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[3484]イノベーションホールディングス

[10月09日更新]

イノベーションホールディングスは戻り歩調、25年3月期は上振れ余地
 
 イノベーションホールディングス<3484>(東証プライム)(24年10月1日付で旧テンポイノベーションが持株会社体制に移行して商号をイノベーションホールディングスに変更)は、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を主力としている。転貸借物件数の増加に伴って賃料収益を積み上げるストック型ビジネスであり、旺盛な個人・小規模飲食事業者の出店需要に対応するため積極的な人材育成と仕入を継続している。25年3月期は持株会社への移行・商号変更や先行投資に係る費用などを考慮して小幅減益予想としているが、第1四半期が順調だったことを勘案すれば通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。なお11月13日に25年3月期第2四半期決算発表を予定している。
 
■飲食業の出店希望者向け居抜き店舗転貸借事業
 
 首都圏一都三県(特に東京都)において、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗(造作物が残っており、すぐに営業できる状態の物件)を転貸借する店舗転貸借事業を主力として、不動産業者とのリレーションシップ強化を主目的とする不動産売買事業、および独自の審査ノウハウを活用した店舗物件専門の家賃保証事業(22年4月に子会社を設立して事業開始)も展開している。
 
 24年10月1日付で持株会社体制へ移行し、持株会社のイノベーションホールディングスの傘下に、事業会社として店舗転貸借事業の新テンポイノベーション、不動産売買事業のアセットイノベーション、家賃保証事業のセーフティーイノベーションの3社を置く体制とした。
 
 また24年4月には、コーポレートガバナンス・コードに対する取り組みの一環として指名・報酬委員会、および支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う特別委員会を設置した。なお同社はクロップス<9428>の連結子会社だが、営業上の取引はなく経営上の独立性を確保している。
 
 24年3月期売上高構成比は店舗転貸借事業(店舗家賃保証事業含む)が95%、不動産売買事が5%、営業利益構成比は店舗転貸借事業が83%、不動産売買事業が17%で、全社売上高に占める店舗転貸借ランニング収入(賃料収入、更新手数料収入など)の比率は88.6%(23年3月期比1.9ポイント上昇)だった。
 
 不動産売買事業は不動産業者とのリレーションシップ強化も目的として、長期保有は行わず一定の資金枠内で資金効率を重視して売買を行う。24年3月期は10物件を売却、8物件を取得し、期末時点の保有物件数は4件となった。なお四半期業績は不動産売買事業のイニシャル収入によって変動する可能性があるが、ストック収益となる店舗転貸借事業のランニング収入は順調に拡大している。
 
■転貸借契約件数は増加基調
 
 店舗転貸借事業は、仲介ではなくサブリースでもなく、不動産業における第6のカテゴリーと位置付けている。不動産オーナーにとっては賃貸料収入安定、不動産会社にとっては仲介収益機会獲得、店舗出店者にとっては出店費用削減、店舗撤退者にとっては閉店コスト削減というメリットがある。また飲食業は他の産業との比較で、開業・廃業による入れ替わりが激しいため市場機会が豊富という特徴もある。さらに造作物(厨房機器、テーブル、床コンクリート、排気ダクトなど)の廃棄量を削減できるという点で、持続可能な社会の実現に貢献するビジネススキームである。
 
 保有物件数(転貸借物件数)の増加に伴って賃料収益(ランニング収入)を積み上げるストック型ビジネスモデルである。24年3月期の新規契約件数および後継付け件数(転貸借契約を解約後に次の転借人と転貸借契約を締結した物件)の転貸借成約件数の合計は23年3月期比3.3%減の466件、期末時点で転貸借契約が締結されている転貸借物件数は229件増加の2445件となった。転貸借契約物件数は着実に増加している。
 
■中期経営計画
 
 中期経営計画(ローリング方式、25年3月期〜28年3月期)では、連結業績目標値として最終年度28年3月期の売上高256億44百万円、営業利益16億45百万円、経常利益16億80百万円、親会社株主帰属当期純利益10億94百万円、転貸借成約数820件、期末転貸借物件数3994件などを掲げている。配当性向は25年3月期55.9%、26年3月期52.9%、27年3月期と28年3月期が40%〜45%とした。また長期的には31年3月期に転貸借物件数5500件を目指している。
 
 基本方針には事業用に特化した店舗転貸借事業・不動産売買事業・家賃保証事業の拡大、重点施策には採用や教育の包括的強化による営業組織のさらなる拡充、各事業の特性を踏まえた顧客獲得の仕組づくりやIT化、各事業間で顧客やノウハウを共有する等の事業シナジー追求、ノウハウのデジタル化や業務のシステム化などDX化の推進、子会社への権限移譲による企業家精神の発揮や迅速な意思決定の実現を掲げている。
 
 CSR活動としては、飲食店舗を活用した「子ども食堂」を19年6月から開催している。店舗の特性を活かして、子供達への食事提供にとどまらず、地域における居場所づくり、親御さんへの支援といった社会的インフラになることを目指している。またESG活動として、居抜き物件を活用するビジネススキームにより、産業廃棄物(造作物)の廃棄量削減に貢献している。
 
■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書
 
 22年4月の東京証券取引所の市場再編ではプライム市場へ移行し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示(21年12月15日付)した。28年3月期までに流通株式時価総額のプライム市場上場維持基準適合を図るため各種取組を推進する。
 
 具体的には、継続的な業績向上の実現によって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図るとともに、法定開示・適時開示にとどまらない積極的なIRによって市場に情報発信する。また必要に応じて流通株式比率向上に向けたテクニカルな取組も検討する。継続的な業績向上の実現では、市場開拓余地が大きく競合優位性も高い店舗転貸借事業に専門特化し、転貸借契約件数の最大化を通じてストック型収益である賃料差益の最大化を推進することで、継続的な業績向上(目途として前期比10%〜20%程度の増収増益継続)の実現を図る方針だ。
 
 23年11月には自己株式を活用した第三者割当による第3回新株予約権(行使価額修正条項および停止要請条項付、割当先は東海東京証券、下限行使価格は1198円、行使期間は23年12月7日〜26年12月7日、23年12月に払込完了)を発行した。発行新株予約権数9000個(1個につき100株)で、行使に際して交付する株式については同社が保有する自己株式90万株を活用するため新株発行を行わない。流通株式数の増加により上場維持基準の適合に資することが期待される。
 
 そして24年6月には、24年3月31日時点における計画進捗状況をリリースした。流通株式時価総額について計画どおり28年3月末までに上場維持基準を充たすため、引き続き各種取組を推進するとしている。
 
■25年3月期小幅減益予想だが上振れ余地
 
 25年3月期の連結業績予想は、売上高が24年3月期比18.1%増の168億40百万円、営業利益が6.9%減の9億07百万円、経常利益が6.9%減の9億42百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.3%減の6億30百万円としている。配当予想は24年3月期比1円増配の21円(期末一括)としている。4期連続増配で予想配当性向は55.9%となる。
 
 売上面は転貸借物件数が順調に増加して大幅増収(16期連続増収)だが、持株会社への移行・商号変更や先行投資に係る費用などを考慮している。前提としては、転貸借成約数(新規契約件数および後継付け件数の合計)が104件増加の570件、期末転貸借物件数が312件増加の2757件の計画としている。
 
 第1四半期は、売上高が前年同期比11.1%増の37億88百万円、営業利益が10.9%増の2億71百万円、経常利益が1.0%減の2億74百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.7%減の1億84百万円だった。
 
 2桁増収・2桁営業増益と順調だった。転貸借物件数が順調に積み上がり、費用抑制なども寄与した。経常利益と親会社株主帰属四半期純利益については、営業外収益で受取補償金が23百万円減少したため小幅減益だった。なお持株会社体制への移行に伴って第1四半期より全社費用の配分方法を変更したため、セグメント利益については、従来方法に比べて店舗転貸借事業が9百万円増加、不動産売買事業が9百万円減少している。
 
 店舗転貸借事業(店舗家賃保証事業を含む)は売上高が10.2%増の35億96百万円、営業利益が2億79百万円(前年同期は2億15百万円)だった。個人・小規模飲食事業者の旺盛な出店需要に対応して店舗物件の積極的な仕入を推進した。転貸借契約件数(新規契約件数+後継付け件数)は前年同期比13.4%減の103件、期末時点の転貸借物件数は前年同期末比215件増加して2487件となった。営業組織の構造改革途上のため成約件数が減少したものの、解約数が低位で推移しているため、転貸借物件数は順調に積み上がっている。
 
 不動産売買事業は売上高が29.8%増の1億92百万円、営業利益が8百万円の損失(前年同期は29百万円の利益)だった。1物件を売却、1物件を取得して期末時点の保有物件数は4件となった。人件費の増加や全社費用配分方法変更の影響で減益だった。
 
 通期予想は据え置いて、先行投資に係る費用の増加を考慮して小幅減益予想としているが、第1四半期の進捗率は売上高22%、営業利益30%、経常利益29%、当期純利益29%と順調だった。第1四半期が転貸借物件数の増加などで2桁営業増益と順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
 
■株主優待制度は毎年3月末対象、優待条件・内容を一部変更
 
 株主優待制度については毎年3月31日時点の株主を対象として実施しているが、同社へのロイヤリティの高い株主に対する還元を強化することを目的として、優待条件・内容を一部変更(詳細は会社HP参照)している。
 
 変更後は、24年3月期については24年3月31日時点で500株以上保有し、かつ1年以上継続して100株以上保有している株主にジェフグルメカード1万円分を贈呈した。25年3月期以降(25年3月31日以降)については毎年3月31日時点で500株以上保有し、かつ1年以上継続して500株以上保有している株主にジェフグルメカード1万円分を贈呈する。
 
■株価は戻り歩調
 
 株価はやや小動きだが徐々に水準を切り上げて戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。10月8日の終値は963円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS37円58銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想の21円で算出)は約2.2%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS197円73銭で算出)は約4.9倍、そして時価総額は約170億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[08月28日更新]

テンポイノベーションは反発の動き、25年3月期は1Qが2桁営業増益と順調で通期上振れ余地
 
 テンポイノベーション<3484>(東証プライム)は、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を主力としている。転貸借物件数の増加に伴って賃料収益を積み上げるストック型ビジネスである。成長戦略として旺盛な個人・小規模飲食事業者の出店需要に対応するため積極的な人材育成と仕入を継続している。25年3月期は持株会社への移行(24年10月1日付、商号をイノベーションホールディングスに変更予定)など先行投資に係る費用の増加を考慮して小幅減益予想としているが、第1四半期が転貸借物件数の増加などで2桁営業増益と順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で年初来安値を更新する場面があったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
 
■飲食業の出店希望者向け居抜き店舗転貸借事業
 
 首都圏一都三県(特に東京都)において、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗(造作物が残っており、すぐに営業できる状態の物件)を転貸借する店舗転貸借事業を主力として、不動産業者とのリレーションシップ強化を主目的とする不動産売買事業、および独自の審査ノウハウを活用した店舗物件専門の家賃保証事業(22年4月に子会社の店舗セーフティーを設立して事業開始)も展開している。
 
 なお24年10月1日付(予定)で持株会社体制に移行し、商号をイノベーションホールディングスに変更する。持株会社の傘下に、店舗転貸借事業を展開する子会社テンポイノベーション(テンポイノベーション分割準備会社を商号変更)、不動産売買事業を展開する子会社アセットイノベーション(新設)、店舗家賃保証事業を展開するセーフティーイノベーション(店舗セーフティーを商号変更)の事業会社3社を置く体制とする。なおセーフティーイノベーションについては、事業展開を本格化させるため首都圏での支店開設を予定している。
 
 また24年4月には、コーポレートガバナンス・コードに対する取り組みの一環として指名・報酬委員会、および支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う特別委員会を設置した。なお同社はクロップス<9428>の連結子会社だが、営業上の取引はなく経営上の独立性を確保している。
 
 24年3月期売上高構成比は店舗転貸借事業(店舗家賃保証事業含む)が95%、不動産売買事が5%、営業利益構成比は店舗転貸借事業が83%、不動産売買事業が17%で、全社売上高に占める店舗転貸借ランニング収入(賃料収入、更新手数料収入など)の比率は88.6%(23年3月期比1.9ポイント上昇)だった。
 
 不動産売買事業は不動産業者とのリレーションシップ強化も目的として、長期保有は行わず一定の資金枠内で資金効率を重視して売買を行う。24年3月期は10物件を売却、8物件を取得し、期末時点の保有物件数は4件となった。なお四半期業績は不動産売買事業のイニシャル収入によって変動する可能性があるが、ストック収益となる店舗転貸借事業のランニング収入は順調に拡大している。
 
■転貸借契約件数は増加基調
 
 店舗転貸借事業は、仲介ではなくサブリースでもなく、不動産業における第6のカテゴリーと位置付けている。不動産オーナーにとっては賃貸料収入安定、不動産会社にとっては仲介収益機会獲得、店舗出店者にとっては出店費用削減、店舗撤退者にとっては閉店コスト削減というメリットがある。また飲食業は他の産業との比較で、開業・廃業による入れ替わりが激しいため市場機会が豊富という特徴もある。さらに造作物(厨房機器、テーブル、床コンクリート、排気ダクトなど)の廃棄量を削減できるという点で、持続可能な社会の実現に貢献するビジネススキームである。
 
 保有物件数(転貸借物件数)の増加に伴って賃料収益(ランニング収入)を積み上げるストック型ビジネスモデルである。24年3月期の新規契約件数および後継付け件数(転貸借契約を解約後に次の転借人と転貸借契約を締結した物件)の転貸借成約件数の合計は23年3月期比3.3%減の466件、期末時点で転貸借契約が締結されている転貸借物件数は229件増加の2445件となった。転貸借契約物件数は着実に増加している。
 
■中期経営計画
 
 中期経営計画(ローリング方式、25年3月期〜28年3月期)では、連結業績目標値として最終年度28年3月期の売上高256億44百万円、営業利益16億45百万円、経常利益16億80百万円、親会社株主帰属当期純利益10億94百万円、転貸借成約数820件、期末転貸借物件数3994件などを掲げている。配当性向は25年3月期55.9%、26年3月期52.9%、27年3月期と28年3月期が40%〜45%とした。また長期的には31年3月期に転貸借物件数5500件を目指している。
 
 基本方針には事業用に特化した店舗転貸借事業・不動産売買事業・家賃保証事業の拡大、重点施策には採用や教育の包括的強化による営業組織のさらなる拡充、各事業の特性を踏まえた顧客獲得の仕組づくりやIT化、各事業間で顧客やノウハウを共有する等の事業シナジー追求、ノウハウのデジタル化や業務のシステム化などDX化の推進、子会社への権限移譲による企業家精神の発揮や迅速な意思決定の実現を掲げている。
 
 CSR活動としては、飲食店舗を活用した「子ども食堂」を19年6月から開催している。店舗の特性を活かして、子供達への食事提供にとどまらず、地域における居場所づくり、親御さんへの支援といった社会的インフラになることを目指している。またESG活動として、居抜き物件を活用するビジネススキームにより、産業廃棄物(造作物)の廃棄量削減に貢献している。
 
■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書
 
 22年4月の東京証券取引所の市場再編ではプライム市場へ移行し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示(21年12月15日付)した。28年3月期までに流通株式時価総額のプライム市場上場維持基準適合を図るため各種取組を推進する。
 
 具体的には、継続的な業績向上の実現によって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図るとともに、法定開示・適時開示にとどまらない積極的なIRによって市場に情報発信する。また必要に応じて流通株式比率向上に向けたテクニカルな取組も検討する。継続的な業績向上の実現では、市場開拓余地が大きく競合優位性も高い店舗転貸借事業に専門特化し、転貸借契約件数の最大化を通じてストック型収益である賃料差益の最大化を推進することで、継続的な業績向上(目途として前期比10%〜20%程度の増収増益継続)の実現を図る方針だ。
 
 23年11月には自己株式を活用した第三者割当による第3回新株予約権(行使価額修正条項および停止要請条項付、割当先は東海東京証券、下限行使価格は1198円、行使期間は23年12月7日〜26年12月7日、23年12月に払込完了)を発行した。発行新株予約権数9000個(1個につき100株)で、行使に際して交付する株式については同社が保有する自己株式90万株を活用するため新株発行を行わない。流通株式数の増加により上場維持基準の適合に資することが期待される。
 
 そして24年6月には、24年3月31日時点における計画進捗状況をリリースした。流通株式時価総額については、計画どおり28年3月末までに上場維持基準を充たすため、引き続き各種取組を推進するとしている。
 
■25年3月期は1Qが2桁営業増益と順調で通期上振れ余地
 
 25年3月期の連結業績予想は、売上高が24年3月期比18.1%増の168億40百万円、営業利益が6.9%減の9億07百万円、経常利益が6.9%減の9億42百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.3%減の6億30百万円としている。配当予想は24年3月期比1円増配の21円(期末一括)としている。4期連続増配で予想配当性向は55.9%となる。
 
 売上面は転貸借物件数が順調に増加して大幅増収(16期連続増収)だが、持株会社への移行(24年10月1日付、商号をイノベーションホールディングスに変更予定)や先行投資に係る費用の増加を考慮している。前提としては転貸借成約数(新規契約件数および後継付け件数の合計)が104件増加の570件、期末転貸借物件数が312件増加の2757件の計画としている。
 
 第1四半期は、売上高が前年同期比11.1%増の37億88百万円、営業利益が10.9%増の2億71百万円、経常利益が1.0%減の2億74百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.7%減の1億84百万円だった。
 
 2桁増収・2桁営業増益と順調だった。転貸借物件数が順調に積み上がり、費用抑制なども寄与した。経常利益と親会社株主帰属四半期純利益については、営業外収益で受取補償金が23百万円減少したため小幅減益だった。なお持株会社体制への移行に伴って第1四半期より全社費用の配分方法を変更したため、セグメント利益については、従来方法に比べて店舗転貸借事業が9百万円増加、不動産売買事業が9百万円減少している。
 
 店舗転貸借事業(店舗家賃保証事業を含む)は売上高が10.2%増の35億96百万円、営業利益が2億79百万円(前年同期は2億15百万円)だった。個人・小規模飲食事業者の旺盛な出店需要に対応して店舗物件の積極的な仕入を推進した。転貸借契約件数(新規契約件数+後継付け件数)は前年同期比13.4%減の103件、期末時点の転貸借物件数は前年同期末比215件増加して2487件となった。営業組織の構造改革途上のため成約件数が減少したものの、解約数が低位で推移しているため、転貸借物件数は順調に積み上がっている。
 
 不動産売買事業は売上高が29.8%増の1億92百万円、営業利益が8百万円の損失(前年同期は29百万円の利益)だった。1物件を売却、1物件を取得して期末時点の保有物件数は4件となった。人件費の増加や全社費用配分方法変更の影響で減益だった。
 
 通期予想は据え置いて、先行投資に係る費用の増加を考慮して小幅減益予想としているが、第1四半期の進捗率は売上高22%、営業利益30%、経常利益29%、当期純利益29%と順調だった。第1四半期が転貸借物件数の増加などで2桁営業増益と順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
 
■株主優待制度は毎年3月末対象、優待条件・内容を一部変更
 
 株主優待制度については毎年3月31日時点の株主を対象として実施しているが、同社へのロイヤリティの高い株主に対する還元を強化することを目的として、優待条件・内容を一部変更(詳細は会社HP参照)している。
 
 変更後は、24年3月期については24年3月31日時点で500株以上保有し、かつ1年以上継続して100株以上保有している株主にジェフグルメカード1万円分を贈呈した。25年3月期以降(25年3月31日以降)については毎年3月31日時点で500株以上保有し、かつ1年以上継続して500株以上保有している株主にジェフグルメカード1万円分を贈呈する。
 
■株価は反発の動き
 
 株価は地合い悪化の影響で年初来安値を更新する場面があったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。8月27日の終値は934円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS37円58銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の21円で算出)は約2.2%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS197円73銭で算出)は約4.7倍、時価総額は約165億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
 
[07月22日更新]

テンポイノベーションは戻り歩調、25年3月期は上振れ余地


 テンポイノベーション<3484>(東証プライム)は、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を主力としている。転貸借物件数の増加に伴って賃料収益を積み上げるストック型ビジネスである。成長戦略として旺盛な個人・小規模飲食事業者の出店需要に対応するため積極的な人材育成と仕入を継続している。25年3月期は小幅減益予想としている。転貸借物件数が順調に増加して大幅増収だが、持株会社への移行(24年10月1日付、商号をイノベーションホールディングスに変更予定)や先行投資に係る費用の増加を考慮している。ただし保守的な印象が強く、会社予想に上振れ余地がありそうだ。株価は5月の年初来安値圏から切り返して戻り歩調だ。基調転換を確認した形であり、上値を試す展開を期待したい。なお8月8日に25年3月期第1四半期決算発表を予定している。
 
■飲食業の出店希望者向け居抜き店舗転貸借事業
 
 首都圏一都三県(特に東京都)において、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗(造作物が残っており、すぐに営業できる状態の物件)を転貸借する店舗転貸借事業を主力として、不動産業者とのリレーションシップ強化を主目的とする不動産売買事業、および独自の審査ノウハウを活用した店舗物件専門の家賃保証事業(22年4月に子会社の店舗セーフティーを設立して事業開始)も展開している。
 
 なお24年10月1日付(予定)で持株会社体制に移行し、商号をイノベーションホールディングスに変更する。持株会社の傘下に、店舗転貸借事業を展開する子会社テンポイノベーション(テンポイノベーション分割準備会社を商号変更)、不動産売買事業を展開する子会社アセットイノベーション(新設)、店舗家賃保証事業を展開するセーフティーイノベーション(店舗セーフティーを商号変更)の事業会社3社を置く体制とする。なおセーフティーイノベーションについては、事業展開を本格化させるため首都圏での支店開設を予定している。
 
 また24年4月には、コーポレートガバナンス・コードに対する取り組みの一環として指名・報酬委員会、および支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う特別委員会を設置した。なお同社はクロップス<9428>の連結子会社だが、営業上の取引はなく経営上の独立性を確保している。
 
 24年3月期売上高構成比は店舗転貸借事業(店舗家賃保証事業含む)が95%、不動産売買事が5%、営業利益構成比は店舗転貸借事業が83%、不動産売買事業が17%で、全社売上高に占める店舗転貸借ランニング収入(賃料収入、更新手数料収入など)の比率は88.6%(23年3月期比1.9ポイント上昇)だった。
 
 不動産売買事業は不動産業者とのリレーションシップ強化も目的として、長期保有は行わず一定の資金枠内で資金効率を重視して売買を行う。24年3月期は10物件を売却、8物件を取得し、期末時点の保有物件数は4件となった。なお四半期業績は不動産売買事業のイニシャル収入によって変動する可能性があるが、ストック収益となる店舗転貸借事業のランニング収入は順調に拡大している。
 
■転貸借契約件数は増加基調
 
 店舗転貸借事業は、仲介ではなくサブリースでもなく、不動産業における第6のカテゴリーと位置付けている。不動産オーナーにとっては賃貸料収入安定、不動産会社にとっては仲介収益機会獲得、店舗出店者にとっては出店費用削減、店舗撤退者にとっては閉店コスト削減というメリットがある。また飲食業は他の産業との比較で、開業・廃業による入れ替わりが激しいため市場機会が豊富という特徴もある。さらに造作物(厨房機器、テーブル、床コンクリート、排気ダクトなど)の廃棄量を削減できるという点で、持続可能な社会の実現に貢献するビジネススキームである。
 
 保有物件数(転貸借物件数)の増加に伴って賃料収益(ランニング収入)を積み上げるストック型ビジネスモデルである。24年3月期の新規契約件数および後継付け件数(転貸借契約を解約後に次の転借人と転貸借契約を締結した物件)の転貸借成約件数の合計は23年3月期比3.3%減の466件、期末時点で転貸借契約が締結されている転貸借物件数は229件増加の2445件となった。転貸借契約物件数は着実に増加している。
 
■中期経営計画
 
 中期経営計画(ローリング方式、25年3月期〜28年3月期)では、連結業績目標値として最終年度28年3月期の売上高256億44百万円、営業利益16億45百万円、経常利益16億80百万円、親会社株主帰属当期純利益10億94百万円、転貸借成約数820件、期末転貸借物件数3994件などを掲げている。配当性向は25年3月期55.9%、26年3月期52.9%、27年3月期と28年3月期が40%〜45%とした。また長期的には31年3月期に転貸借物件数5500件を目指している。
 
 基本方針には事業用に特化した店舗転貸借事業・不動産売買事業・家賃保証事業の拡大、重点施策には採用や教育の包括的強化による営業組織のさらなる拡充、各事業の特性を踏まえた顧客獲得の仕組づくりやIT化、各事業間で顧客やノウハウを共有する等の事業シナジー追求、ノウハウのデジタル化や業務のシステム化などDX化の推進、子会社への権限移譲による企業家精神の発揮や迅速な意思決定の実現を掲げている。
 
 CSR活動としては、飲食店舗を活用した「子ども食堂」を19年6月から開催している。店舗の特性を活かして、子供達への食事提供にとどまらず、地域における居場所づくり、親御さんへの支援といった社会的インフラになることを目指している。またESG活動として、居抜き物件を活用するビジネススキームにより、産業廃棄物(造作物)の廃棄量削減に貢献している。
 
■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書
 
 22年4月の東京証券取引所の市場再編ではプライム市場へ移行し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示(21年12月15日付)した。28年3月期までに流通株式時価総額のプライム市場上場維持基準適合を図るため各種取組を推進する。
 
 具体的には、継続的な業績向上の実現によって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図るとともに、法定開示・適時開示にとどまらない積極的なIRによって市場に情報発信する。また必要に応じて流通株式比率向上に向けたテクニカルな取組も検討する。継続的な業績向上の実現では、市場開拓余地が大きく競合優位性も高い店舗転貸借事業に専門特化し、転貸借契約件数の最大化を通じてストック型収益である賃料差益の最大化を推進することで、継続的な業績向上(目途として前期比10%〜20%程度の増収増益継続)の実現を図る方針だ。
 
 23年11月には自己株式を活用した第三者割当による第3回新株予約権(行使価額修正条項および停止要請条項付、割当先は東海東京証券、下限行使価格は1198円、行使期間は23年12月7日〜26年12月7日、23年12月に払込完了)を発行した。発行新株予約権数9000個(1個につき100株)で、行使に際して交付する株式については同社が保有する自己株式90万株を活用するため新株発行を行わない。流通株式数の増加により上場維持基準の適合に資することが期待される。
 
 そして24年6月には、24年3月31日時点における計画進捗状況をリリースした。流通株式時価総額については、計画どおり28年3月末までに上場維持基準を充たすため、引き続き各種取組を推進するとしている。
 
■25年3月期は上振れ余地
 
 25年3月期の連結業績予想は、売上高が24年3月期比18.1%増の168億40百万円、営業利益が6.9%減の9億07百万円、経常利益が6.9%減の9億42百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.3%減の6億30百万円としている。配当予想は24年3月期比1円増配の21円(期末一括)としている。4期連続増配で予想配当性向は55.9%となる。
 
 売上面は転貸借物件数が順調に増加して大幅増収(16期連続増収)だが、持株会社への移行(24年10月1日付、商号をイノベーションホールディングスに変更予定)や先行投資に係る費用の増加を考慮している。前提としては転貸借成約数(新規契約件数および後継付け件数の合計)が104件増加の570件、期末転貸借物件数が312件増加の2757件の計画としている。ただし保守的な印象が強く、会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
 
■株主優待制度は毎年3月末対象、優待条件・内容を一部変更
 
 株主優待制度については毎年3月31日時点の株主を対象として実施しているが、同社へのロイヤリティの高い株主に対する還元を強化することを目的として、優待条件・内容を一部変更(詳細は会社HP参照)している。
 
 変更後は、24年3月期については24年3月31日時点で500株以上保有し、かつ1年以上継続して100株以上保有している株主にジェフグルメカード1万円分を贈呈した。25年3月期以降(25年3月31日以降)については毎年3月31日時点で500株以上保有し、かつ1年以上継続して500株以上保有している株主にジェフグルメカード1万円分を贈呈する。
 
■株価は戻り歩調
 
 株価は5月の年初来安値圏から切り返して戻り歩調だ。週足チャートで見ると、抵抗線となっていた13週移動平均線を突破し、さらに26週移動平均線も一気に突破した。基調転換を確認した形であり、上値を試す展開を期待したい。7月19日の終値は942円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS37円58銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の21円で算出)は約2.2%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS197円73銭で算出)は約4.8倍、そして時価総額は約166億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
 
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