経済産業省の生産動態統計によると、2017年の化粧品販売金額は、過去10年間の統計上、初の1兆6,000億円台を突破し、最高金額となった。成長率も2013年以降、5年連続での成長となっている。
対中輸出は2017年に2100億円、前年比50%増となり、2018年も同ペースの伸びが続いている。
また、2018年3月の化粧品出荷金額は前年同月比4.4%増の1520億6600万円となり、14カ月連続でプラス成長を記録した。
最近、株式市場でインバウンド関連でもある化粧品関連株の株価が冴えない状況だ。
しかし2018年も訪日外国人観光客数の増加が続き、インバウンド消費拡大の恩恵も受け、これからも安定的に成長が期待できると考える。
化粧品業界で、生産の国内回帰が加速している。背景にはメード・イン・ジャパンを求める、訪日外国人(インバウンド)の存在がある。
中国をはじめとするアジアでは、ジャパン・クオリティーへのこだわりが強い。
日本のモノづくりへのこだわりや品質の高さに目覚め、価値を見いだすようになっている。
資生堂 <4911> は、1985年以来初めて日本に工場を建設している。
国内での工場新設は実に37年ぶりとなる。栃木県で中価格帯スキンケア製品などを扱う新工場を2019年度中に稼働させる。さらに、翌2020年度までには大阪工場を大阪市から茨木市に移転し、生産能力を増強する。総投資額は最大で約950億円に達する見通しだ。 製造面において人件費などのコスト高も懸念される。
さまざまなメーカーが海外で生産拠点を広げる中、なぜ資生堂は国内投資を加速するのか。背景は、アジア、なかでも中国における日本製化粧品の需要が高まっていることだ。
国内でも海外でも海外の顧客頼みでありながらも着実に売上を伸ばしていることがわかる。インバウンド業界は一時期伸び悩みが見られていたが、資生堂においては未だブームの最中の模様だ。
また、同社は、8月8日に決算を発表。18年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結経常利益は前年同期比2.1倍の728億円に急拡大した。
併せて、通期の同利益を従来予想の900億円→1100億円(前期は803億円)に22.2%上方修正し、増益率が12.0%増→36.9%増に拡大し、従来の2期連続での過去最高益予想をさらに上乗せした。
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また、花王 <4452> はカネボウブランドの中国販売店を現在の1000店舗から2020年に2000〜3000店舗に増やす計画を発表している。
花王は、グループのカネボウ化粧品を含め49の化粧品ブランドを展開する。
この中で「SENSAI」や「KANEBO」「KATE」など11ブランドをグローバル重点ブランドに位置づけ、新商品の開発や宣伝・広告を強化する。これらのブランドについては、アジアを中心とする海外展開も加速させる考えだ。
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コーセー <4922>は、2017年3月に60億円を投じ、群馬工場の生産能力を増強した。
同年10月には中国の生産拠点を中堅化粧品メーカーに売却することを発表。「ここ数年、中国では現地で造った商品の売上構成比が小さくなり、日本からの輸入品を嗜好するようになってきた。今後は中国でメード・イン・ジャパンを売っていきたい」
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今年の7月31日に発表した19年3月期第1四半期(4-6月)の連結経常利益が前年同期比44.4%増の186億円に拡大している。
国内や韓国、中国で「コスメデコルテ」などの高価格帯ブランドを中心に化粧品の販売が好調だったことが寄与。高収益製品の売上構成比率が上昇したことに加え、販管費の効率的な運用なども大幅増益に貢献した。
化粧品市場は、訪日外国人によるインバウンド需要の取り込みと、越境ECを含む中国を中心とした輸出(アウトバウンド)需要の拡大にともない、化粧品製造業全体で好景気が続いている。
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