く確実に行う検品システム、接客・売場管理能力を数値化する人事考課システムなどを構築していることも特徴である。
また、お客様第一主義で質の高い接客サービスを提供するため、1店舗あたりの人員については業界平均30名程度に対して約100名の人員を配置している。そして接客におけるコンサルティング販売能力の更なる向上に向けて、社員のDIYアドバイザー資格の取得を推進し、22年6月期末時点で取得者数は358人、正社員取得率は94.0%となっている。なお同社資料によると、21年度DIYアドバイザー資格試験合格者数は全国合計419名(最終合格率32.6%)で、このうち同社の合格者数は48名となり小売業会員別では2位の実績だった。
さらに、従業員の幸せ・満足度の向上が会社の業績(売上と利益)の向上につながるとの考え方に基づき、従業員年収の更なる向上も推進している。
■大阪松原店出店を機に関西エリアでの店舗拡大を目指す
関西エリア初出店となる大阪松原店のオープンを23年秋に予定している。約1万坪の敷地面積(イオンタウンまで含めると約1.9万坪)と約6200坪の売場面積(倉庫等を含む建物全体は約8400坪)で、業界最大級の品揃えとなる28万アイテム(同社の既存店は約22万〜23万アイテム、他社の大規模店でも約10アイテム)の計画としている。駐車台数はイオンタウンまで含めた施設全体で約1400台となる。
投資額は建物設備が約52億円、内装・器具備品が約9億円としている。商圏人口(15キロ圏)353万人を想定し、損益の見通しは初年度売上高45億円、3年目に黒字化、投資回収期間13年としている。オープン準備の進捗状況として、22年6月に店舗建設着工および土地貸借を開始し、店舗建物完成は23年夏予定としている。店舗人員は170名体制の計画で、採用は順調に進行中としている。
大阪松原店の出店により、全社ベースでの収益基盤拡大に加えて、独自商品の販売増によるボリュームメリット、大阪エリアでの優秀な人材の確保、全国規模での知名度向上と全国からの出店要請の増加などの効果も見込んでいる。大阪松原店の物流体制については、基本的には現状の仕入先を維持するが、一部の商品に関しては現地の新規取引先を開拓する方針としている。また、店舗内に大量在庫できるスペースを確保する。
■中期経営計画の目標値を見直し
中期経営計画(23年6月期〜27年6月期)については、コロナ禍の影響の長期化と積極的な販促イベントの自粛、資源・原材料価格の高騰の影響、急激な円安進行による物価上昇と個人消費への影響などを考慮して8月10日に見直しを発表した。主に既存店の売上計画を見直して、最終年度27年6月期の修正後の目標値は、売上高が400億円、営業利益が24億50百万円、経常利益が27億円、当期純利益が18億50百万円、EPSが129円、期末店舗数が12店舗、ROEが8.8%、ROAが9.6%、自己資本比率が75%とした。大阪松原店は24年6月期から寄与するが、当面は費用が先行する見込みだ。
出店戦略としては、当面は大阪松原店の出店と黒字化に注力し、その後の店舗展開も関西エリアでの店舗拡大を目指すが、中長期的には全国展開を推進し、中長期成長イメージとして10年後に14店舗体制で売上高530億円、20年後に17店舗体制で売上高800億円、30年後に20店舗体制で売上高1100億円を目指すとしている。
■23年6月期は大阪松原店オープンに向けた準備費用で減益予想
23年6月期の業績(非連結)予想は、売上高が22年6期比2.4%増の316億円、営業利益が26.4%増の14億80百万円、経常利益が23.6%減の17億円、当期純利益が24.0%減の11億58百万円としている。配当予想は22年6月期と同額の30円(期末一括)で、予想配当性向は36.6%となる。
増収減益予想としている。利益面は、増収効果(7億39百万円増加)で売上総利益が2.9%増加(2億82百万円増加)の見込みだが、大阪松原店オープン準備に伴う先行費用が増加(人件費・地代・主張旅費・不動産取得税等で前期比約5.2億円増加の約6.3億円の計画)し、さらに既存店においても人件費・福利厚生費・減価償却費・電気代等の増加を見込み、販管費が10.3%増加(8億12百万円)する見込みだ。
純利益3億65百万円減益の要因別増減分析(予想)は、売上総利益の増加で+2億82百万円、大阪松原店オープン準備に伴う先行費用の増加で▲5億21百万円、既存店の販管費増加で▲2億97百万円、営業外収益・営業外費用の減少で+10百万円、法人税等の減少で+1億60百万円としている。
なお設備投資額は、大阪松原店の建物・備品等の取得(55億円)や、既存店のレジ入替・設備改修、システム投資などで合計60億円の計画としている。設備資金の約半分は銀行借入で賄い、残りは自己資金を充当予定としている。銀行借入の増加と預金の取り崩しによって23年6月期末の現預金は22年6月期末比約23億円減少する見込みだが、自己資本比率は22年6月期末が79.5%、23年6月期末見込みが70%と高水準であり、引き続き財務面の高い健全性が維持される見込みだ。
月次売上の状況(全店、既存店とも同数値、速報値ベース)は、22年7月の売上高が前年同期比96.9%、客数が94.0%、客単価が103.1%、22年8月の売上高が100.0%、客数が97.9%、客単価が102.0%となっている。22年7月〜8月累計ベースでは売上高が98.4%、客数が95.9%、客単価が102.6%で、商品部門別にはDIY用品が98.1%、家庭用品が98.5%、カー・レジャー用品が99.2%となっている。
23年6月期は大阪松原店オープンに向けた準備費用の影響で減益予想だが、関西エリアへの店舗展開で新たな成長ステージを迎える。中長期的に収益拡大を期待したい。
■株価は底固め完了
株価は安値圏でモミ合う形だが売り一巡して底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。9月16日の終値は894円、今期予想PER(会社予想のEPS82円00銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約3.4%、前期実績PBR(前期実績のBPS1174円28銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約130億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
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