毎日コラム
働く女性、消費のキーワード「時短」
一昔は「結婚や出産を機に専業主婦になる」というライフコースが多かった。
ここ数年で増えてきたのが、働き続ける女性だろう。
しかし現状では,女性が働くようになったからといって、家での家事労働時間や育児時間が減ったわけではない。仕事をしながら「家事も育児も介護も」やることは山のようにあるからだ。

そんな働く女性の消費のキーワードは、「時短」
働きながら、育児や家事を日々こなしている女性のほうが時短ニーズはより切実だからだ。

株式市場でも時短関連企業は注目されている。
共働き世帯の増加に伴って家事の時間を短くしたい需要が高まっており、調理など家事の時間を短くする「時短」需要を狙って食品メーカーが生産増強に乗り出している。

まずは、拡大を続けているのが包装米飯。
東洋水産<2875>は、電子レンジで温めて食べるパック米飯の生産能力を1.5倍に引き上げるそうだ。子会社のフクシマフーズの工場にパック米飯の生産ラインを新設する。投資額は約90億円で、2019年夏の稼働を予定。
主力ブランド「マルちゃん」をあしらった白飯や赤飯などの生産を増やす。パック米飯は電子レンジで2分ほど温めれば食べられる利便性が受けて、市場規模は拡大傾向にある。
「サトウのごはん」で有名なサトウ食品工業<2923>も、売り上げが年間2桁増で推移しており、新潟県聖籠町の工場の生産能力を増強している。

関連商品の裾野も広がりでは、日本人の心、味噌汁!も注目だろう。
ハナマルキ(長野県伊那市、非上場)は、即席みそ汁の生産能力を1割増やしている。
味噌・醸造品メーカーのハナマルキはお湯を注ぐだけでできる即席みそ汁の生産能力を1割拡大する。
群馬県大泉町に9月、総額15億円を投じて工場を増設し、生産能力を1割引き上げている。

アサヒグループホールディングス<2502>傘下のアサヒグループ食品も19年までに即席みそ汁の生産能力を2割引き上げる予定だ。

話題なのは、究極の時短家電。家庭用みそ汁サーバーが大人気になっている。

画像出典:マルコメHP みそ汁サーバーの導入をお考えのお客様資料より

作ったのはみそメーカーのマルコメ(本社・長野市 非上場)。
コンビニやスーパーで売っている液みそを使って、まるでコーヒーのように一杯ずつ、みそ汁を作ることができる機械。家事で忙しい主婦の味方にもなるし一人暮らしにも便利。約1分でできあがる時短ぶりなのだ。

さらに、市販用冷凍食品市場で弁当から食卓にトレンドが変化している。自宅での食事で利用する消費者が増えている。

ニチレイ <2871>のグループ会社のニチレイフーズは昨年、家庭の食卓向け新シリーズ「匠御菜(たくみおかず)」を立ち上げた。

素材を厳選した高級志向。夕食などのおかずとして食べ応えのある内容にした。
テレビ番組などで紹介され「特製メンチカツ。」などが絶賛され人気に火がついている。冷凍食品の売り上げが好調で最高益を更新している。

画像出典:ニチレイHPから

食品だけでなく、日用品でも時短消費を狙った人気商品がある。

花王<4452>は、食器用洗剤「キュキュット クリア泡スプレー」は、2016年10月1日に発売した。食器洗いの手間を省きたい働く女性の人気を集めている。
食器に直接スプレーして、そのまま水で洗い流すだけで油汚れを落とせるのが特徴。発売後半年の販売本数は計画比2倍の420万本。食器用洗剤では今年最大のヒット商品となっている。
食品メーカーだけでなく、インターネット通販会社なども時短消費を狙っている。
食材や調味料などが入った料理キットの人気は続いており、オイシックスドット大地<3182>の料理キットの利用者が増えている。主菜と副菜の計2品×人数分が20分以内で作れる「Kit Oisix」。特徴はなんといっても野菜。1つのキットで1人前160gの野菜が採れるように盛り込まれていて、野菜の種類は5種以上になっている。

テレビや雑誌でも度々紹介され、全国の会員数は150万人を突破。いま、最も注目度の高い宅配サービスになっている。

スーパーマーケットは調理済みの商品を拡充し、食品メーカーも時短料理の食材開発に力を入れている。コンビニエンスストアでも調理済み食品の「中食」に力を入れている。
女性は消費のプロであり,消費のカギを握っている。働き手として,また消費者としての女性の力が,ますます欠かせなくなっている。

「女性の所得が増え、さらに女性が消費を増やす」という好循環が生まれるだろう。

女性の社会進出に伴う共働き世帯の増加や高齢者の増加で、手間のかからないこれらの商品へのニーズはさらに高まるとみられており、関連する企業は目が離せないだろう。

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