ティッシュペーパーやトイレットペーパーの価格上昇や品不足が発生している。
「ティッシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンタオルなどの家庭紙商品を対象に、6月1日出荷分から現行価格の10%以上、値上げする。
原燃料価格や、運送費など物流経費の高騰が続いており、自助努力だけでは増加したコストを吸収しきれないため」という。
印刷業界でも「紙が足りない」という大問題に直面している。
折り込みチラシや書籍に使う印刷用紙の不足が深刻になっている。
「これほどの混乱はオイルショック以来」との声が上がるほどだ。
要因は、去年の西日本豪雨や北海道地震など自然災害の影響で、製紙工場が停止、例年より生産量が大きく落ちこんだこと。例年の生産のピークである9月や10月にも回復しなかったことから在庫も少なくなっていき、現在は一時的に紙が手に入りにくくなっている。
また、2019年4月、大手メーカー王子製紙の工場で起きた火災も影響している。
さらに、古紙やパルプなどの原料高騰、光熱費の値上がり、物流費の高騰などによって値上がりが続いているという。
電子化の流れで紙の需要は年々減り、各社の採算は悪化してきた。
デジタル化やペーパーレス化の波で印刷用紙の需要が低迷し、「紙事業」で苦戦したためだ。そのため、成長分野である段ボール事業に経営資源を集中させ、紙事業は生産体制の見直しによるコストダウンを進めている。
この紙不足は印刷業界においてだけでなく、一般紙にも広がる懸念がある。
製紙会社でつくる日本製紙連合会によると、「業界全体がこうした状況にあるほか
アメリカと中国による貿易摩擦も影響している」という。
中国政府が段ボールなどの原料になる古紙について去年8月、最大の輸入元であるアメリカにアメリカの古紙に対して報復関税で25%の追加関税を課した。
そのため、中国企業は日本の古紙に目をつけ“
爆買い”を始めた。
追加関税から1ヶ月後の9月には、日本から中国に渡る古紙の輸出量が前年同月比で4倍。去年11月の古紙の輸出価格は、半年前の1.7倍になっている。
ちなみに中国では、古紙にする廃品回収などのシステムがまだ整っていないため、自国で再生紙を大量に作り出すことができないそうだ。
紙の品薄は、ネットで心配する声が特に見られたのは、アニメなどの同人誌が大規模に販売されるイベント「コミックマーケット」(通称・コミケ)だ。
「紙不足でコミケが死ぬのでは」とか「コミケは会場問題だけじゃなくて、紙確保も問題になってきたのか」という声が上がっている。
思わぬところに広がりを見せる米中貿易摩擦。
生産の縮小が続く中で起きた印刷用紙の品薄感。需要と供給のバランスが見合うようになるまでには、まだ時間がかかりそうだ。
■紙・パルプ関連銘柄
銘柄コード |
市場 |
銘柄名 |
3708 |
東1 |
特種東海 |
3861 |
東1 |
王子HD |
3863 |
東1 |
日本紙 |
3864 |
東1 |
三菱紙 |
3865 |
東1 |
北越コーポ |
3877 |
東1 |
中越パ |
3880 |
東1 |
大王紙 |
3891 |
JQ |
高度紙 |
3941 |
東1 |
レンゴー |
4410 |
東1 |
ハリマ化成G |
4963 |
東1 |
星光PMC |
9274 |
東1 |
国際紙パルプ |
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