量子コンピュータが話題になっている。
日本経済新聞で、次世代の高速コンピュータとして期待される量子コンピュータを日本の製造業大手が相次ぎ導入すると報じられた。
デンソー<6902>は、数百台分の車の最適ルートを瞬時に導き出して渋滞解消に取り組むとしている。
デンソーは世界的な都市問題となっている渋滞解消に向けた実証実験で、DWSの量子コンピュータを使う。来年にも実験を始める。
渋滞が頻発する特定地域を走行する自動車のGPS(全地球測位システム)データを収集し、量子コンピュータが走行している数百台の車に目的地までの最適ルートを瞬時に探し出す。
次世代のカーナビゲーションシステムに搭載することで渋滞を避けられるほか、自動運転などにも応用できる。20年代前半の実用化を目指すそうだ。
また、タイヤの合成ゴムなどを手掛ける化学大手のJSR<4185>は、新素材開発の迅速化を目指すという。新素材の開発に米IBMの量子コンピュータを試験導入する。IBMに社員を派遣し、運用ノウハウを習得している。25年をめどに研究開発での本格運用を目指すそうだ。
従来は数千年かかった問題を数分で処理できるため、多様なサービスや製品開発で、日本企業のイノベーション創造を後押ししそうだと期待されている。
量子コンピュータ(りょうしコンピュータ、英語:quantum computer) は、量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するとされるコンピュータ。
従来のコンピュータの論理ゲートに代えて、「量子ゲート」を用いて量子計算を行う原理のものについて研究がさかんであるが、他の方式についても研究・開発は行われている。
どのような動作原理に基づくものかというと、同時に2つ以上の状態を表す「重ね合わせ」というのがポイントです。従来のコンピュータは1ビットを基本単位として、0→1のように、2つの信号を切替えることで計算しています。
量子コンピュータは同じ1ビットでも1、2、3、4を切り替えることなく同時に計算する能力を持ち、量子コンピュータは処理が格段に速く効率が良いと言われている。
いよいよ現実味のあるものとなり、「量子」に向けた動きが加速する機運が高まり、株式市場でも量子コンピュータ関連銘柄が動意づいている。
注目度が高いのは、エヌエフ回路設計ブロック<6864>。
同社は、微小信号のスペシャリストである量子コンピュータ向けに世界最高レベルの信号増幅装置を提供、関連最右翼に位置され株価も急騰している。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
フィックスターズ <3687>
同社は金融機関向けなどを中心に顧客のシステムを高速化させるソフト開発を手掛けている。カナダのDウェーブ社と提携、協業体制のもと量子コンピュータを取り入れることに前向きな企業を対象に導入支援事業を展開している。
また、同社と早稲田大学高等研究所は、イジングモデル型情報処理デバイスの高速化に関する共同研究を開始、量子コンピューティング周辺技術の普及に寄与する、目的とした共同研究契約を締結したと発表している。
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業容拡大につながるビジネスモデルを有する企業では、ブレインパッド<3655>も有力だろう。
マーケティング向けデータを分析するビッグデータ対応のシステム導入などで高い実力を有しており、米エヌビディアともパートナー関係があり人工知能(AI)関連株の代表格に位置づけられる。米グーグルをはじめグローバル企業の間で導入が加速する量子コンピュータ分野ではデータ分析で業容を飛躍させる可能性があると市場関係者が指摘されている。
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そして、日本ラッド <4736> 。
同社は、企業向け業務用ソリューション開発が主力。企業のIT投資意欲が高まるなか、システム開発需要を取り込んでいる。
産業用コンピュータ世界トップシェアのアドバンテック(本社台湾)とインダストリアルIoT分野におけるソリューションの販売で協業することを発表、これを材料視された経緯があり今後も注目が集まるだろう。
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量子コンピュータをグローバル企業の間で導入・実験する動きも活発化している。
欧米でも政府や企業が研究開発を加速している。
競争が激しくなっている背景には、既存の情報技術の限界を超え、社会に変革をもたらすイノベーションにつながる期待があるからだろう。
そうしたなか、文部科学省も、10年後の実用化に向けて大型の研究プロジェクトを来年度から立ち上げることを決めている。300億円を投下して同分野の開発を支援するそうだ。
今の株価水準でもまだ上値余地の期待はあるだろう。
紹介できていない量子コンピュータ関連銘柄はまだ沢山ある。今後の株式市場でも重要なテーマであり、動向に注目しておきたい。