[6240]ヤマシンフィルタ
[03月30日更新]
ヤマシンフィルタ<6240>(東1)は、建設機械の油圧回路用フィルタで世界首位である。18年3月期大幅増収増益予想で、19年3月期も収益拡大が期待される。株価は1月の上場来高値から反落したが調整一巡感を強めている。
■建設機械の油圧回路用フィルタで世界首位
建設機械の油圧回路用フィルタで世界首位である。産業機械用や電子部品製造工程用のフィルタも展開している。
3月29日には米国および中国の連結子会社への生産委託を発表した。現在はフィリピンで約9割、日本で約1割を生産しているが、地政学リスクの回避、流通コストの削減、主要取引先との関係強化を目的として生産委託する。
■18年3月期大幅増収増益予想、19年3月期も収益拡大期待
18年3月期の連結業績予想は、売上高が17年3月期比24.9%増の125億円、営業利益が82.7%増の17億50百万円、経常利益が84.1%増の17億20百万円、純利益が84.4%増の11億80百万円としている。
主力の建機用フィルタの需要が高水準に推移して大幅増収増益予想である。19年3月期も収益拡大が期待される。
■株価は調整一巡感
株価(17年12月1日付で株式5分割)は1月の上場来高値1579円から反落したが、2月の直近安値1115円から下値を切り上げて調整一巡感を強めている。
3月29日の終値は1344円で、今期予想連結PERは約71倍、時価総額は約912億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月13日更新]
ヤマシンフィルタ<6240>(東2)は建機用油圧フィルタの世界最大手である。株価は全般地合い悪化で調整する場面があったが、影響は一時的だろう。中国建機市場低迷を前提とした16年3月期業績会社予想には増額余地があり、指標面も割安感のある水準だ。中国が景気・株価対策でインフラ投資拡大に乗り出せば好材料となる。反発展開だろう。
■建機用油圧フィルタの世界最大手
1956年設立(山信工業、05年に現社名に変更)で、14年10月東証2部市場に新規上場した。油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品など建機用油圧フィルタを主力として、工作機械や鉄道車両などに使用される産業用フィルタ、電子部品や食品などの製造工程に使用されるプロセス用フィルタも展開している。プロセス用フィルタではナノレベルのろ過も実現している。
15年3月期の品目別売上構成比は建機用フィルタ89%、その他11%だった。建機用フィルタの内訳はライン用(新車用)46%、補給品54%だった。建機は一定の稼働時間ごとにフィルタの交換需要が発生するため、補給品(純正補給部品)は安定収益源である。
米国や日本を代表する世界的な大手建機メーカーが主要取引先である。建機用油圧フィルタの世界最大手であり、国内ライン用(新車用)の市場シェアは約70%に達している。また中国でも現地の大手建機メーカーとの取引を開始している。
「ろ材」の自社開発からフィルタ製品化までを手がける高度な技術力が強みだ。創業期から「ろ材」を自社開発し、3つの要素(捕獲できるダストの量、捕獲できる粒子のサイズ、圧力損失)のバランスを活かして、サイズ・材質・デザインの面でも顧客満足を超える「最適ろ材」開発とフィルタ製品化を推進している。2000年には世界初のガラス繊維ろ材を使用したフィルタを製品化し、高性能フィルタのコンパクト化やロングライフ化を実現した。
開発から設計・生産・販売までの一貫体制で、販売拠点は日本、米国、欧州、中国(上海)、タイ、研究開発拠点は日本、中国(蘇州)、生産拠点は日本、フィリピン(セブ島)に展開している。米国の世界最大手建機メーカーとのさらなる取引拡大に向けて、米シカゴにも研究開発拠点を置く方針だ。
また純正補給部品の採用率向上に向けた啓蒙セミナーを、中国やアジアなどの新興国市場を中心に大手建機メーカーと共同で開催している効果で、純正補給部品採用率が大幅に上昇しているようだ。
■中期成長に向けて燃料用フィルタなど周辺分野も拡大
中期成長に向けた重点戦略として、油圧フィルタ分野のさらなる深耕、油圧フィルタ周辺分野への拡大、建機以外の新分野の育成・開拓(産業分野への本格進出)を掲げている。
油圧フィルタ分野の深耕では、製品採用率の拡大、圧倒的な競争力の強化、米国の世界最大手建機メーカーへのさらなる拡販、中国の現地大手建機メーカーとの取引開始・拡販、中国やアジアなど新興国市場における純正補給部品採用率向上促進などを推進する。
周辺分野への拡大では、燃料用フィルタ、エンジンオイル用フィルタ、トランスミッション用フィルタなどフィルタ製品のラインナップ充実、中国やアジアなど新興国市場における排出ガス規制強化に適合した燃料フィルタ製品の導入促進を推進する。
10年には米国の世界最大手建機メーカーの中型ホイールローダ向けにトランスミッション用フィルタ、11年には米国の世界最大手建機メーカーの大型ディーゼル発電機にエンジンオイル用フィルタが初搭載された。また13年には国内最大手建機メーカー向けに新興国の燃料事情に適合した燃料フィルタの供給を開始している。こうした製品の拡販を推進する方針だ。
■16年3月期は営業減益予想だが増額余地
15年3月期の配当は15年3月20日付の株式3分割を考慮すると実質増配で配当性向は24.8%だった。ROEは14年3月期比0.4ポイント上昇して7.7%、自己資本比率は同11.7ポイント上昇して67.9%となった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期比6.1%増の113億53百万円、営業利益が同3.9%減の8億35百万円、経常利益が同0.9%減の8億23百万円、そして純利益が同25.6%増の5億40百万円としている。配当予想は中間配当を開始して同1円増配の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)で予想配当性向は23.0%となる。
引き続き中国市場の建機販売やアジア・大洋州資源国の鉱山機械販売が低迷して厳しい事業環境だが、日本・北米・欧州市場が堅調に推移し、燃料用フィルタ、エンジンオイル用フィルタ、トランスミッション用フィルタなど周辺分野の新規品拡販も寄与して増収見込みだ。
なお中国市場での新車販売の低迷を受けて、大手建機メーカーは中国市場などで純正補給部品の採用率向上促進策を強化する方針だ。補給品売上の伸長に繋がるだろう。
利益面では、販管費の増加で営業利益と経常利益を微減益見込み、品質保証対応損失の一巡などで純利益を増益見込みとしている。会社予想には保守的な印象も強く増額余地があるだろう。
■中期計画で18年3月期ROE10%目標
新たに策定した中期経営計画(16年3月期〜18年3月期)では、当面は厳しい事業環境が続くことを前提に、定量目標値として18年3月期の売上高128億円、営業利益12億50百万円、ROE10%を掲げた。
売上成長性の維持に向けた重点戦略として、新規ライン品を市場投入するとともに、その補給品売上を確実に取り込む戦略を強化する。
日本のライン用では油圧用フィルタの市場シェア70%の盤石体制を構築するとともに、周辺分野の販売を開始する。北米では米国の世界最大手建機メーカー向けに油圧ショベル以外の建機用や周辺分野の拡販も強化する。中国・アジアのライン用では、中国で市場シェアを持つ現地の大手建機メーカー向けに油圧用フィルタや燃料用フィルタの拡販を強化する。また純正比率の低い中国・アジア市場で純正補給部品の採用率向上促進策を強化する。
高利益体質の確保に向けては、一段のコスト低減を推進するため、現在フィリピンで生産している製品の一部を、部品調達コストが比較的安い国内(佐賀工場)に移管することも検討する。さらに安定生産や高品質維持を実現するため生産管理体制を強化する。
研究開発面では、競争優位性の核である「ろ材」や、油圧回路以外で使用される周辺分野の製品の継続的な研究開発を推進するとともに、ICT(情報通信技術)を用いたフィルタ製品の開発も推進して3年後の新規採用を目指すとしている。
■株価は地合い悪化の影響受けたが反発期待
5月15日に株主優待制度の新設を発表した。毎年第2四半期末(9月30日)および期末(3月31日)現在で、100株以上〜1000株未満保有株主に対してQUOカード500円分、1000株以上保有株主に対してQUOカード1000円分を贈呈する。15年9月30日から開始する。
なお6月2日に株式の立会外分売を実施した。当社株式の分布状況改善ならびに流動性向上を目的とするもので、分売株数30万株、分売価格1107円だった。
株価の動き(15年3月20日付で株式3分割)を見ると、6月9日の戻り高値1196円から反落し、全般地合い悪化も影響して7月9日に1030円まで調整する場面があった。ただし影響は一時的だろう。
7月10日の終値1065円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS86円97銭で算出)は12〜13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1021円26銭で算出)は1.0倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んだが、週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下ヒゲをつけた。サポートラインを確認した形だろう。中国建機市場低迷を前提とした16年3月期業績会社予想には増額余地があり、指標面も割安感のある水準だ。中国が景気・株価対策でインフラ投資拡大に乗り出せば好材料となる。反発展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[5月28日更新]
ヤマシンフィルタ[6240](東2)は建機用油圧フィルタの世界最大手である。株価は3月の戻り高値から一旦反落したが、調整が完了して切り返す動きだ。16年3月期業績に増額余地があり、さらに増配・株主優待制度新設も評価して戻り歩調の展開だろう。
1956年設立(山信工業、05年に現社名に変更)で、14年10月東証2部市場に新規上場した。油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品など建機用油圧フィルタを主力として、工作機械や鉄道車両などに使用される産業用フィルタ、電子部品や食品などの製造工程に使用されるプロセス用フィルタも展開している。プロセス用フィルタではナノレベルのろ過も実現している。
15年3月期の品目別売上構成比は建機用フィルタ89%、その他11%だった。建機用フィルタの内訳はライン用(新車用)46%、補給品54%だった。建機は一定の稼働時間ごとに交換需要が発生するため、補給品(純正補給部品)は安定収益源である。
建機用油圧フィルタの世界最大手で、国内ライン用の市場シェアは約70%に達している。世界最大の建機メーカーである米キャタピラー社やコマツ<6301>など世界の大手建機メーカーに供給し、中国でも現地の大手建機メーカーとの取引を開始している。
「ろ材」の自社開発からフィルタ製品化までを手がける高度な技術力が強みだ。創業期から「ろ材」を自社開発し、3つの要素(捕獲できるダストの量、捕獲できる粒子のサイズ、圧力損失)のバランスを活かして、サイズ・材質・デザインの面でも顧客満足を超える「最適ろ材」開発とフィルタ製品化を推進している。2000年には世界初のガラス繊維ろ材を使用したフィルタを製品化し、高性能フィルタのコンパクト化やロングライフ化を実現した。
開発から設計・生産・販売までの一貫体制で、販売拠点は日本、米国、欧州、中国(上海)、タイ、研究開発拠点は日本、中国(蘇州)、生産拠点は日本、フィリピン(セブ島)に展開している。米キャタピラー社との取引拡大に向けて米シカゴにも研究開発拠点を置く方針だ。
また純正補給部品の採用率向上に向けた啓蒙セミナーを、中国やアジアなどの新興国市場を中心に大手建機メーカーと共同で開催し、純正採用率が大幅に上昇しているようだ。
中期成長に向けた重点戦略として、油圧フィルタ分野のさらなる深耕、油圧フィルタ周辺分野への拡大、建機以外の新分野の育成・開拓(産業分野への本格進出)を掲げている。
油圧フィルタ分野の深耕では、製品採用率の拡大、圧倒的な競争力の強化、米キャタピラー社へのさらなる拡販、中国の現地大手建機メーカーとの取引開始・拡販、中国やアジアなど新興国市場における純正補給部品採用率向上促進などを推進する。
周辺分野への拡大では、燃料用フィルタ、エンジンオイル用フィルタ、トランスミッション用フィルタなどフィルタ製品のラインナップ充実、中国やアジアなど新興国市場における排出ガス規制強化に適合した燃料フィルタ製品の導入促進を推進する。
10年には米大手建機メーカーの中型ホイールローダ向けにトランスミッション用フィルタ、11年には米大手建機メーカーの大型ディーゼル発電機にエンジンオイル用フィルタが初搭載された。また13年には国内大手建機メーカー向けに新興国の燃料事情に適合した燃料フィルタの供給を開始している。こうした製品の拡販を推進する方針だ。
5月15日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は、売上高が前々期比1.6%増の107億03百万円、営業利益が同22.5%増の8億69百万円、経常利益が同17.0%増の8億30百万円、純利益が同27.9%増の4億30百万円だった。
配当予想は年間19円(期末一括)とした。15年3月20日付の株式3分割前に換算すると年間57円で、前々期の年間40円に対して実質的に17円増配となる。なおROEは同0.4ポイント上昇して7.7%、自己資本比率は同11.7ポイント上昇して67.9%となった。
中国市場の建機販売低迷の影響を受けるという厳しい事業環境だったが、フィルタ製品のラインナップ充実効果などで北米市場が好調で、補給品も好調に推移して増収増益だった。なお2月3日の修正値(売上高と純利益を減額、営業利益と経常利益を増額)との比較で見ると売上高、営業利益、経常利益は計画を上回った。
製品別売上高は建機用フィルタが同1.0%増の94億79百万円(ライン用が同5.6%減の43億29百万円、補給品が同7.3%増の51億50百万円)、その他が同7.2%増の12億23百万円だった。
地域別売上高は日本が同0.1%増の55億25百万円、北米が同19.2%増の20億26百万円、アジアが同17.4%減の19億24百万円、その他が同25.1%増の12億25百万円だった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期比6.1%増の113億53百万円、営業利益が同3.9%減の8億35百万円、経常利益が同0.9%減の8億23百万円、純利益が同25.6%増の5億40百万円、配当予想が中間配当を開始して同1円増配の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。
引き続き中国市場の建機販売やアジア・大洋州資源国の鉱山機械販売が低迷して厳しい事業環境だが、日本・北米・欧州市場が堅調に推移し、燃料用フィルタ、エンジンオイル用フィルタ、トランスミッション用フィルタなど周辺分野の新規品拡販も寄与して増収見込みだ。新車販売の低迷を受けて、大手建機メーカーが中国市場などで純正補給部品の採用率向上促進策を強化することも補給品売上の伸長に繋がるだろう。
利益面では、販管費の増加で営業利益と経常利益を微減益見込み、品質保証対応損失の一巡などで純利益を増益見込みとしている。会社予想には保守的な印象も強く増額余地があるだろう。
新たに策定した中期経営計画(16年3月期〜18年3月期)では、当面は厳しい事業環境が続くことを前提に、定量目標値として18年3月期の売上高128億円、営業利益12億50百万円、ROE10%を掲げた。
売上成長性の維持に向けた重点戦略として、新規ライン品を市場投入するとともに、その補給品売上を確実に取り込む戦略を強化する。
日本のライン用では油圧用フィルタの市場シェア70%の盤石体制を構築するとともに、周辺分野の販売を開始する。北米では米キャタピラー社向けに油圧ショベル以外の建機用や周辺分野の拡販も強化する。中国・アジアのライン用では、中国で市場シェアを持つ現地の大手建機メーカー向けに油圧用フィルタや燃料用フィルタの拡販を強化する。また純正比率の低い中国・アジア市場で純正補給部品の採用率向上促進策を強化する。
高利益体質の確保に向けては、一段のコスト低減を推進するため、現在フィリピンで生産している製品の一部を、部品調達コストが比較的安い国内(佐賀工場)に移管することも検討する。さらに安定生産や高品質維持を実現するため生産管理体制を強化する。
研究開発面では、競争優位性の核である「ろ材」や、油圧回路以外で使用される周辺分野の製品の継続的な研究開発を推進するとともに、ICT(情報通信技術)を用いたフィルタ製品の開発も推進して3年後の新規採用を目指すとしている。
なお5月15日に株主優待制度の新設を発表した。毎年第2四半期末(9月30日)および期末(3月31日)現在で、100株以上〜1000株未満保有株主に対してQUOカード500円分、1000株以上保有株主に対してQUOカード1000円分を贈呈する。15年9月30日から開始する。
また5月25日に株式の立会外分売を発表した。当社株式の分布状況改善ならびに流動性向上を目的としている。分売予定日は6月2日〜6月5日で、分売値段は分売実施日の前日の終値もしくは最終気配値を基準として決定する。
株価の動き(3月20日付株式3分割の遡及修正後)を見ると、株式3分割を好感した3月の戻り高値1180円から一旦反落したが、1000円近辺で調整が完了して切り返す動きだ。
5月27日の終値1043円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS86円97銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1021円26銭で算出)は1.0倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を回復した。強基調への転換を確認した形だ。16年3月期業績に増額余地があり、さらに増配・株主優待制度新設も評価して戻り歩調の展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
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