乳がんで闘病中だったフリーアナウンサーの小林麻央さんが34歳という若さで亡くなった。
近年日本人女性の乳がん罹患率は増加してきており、なんと生涯のうちに乳がんを患う女性は12人に1人と言われている。
今後も増加することが予想されている。
乳がんは女性のがんの中で最も患者数が多く、食生活の変化などの影響から患者は増え続けている。国立がん研究センターの推計では、平成24年は7万4000人が新たに乳がんと診断されている。
女性のがん全体のおよそ20%を占め、患者は、若い人にも多く、30代から増え始めて40代後半から50代前半がピークとなり、仕事や出産など女性の生活に深刻な影響を及ぼしているそうだ。平均罹患年齢は、約49歳となっている。
早い段階で見つけて適切な治療を受ければ治療成績はよく、国立がん研究センターが発表した5年相対生存率は、がんが乳房にとどまっている場合は98.9%だった一方、別の臓器などに遠隔転移している場合は33.7%となっている。
症状が進行すると骨に転移することが多いがんのため、手術や放射線治療、それに薬物療法といった基本となる治療のほか、骨折を防ぐために骨の修復を促す薬が使われている。
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スイスの製薬会社ロシュ・ホールディングは、新たな乳がん治療薬「パージェタ」が患者を対象とした試験で有効性を証明したと明らかにしたと発表があった。
初期の乳がん手術を受けた患者に対する第3相試験で、同社の既存治療薬「ハーセプチン」と化学療法に加えパージェタを投与された患者は、投与されなかった患者と比べ死亡や再発のリスクが低下した。
ロシュの乳がん治療薬事業にとって大きな成果で、同事業関連の売上高は2021年までに90億ドルを超える可能性が出てきた。
この発表で株価は前日比一時6.9%高まで急騰している。
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さて、乳がん関連の注目企業を紹介しよう。
スリー・ディー・マトリックス<7777>は、2004年に設立されたバイオマテリアル(医療用材料)のベンチャー企業である。
国内で医師主導の臨床第1相試験が行われているトリプルネガティブ乳がんを対象とした核酸医薬向けDDSが注目される。
同社が開発した「TDM-812」をDDS材料として使うことで核酸医薬の安定性が高まり、薬効を高める効果が期待されている。第1相臨床試験は2018年1月頃に終了する予定で、安全性が確認されれば製薬企業とのライセンス交渉も本格化することが予想されている。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
エーザイ<4523>は、自社創製の抗がん剤 「ハラヴェン(R)」(一般名:エリブリンメシル酸塩)について、日本国内において悪性軟部腫瘍」の効能・ 効果の承認を取得したと発表した。
ハラヴェンは、ハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤。
非臨床研究において、腫瘍の血流循環を改善すること、乳がん細胞の上皮細胞化を誘導すること、乳がん細胞の転移能を減少させることなどの作用を有することが報告されている。同剤はこれまでに乳がんに係る適応で、日本、欧州、米州、アジアなど、約60か国で承認されている。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
乳がんをはじめとした病気の早期発見のために、日本国内ではまだ数少ない3Dマンモグラフィーも注目だろう。
マンモグラフィーは、乳房をうすく引き伸ばすため、痛みを感じるかもしれませんが、少ない被爆量で乳房組織をくっきり映すことが可能になる。そのため、触っても分からないほど小さながんも見つけられるという長所がある。
富士フイルムホールディングス<4901>は、乳がん検査において、高精細なマンモグラフィーの画像を立体視できる、画期的な画像診断システム「リアル3Dマンモグラフィー」を、富士フイルムメディカルを通じて発売している。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
また、ワコールホールディングス<3591>では、少しでも検診の機会を増やすことで早期発見につなげたいと考え、2009年10月から乳がん検診車を貸し出す「乳がん検診サポート事業」を開始している。デジタルマンモなど最新の検診機器を搭載した乳がん検診車を購入し、検診事業を行っている医療機関を支援に取り組んでいる。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
乳がんは乳腺に発生する悪性腫瘍。放置すると、がん細胞が増殖して乳腺の外へも広がっていく。そして血管やリンパ管へ入って全身をめぐり、乳腺以外のさまざまな組織や臓器へ転移する。これが乳がんの怖さだろう。
乳がんを早期に発見すれば、生存率も高くなっている。
乳がんが「見つかる事」が恐い事なのではなく、「知らないまま」が恐い事。
「自分でできる事」と「ちょっと勇気があればできる事」を知り実行して欲しい。ちょっと時間を見つけて乳がん検診を受けることが重要だろう。