[3371]ソフトクリエイトホールディングス
[11月05日更新]
ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大などを推進している。25年3月期第2四半期累計(中間期)は、前期の一過性収益の反動や人的資本投資によるコスト増加などで小幅営業・経常減益だったが、期初計画を上回る水準で着地した。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大した。そして通期の増収増益予想を据え置いた。第2四半期累計が計画超だったことを勘案すれば、通期予想にも上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値を更新する場面があった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開
ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分はECソリューション事業およびITソリューション事業としている。
24年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、ECソリューション事業が155億44百万円、ITソリューション事業が123億68百万円、経常利益(全社費用等調整前)はECソリューション事業が39億63百万円、ITソリューション事業が28億35百万円、経常利益の調整額が▲14億42百万円だった。
売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築が103.9億円、デジタルマーケティングが34.8億円、ECクラウドサービスが16.7億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が60.2億円、ITパッケージが18.0億円、ITクラウドサービスが22.9億円、IT機器が22.5億円だった。各分野とも増収基調となっている。
■ECソリューション事業はECサイト構築「ecbeing」が主力
ECソリューション事業は連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中〜大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は22年度末時点において1600サイトを突破した。EC構築ソリューション市場における市場シェアは16年連続1位(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2024年版」ECサイト構築(カスタマイズ型/SaaS)市場占有率、2023年度実績)である。また23年のecbeing年間流通総額は1兆2405億円を突破した。
22年2月にはecbeingが海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。22年11月にはecbeingが、レビューマーケティングプラットフォームのReviCoを展開する新会社ReviCoを設立した。23年7月にはecbeingがMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットシステムのAIデジタルスタッフをリリースした。24年6月にはecbeingが、ECサイトと会員情報を一元化できる予約管理システムRESOMO(リソモ)をリリースした。
■ITソリューション事業はSIやワークフローシステムが主力
ITソリューション事業は連結子会社ソフトクリエイトの自社開発SCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、システムインテグレーション(SI)やIT機器販売、連結子会社エイトレッド<3969>のワークフローシステム(パッケージ型AgileWorks、クラウド型X−point Cloud)を主力としている。24年4月にはソフトウェア受託開発を主力とするシステムワークスジャパンを連結子会社化した。
24年2月にはソフトクリエイトが企業向け生成AIサービスSafe AI Gatewayをリリースした。24年5月にはソフトクリエイトが生成AI型チャットボットSafe AI Botをリリースした。Safe AI Gatewayのチャットボット機能から派生した商品である。なお24年6月にはソフトクリエイトが経済産業省の「DX認定事業者」として認定を取得した。
エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は累計4500社を突破している。そしてクラウド型X−point Cloudは、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。23年12月にはX−point Cloudが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する令和3年度改正基準の「電子取引ソフト法的要件認証」を取得した。24年3月にはAgileWorksクラウド版の販売を開始した。
成長戦略として、クラウドサービス(ECクラウドサービスのメルカート、ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumo、レビュー最適化ツールのRevico、サイトミライズ、オムニチャネル分析ツールのSechstantなど)の拡販にも注力している。ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumoは導入実績が800社を突破した。
■25年3月期2Q累計が計画超で通期も上振れ余地
25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比7.5%増の300億円、営業利益が6.0%増の54億80百万円、経常利益が6.1%増の56億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比7円増配の55円(第2四半期末27円50銭、期末27円50銭)としている。5期連続増配で予想配当性向は40.0%となる。
第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比9.5%増の151億71百万円、営業利益が2.8%減の26億15百万円、経常利益が3.4%減の27億56百万円、親会社株主帰属四半期(中間)純利益が6.9%増の17億68百万円だった。
前期の一過性収益(サイト運用収益3.3億円)の反動や人的資本投資によるコスト増加などで小幅営業・経常減益だったが、期初計画(売上高144億45百万円、営業利益24億14百万円、経常利益25億36百万円、純利益15億64百万円)を上回る水準で着地した。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大した。
ECソリューション事業は、売上高が5.7%増の81億49百万円で、経常利益(全社費用等調整前)が8.8%減の19億47百万円だった。主力のECサイト構築売上高が順調に拡大し、ECサイト売上拡大施策となるクラウドサービス売上高も伸長した。売上高の内訳はECサイト構築が8.6%増の55.2億円、デジタルマーケティングが11.5%減の16.0億円、ECクラウドサービスが26.1%増の10.1億円だった。
ITソリューション事業は、売上高が14.3%増の70億21百万円で、経常利益が9.3%増の14億10百万円だった。クラウドサービスやセキュリティ・インフラ構築が順調に拡大した。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が4.3%増の31.5億円、ITパッケージが35.6%増の11.2億円、ITクラウドサービスが22.4%増の13.4億円、IT機器が17.5%増の13.8億円だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が70億99百万円で営業利益が10億67百万円、第2四半期は売上高が80億72百万円で営業利益が15億48百万円だった。
通期の連結業績予想は据え置いている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人的資本投資による人件費の増加などを吸収する見込みだ。売上高の計画はECソリューション事業が8.7%増の169億円、ITソリューション事業が5.9%増の131億円としている。経常利益(24年3月期比3.3億円増)の増減要因分析は売上総利益増加で8.1億円増、人件費増加で2.1億円減、研修費増加で0.2億円減、広告費増加で0.4億円減、研究開発費増加で0.3億円減、その他経費増加(税金等)で1.8億円減としている。
通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高51%、営業利益48%、経常利益49%、純利益51%と順調だった。期初時点で下期偏重の計画だったこと、第2四半期累計が計画を上回る水準で着地したことを勘案すれば、通期予想にも上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回、長期保有優待も実施
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。
■株価は上値試す
8月5日付で発表した自己株式取得(上限30万株・5億円、取得期間24年8月6日〜24年10月31日)については、24年10月31日時点で終了した。買付株式数は17万2900株、買付総額は約3億23百万円だった。
株価は年初来高値を更新する場面があった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。11月1日の終値は2094円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS137円50銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS741円49銭で算出)は約2.8倍、そして時価総額は約577億円である。(
情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月09日更新]
ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大などを推進している。25年3月期は増収増益予想としている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に伸長する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して6月の年初来高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。なお10月30日に25年3月期第2四半期決算発表を予定している。
■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開
ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分はECソリューション事業およびITソリューション事業としている。
24年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、ECソリューション事業が155億44百万円、ITソリューション事業が123億68百万円、経常利益(全社費用等調整前)はECソリューション事業が39億63百万円、ITソリューション事業が28億35百万円、経常利益の調整額が▲14億42百万円だった。
売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築が103.9億円、デジタルマーケティングが34.8億円、ECクラウドサービスが16.7億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が60.2億円、ITパッケージが18.0億円、ITクラウドサービスが22.9億円、IT機器が22.5億円だった。各分野とも増収基調となっている。
■ECソリューション事業はECサイト構築「ecbeing」が主力
ECソリューション事業は連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中〜大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は22年度末時点において1600サイトを突破した。EC構築ソリューション市場における市場シェアは16年連続1位(出典:富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2024年版」ECサイト構築(カスタマイズ型/SaaS)市場占有率、2023年度実績)である。また23年のecbeing年間流通総額は1兆2405億円を突破した。
22年2月にはecbeingが海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。22年11月にはecbeingが、レビューマーケティングプラットフォームのReviCoを展開する新会社ReviCoを設立した。23年7月にはecbeingがMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットシステムのAIデジタルスタッフをリリースした。24年6月にはecbeingが、ECサイトと会員情報を一元化できる予約管理システムRESOMO(リソモ)をリリースした。
■ITソリューション事業はSIやワークフローシステムが主力
ITソリューション事業は連結子会社ソフトクリエイトの自社開発SCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、システムインテグレーション(SI)やIT機器販売、連結子会社エイトレッド<3969>のワークフローシステム(パッケージ型AgileWorks、クラウド型X−point Cloud)を主力としている。24年4月にはソフトウェア受託開発を主力とするシステムワークスジャパンを連結子会社化した。
24年2月にはソフトクリエイトが企業向け生成AIサービスSafe AI Gatewayをリリースした。24年5月にはソフトクリエイトが生成AI型チャットボットSafe AI Botをリリースした。Safe AI Gatewayのチャットボット機能から派生した商品である。なお24年6月にはソフトクリエイトが経済産業省の「DX認定事業者」として認定を取得した。
エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は累計4500社を突破している。そしてクラウド型X−point Cloudは、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。23年12月にはX−point Cloudが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する令和3年度改正基準の「電子取引ソフト法的要件認証」を取得した。24年3月にはAgileWorksクラウド版の販売を開始した。
成長戦略として、クラウドサービス(ECクラウドサービスのメルカート、ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumo、レビュー最適化ツールのRevico、サイトミライズ、オムニチャネル分析ツールのSechstantなど)の拡販にも注力している。ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumoは導入実績が800社を突破した。
■25年3月期増収増益、5期連続増配予想
25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比7.5%増の300億円、営業利益が6.0%増の54億80百万円、経常利益が6.1%増の56億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比7円増配の55円(第2四半期末27円50銭、期末27円50銭)としている。5期連続増配で予想配当性向は40.0%となる。
第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比6.7%増の70億99百万円、営業利益が15.1%減の10億67百万円、経常利益が9.6%減の12億25百万円、親会社株主帰属四半期純利益が5.5%増の8億53百万円だった。
前期の一過性収益(サイト運用収益を計上)の反動や人的資本投資によるコスト増加などで営業・経常減益だが、計画を上回る水準(計画比で売上高は2.9%増、経常利益は15.0%増)だった。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に伸長した。
ECソリューション事業は、売上高が6.8%増の39億77百万円で、経常利益(全社費用等調整前)が5.8%減の9億76百万円だった。ECサイト構築売上高が伸長し、ECサイト売上拡大施策となるクラウドサービス売上高も伸長した。売上高の内訳はECサイト構築が5.7%増の26.9億円、デジタルマーケティングが2.4%増の8.1億円、ECクラウドサービスが23.3%増の4.7億円だった。
ITソリューション事業は、売上高が6.5%増の31億22百万円で、経常利益が11.5%減の5億31百万円だった。クラウドサービスやセキュリティ・インフラ構築が順調に拡大した。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が2.6%増の14.9億円、ITパッケージが13.5%増の4.2億円、ITクラウドサービスが19.2%増の6.4億円、IT機器が0.2%増の5.7億円だった。
通期予想は据え置いている。引き続きECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人件費などの増加を吸収する見込みだ。売上高の計画はECソリューション事業が8.7%増の169億円、ITソリューション事業が5.9%増の131億円としている。また経常利益(24年3月期比+3.3億円)の増減要因分析(見込み)は、売上総利益増加で+8.1億円、人件費増加で▲2.1億円、研修費増加で▲0.2億円、広告費増加で▲0.4億円、研究開発費増加で▲0.3億円、その他経費増加(税金等)で▲1.8億円としている。
なお半期別の計画を見ると、売上高は上期が前年同期比4.3%増の144億45百万円、下期が10.6%増の155億55百万円、経常利益は上期が10.3%減の24億14百万円、下期が15.1%増の30億66百万円で、下期偏重の計画としている。需要が高水準であること、クラウドサービスの収益が積み上がる収益構造であることなどを勘案すれば、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回、長期保有優待も実施
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。
■株価は上値試す
8月5日付で発表した自己株式取得(上限30万株・5億円、取得期間24年8月6日〜24年10月31日)については、24年9月30日時点で累計取得株式数が8万6700株となっている。
株価は8月の安値圏から反発し、その後は急伸して6月の年初来高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。10月8日の終値は2090円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS137円50銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS741円49銭で算出)は約2.8倍、そして時価総額は約576億円である。(
情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月24日更新]
ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大などを推進している。25年3月期は増収増益予想としている。第1四半期は計画を上回る水準だった。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に伸長しており、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響を受けた8月の年初来安値圏から急反発して戻り歩調の形だ。上値を試す展開を期待したい。
■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開
ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分はECソリューション事業およびITソリューション事業としている。
24年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、ECソリューション事業が155億44百万円、ITソリューション事業が123億68百万円、経常利益(全社費用等調整前)はECソリューション事業が39億63百万円、ITソリューション事業が28億35百万円、経常利益の調整額が▲14億42百万円だった。
売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築が103.9億円、デジタルマーケティングが34.8億円、ECクラウドサービスが16.7億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が60.2億円、ITパッケージが18.0億円、ITクラウドサービスが22.9億円、IT機器が22.5億円だった。各分野とも増収基調となっている。
■ECソリューション事業はECサイト構築「ecbeing」が主力
ECソリューション事業は連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中〜大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は22年度末時点において1600サイトを突破した。市場シェアは15年連続1位(出典:富士キメラ総研のソフトウェアビジネス新市場2023年版による「ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査」で市場シェア57.1%)である。また23年のecbeing年間流通総額は1兆2405億円を突破した。
22年2月にはecbeingが海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。22年11月にはecbeingが、レビューマーケティングプラットフォームのReviCoを展開する新会社ReviCoを設立した。23年7月にはecbeingがMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットシステムのAIデジタルスタッフをリリースした。24年6月にはecbeingが、ECサイトと会員情報を一元化できる予約管理システムRESOMO(リソモ)をリリースした。
■ITソリューション事業はSIやワークフローシステムが主力
ITソリューション事業は連結子会社ソフトクリエイトの自社開発SCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、システムインテグレーション(SI)やIT機器販売、連結子会社エイトレッド<3969>のワークフローシステム(パッケージ型AgileWorks、クラウド型X−point Cloud)を主力としている。24年4月にはソフトウェア受託開発を主力とするシステムワークスジャパンを連結子会社化した。
24年2月にはソフトクリエイトが企業向け生成AIサービスとしてSafe AI Gatewayをリリースした。Microsoft社のAzure OpenAI Serviceを基盤に採用し、企業が生成AIを安全・簡単に利用できるよう開発されたサービスである。24年5月にはソフトクリエイトが、AIカテゴリを含む4つのMicrosoftソリューションパートナー認定を取得した。また生成AI型チャットボットSafe AI Botをリリースした。Safe AI Gatewayのチャットボット機能から派生した商品である。なお24年6月にはソフトクリエイトが経済産業省の「DX認定事業者」として認定を取得した。
エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は累計4500社を突破している。そしてクラウド型X−point Cloudは、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。23年12月にはX−point Cloudが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する令和3年度改正基準の「電子取引ソフト法的要件認証」を取得した。24年3月にはAgileWorksクラウド版の販売を開始した。
成長戦略として、クラウドサービス(ECクラウドサービスのメルカート、ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumo、レビュー最適化ツールのRevico、サイトミライズ、オムニチャネル分析ツールのSechstantなど)の拡販にも注力している。ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumoは導入実績が800社を突破した。
■25年3月期増収増益、5期連続増配予想
25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比7.5%増の300億円、営業利益が6.0%増の54億80百万円、経常利益が6.1%増の56億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比7円増配の55円(第2四半期末27円50銭、期末27円50銭)としている。5期連続増配で予想配当性向は40.0%となる。
第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比6.7%増の70億99百万円、営業利益が15.1%減の10億67百万円、経常利益が9.6%減の12億25百万円、親会社株主帰属四半期純利益が5.5%増の8億53百万円だった。
前期の一過性収益(サイト運用収益を計上)の反動や人的資本投資によるコスト増加などで営業・経常減益だが、計画を上回る水準(計画比で売上高は2.9%増、経常利益は15.0%増)だった。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に伸長した。
ECソリューション事業は、売上高が6.8%増の39億77百万円で、経常利益(全社費用等調整前)が5.8%減の9億76百万円だった。ECサイト構築売上高が伸長し、ECサイト売上拡大施策となるクラウドサービス売上高も伸長した。売上高の内訳はECサイト構築が5.7%増の26.9億円、デジタルマーケティングが2.4%増の8.1億円、ECクラウドサービスが23.3%増の4.7億円だった。
ITソリューション事業は、売上高が6.5%増の31億22百万円で、経常利益が11.5%減の5億31百万円だった。クラウドサービスやセキュリティ・インフラ構築が順調に拡大した。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が2.6%増の14.9億円、ITパッケージが13.5%増の4.2億円、ITクラウドサービスが19.2%増の6.4億円、IT機器が0.2%増の5.7億円だった。
通期予想は据え置いている。引き続きECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人件費などの増加を吸収する見込みだ。売上高の計画はECソリューション事業が8.7%増の169億円、ITソリューション事業が5.9%増の131億円としている。また経常利益(24年3月期比+3.3億円)の増減要因分析(見込み)は、売上総利益増加で+8.1億円、人件費増加で▲2.1億円、研修費増加で▲0.2億円、広告費増加で▲0.4億円、研究開発費増加で▲0.3億円、その他経費増加(税金等)で▲1.8億円としている。
なお半期別の計画を見ると、売上高は上期が前年同期比4.3%増の144億45百万円、下期が10.6%増の155億55百万円、経常利益は上期が10.3%減の24億14百万円、下期が15.1%増の30億66百万円で、下期偏重の計画としている。需要が高水準であること、クラウドサービスの収益が積み上がる収益構造であることなどを勘案すれば、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回、長期保有優待も実施
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。
■株価は上値試す
8月5日付で発表した自己株式取得(上限30万株・5億円、取得期間24年8月6日〜24年10月31日)については、24年8月31日時点で累計取得株式数が3万1100株となっている。
株価は地合い悪化の影響を受けた8月の年初来安値圏から急反発して戻り歩調の形だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。9月20日の終値は1744円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS137円50銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS741円49銭で算出)は約2.4倍、そして時価総額は約480億円である。
アンビションDXホールディングスは上値試す、25年6月期も大幅増益・増配予想
アンビションDXホールディングス<3300>(東証グロース)は不動産デジタルプラットフォーマーとして、賃貸DXプロパティマネジメント事業、賃貸DX賃貸仲介事業、売買DXインベスト事業、インキュベーション事業、その他事業を展開している。25年6月期も大幅増益、そして大幅増配予想としている。中期経営計画の目標値を上方修正しており、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して18年6月の高値に接近している。25年6月期大幅増益・増配予想を好感した形だ。目先的にはやや過熱感だが、指標面は依然として割安感の強い水準であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■不動産ビジネスを変革するデジタルプラットフォーマー
同社はビジョンに「DXによって不動産ビジネスを変革し、デジタルとリアルを融合した唯一の不動産デジタルプラットフォーマーになる」を掲げ、不動産物件サブリースやプロパティマネジメントなどを行う賃貸DXプロパティマネジメント事業、賃貸物件仲介などを行う賃貸DX賃貸仲介事業、ハイクオリティ新築デザイナーズマンション開発・販売や買取再販などを行う売買DXインベスト事業、ベンチャー企業投資を行うインキュベーション事業、その他事業(システム開発の海外子会社を含む不動産DX事業、少額短期保険事業、ZEH・ライフライン事業、内装事業など)を展開している。
24年6月期末時点の主要連結子会社は、神奈川県内で賃貸管理・賃貸仲介を行うアンビション・バロー、システム開発を行うベトナムのAMBITION VIENTNAM、不動産賃借人向け少額短期保険業を行うホープ少額短期保険、東京圏プレミアムエリアを中心に不動産開発・販売等を行うヴェリタス・インベストメント、首都圏で賃貸仲介を行うアンビション・エージェンシー、不動産販売代理を行うVISION、学生向け賃貸仲介を行うアンビション・レント、法人向け賃貸仲介を行うアンビション・パートナー、ベンチャー企業投資を行うアンビション・ベンチャーズ、太陽光関連など住宅設備環境商材販売を行うDRAFT、内装・リフォーム工事を行うフレンドワークスなどである。なお24年7月に子会社化した賃貸物件管理業のDRS、SPN、LTDの3社については24年10月1日付で吸収合併する。
24年6月期の事業別構成比は、売上高(外部顧客への売上高)が賃貸DXプロパティマネジメント事業48%、賃貸DX賃貸仲介事業2%、売買DXインベスト事業47%、インキュベーション事業0%、その他3%、営業利益(全社費用等調整前)が賃貸DXプロパティマネジメント事業42%、賃貸DX賃貸仲介事業0%、売買DXインベスト事業58%、インキュベーション事業1%、その他▲1%だった。
収益特性として、売買DXインベスト事業は物件によって業績が変動する可能性があるが、ストック型の賃貸DXプロパティマネジメント事業が安定収益源となる。なお24年6月期のARR(Annual Recurring Revenue=年間経常収益)は181億71百万円、全社売上高に占める構成比は43%だった。
■賃貸DXプロパティマネジメント事業
賃貸DXプロパティマネジメント事業は、顧客(不動産所有者)から家賃保証付きで借り上げた物件を一般消費者に賃貸するサブリース事業、不動産所有者の入居者募集代理業務や入退去時の原状回復業務等を行うプロパティマネジメント事業を展開している。
自社グループのリーシング力や入居者の利便性向上策などによって高入居率を維持することで、より高い保証家賃の設定を実現するとともに、独立系のサブリース事業者として、自社で賃貸仲介事業部門を保有していない投資用不動産販売会社からの受託も行っている。一般消費者に対しては、敷金・礼金・保証料0円で引越時の初期費用を抑える「ALL ZERO PLAN」や、敷金・礼金・保証料・初回家賃・香辛料0円の「SUPER ZERO PLAN」といった賃料プランを設定することで、高入居率を維持している。また電子契約等を活用した高度な賃貸管理によって従業員1人あたり管理戸数増加を図るなど、業務効率化・仲介会社の利便性向上・顧客満足度向上を目指してDX施策を推進している。
24年6月期末時点の管理戸数は前期末比1.0%増の2万5224戸(うちサブリースが2.8%増の1万4300戸)となった。また24年6月期末時点の入居率は95.5%と、業界平均(89.4%、出典:タス「賃貸住宅市場レポート」東京都空室率)を大きく上回る水準となっている。管理戸数の増加、高い入居率の維持、家賃改定に加え、クラウド管理システム「AMBITION Cloud」を活用した生産性向上が収益を牽引している。
■賃貸DX賃貸仲介事業
賃貸DX賃貸仲介事業は、基本として営業店舗を構え、賃貸物件を探している一般消費者に対して、賃貸DXプロパティマネジメント事業で管理する物件(自社物件)および他社が管理する物件(他社物件)を紹介し、賃貸物件の仲介・斡旋および当該業務に付随する引越等の業者を斡旋する。
一般消費者にとって「問合せしやすい」「適切で円滑な進行」をコンセプトに、DXを活用したWEB集客、リモート接客、VR内見、電子契約など非対面サービスを強化するとともに、AI×RPAツール「ラクテック自動入力」の導入により業務効率化・販管費抑制を推進している。
■売買DXインベスト事業
売買DXインベスト事業は、主に東京圏のプレミアムエリア(目黒区、渋谷区、新宿区、港区、品川区、中央区)において、新築投資用ワンルームマンションを中心とするハイクオリティ新築デザイナーズマンションの開発・販売、および買取再販・リノベーション販売を行っている。さらに、一口1万円から投資できる不動産投資クラウドファンディングサービス「A funding」の運営(20年1月開始)も行っている。
■インキュベーション事業・その他事業
インキュベーション事業は、同社グループが展開する不動産DX事業と親和性の高い事業を行うベンチャー企業への投資、資本業務提携、投資先企業の支援などを行っている。投資先企業のIPOによって収益を得るほか、同社の新事業を創出する役割や、同社の業務システムへの先端技術の早期導入につなげる役割なども担っている。24年6月期末時点の投資企業は累計31社で、このうち6社が上場した。
その他事業は、システム開発の海外子会社を含む不動産DX事業、少額短期保険事業、ZEH・ライフライン事業、内装事業などを行っている。
■特徴・強みと不動産DXプロダクト
同社は基本方針に「不動産ビジネスを一気通貫で構築できるDXプラットフォームを構築し、快適な住まい体験を提供する」を掲げている。そして全ての不動産業務においてデジタルとリアルを融合し、多彩なDXプロダクトを開発・活用することによって、大幅な生産性向上や入居者の顧客満足度向上・LTV(顧客生涯価値)最大化を図っていることが特徴・強みである。
主要な不動産DXプロダクトとしては、不動産賃貸管理業務を網羅したDXで生産性向上を実現するクラウド管理システム「AMBITION Cloud」、「AMBITION Cloud」の中核を担うサービスの一つでブロックチェーン技術を活用した電子契約システム「AMBITION Sign」、賃貸仲介業務をDX化するAI×RPAツール「ラクテック自動入力」、鍵の受け渡しから日々の生活サービスまで入居者をサポートするChatGPT搭載アプリ(LINEサービス)の「AMBITION Me」、お部屋探しユーザーとコンシェルジュ(不動産仲介営業)を繋ぐマッチングアプリ「ルムコン −Room Concierge−」などがあり、さらなる機能・サービス強化や新プロダクトの開発を推進している。自社の基幹システムについても自前で構築することを目指している。
なお24年7月には、次世代AIモデル「Gemini 1.5」を介したナレッジデータベースの利活用として、多用途RAGソリューションを開発し、利用を開始した。24年9月にはアンビション・ベンチャーズが、不動産業界における革新的なサービスの創出を目的として、IoTプラットフォーマーであるアクセルラボと資本業務提携した。
■中期経営計画の目標値を上方修正
中期経営計画(24年6月期〜26年6月期)の業績目標については、24年6月期実績が当初目標を大幅に上回ったため、24年8月13日付で上方修正して最終年度26年6月期の目標を売上高641億14百万円、営業利益42億50百万円、経常利益37億30百万円、親会社株主帰属当期純利益27億35百万円とした。
基本戦略にはトップラインの非連続成長、DXによる利益率の向上、新規事業の創出、経営基盤の抜本的強化を掲げ、トップラインの非連続成長では大型案件獲得に向けたリソース低下、M&A・アライアンス・ベンチャー投資の加速・業容拡大、DXによる利益率の向上ではDX推進による業務効率化および中核事業の売上拡大と生産性向上、新規事業の創出では自社グループで開発・実装した外部ニーズの高いデジタルプロダクトの外販、不動産周辺領域への積極的なM&A・アライアンスの推進、経営基盤の抜本的強化ではベトナムでのオフショア開発やアライアンス構築などによるシステム開発体制の強化、人材教育と優秀な人材の採用体制強化を推進する。
■25年6月期も大幅増益・増配予想
25年6月期の連結業績予想は、売上高が24年6月期比26.7%増の532億94百万円、営業利益が29.4%増の35億26百万円、経常利益が23.7%増の31億01百万円、親会社株主帰属当期純利益が39.1%増の22億79百万円としている。配当予想は上場10周年記念配当を含めて24年6月期比68円増配の105(期末一括=普通配当55円+上場10周年記念配当50円)としている。連続大幅増配で予想配当性向は31.7%となる。
ストック型ビジネスである賃貸DXプロパティマネジメント事業が管理戸数増加、高い入居率維持、家賃改定、生産性向上によって堅調に推移するほか、売買DXインベスト事業において回転率の良い買取再販の大幅伸長を見込み、全体として大幅増収増益予想としている。
重点施策として、賃貸DXプロパティマネジメント事業では関西・中部地方の物件獲得強化、物件ごとのマネジメント強化、DXサービスのバージョンアップ、賃貸DX賃貸仲介事業では法人契約の増加、付帯サービスの強化、売買仲介件数の増加、DXのさらなる促進、売買DXインベスト事業では1件あたり販売単価の増加、付加価値の高い物件の仕入強化、その他事業ではDRAFTにおけるコールセンター活用、ホープ少額短期保険におけるパートナー企業とのタイアップ商品開発や販路拡大などを推進する。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は急伸して18年6月の高値に接近、上値試す
株価は急伸して18年6月の高値に接近している。25年6月期大幅増益・増配予想を好感した形だ。目先的にはやや過熱感だが、指標面は依然として割安感の強い水準であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。9月20日の終値は1808円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS327円86銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の105円で算出)は約5.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS881円93銭で算出)は約2.1倍、そして時価総額は約126億円である。(
情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
株式投資は全て自己責任でお願いします。このサイトの情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。当サイトの掲載事項において損失をされた場合も当方は一切の責任を負いかねます。
(C)ilogos / Eimei.tv