今年もインフルエンザの全国的な流行を見せ始めている。
例年のインフルエンザは12月から3月にかけて流行している。
厚生労働省は、2017年12月4日から12月10日までのインフルエンザ発生状況を発表した。定点あたり報告数は4.06で、長崎県が10.51ともっとも多い。全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数は約20万人と推計される。
国内のインフルエンザウイルスの検出状況をみると、直近の5週間(2017年第45〜49週)では、AH1pdm09、B型、AH3型の順に多かったそうだ。
東京都でも11月30日、インフルエンザの流行が始まったと発表している。
都内419か所のインフルエンザ定点医療機関からの第47週(11月20日から11月26日)の患者報告数は1.86人/定点(週)だった。
今シーズン(2017年9月4日以降)において、都内の学校や社会福祉施設等で発生したインフルエンザ様疾患の集団感染事例は、11月26日までに95件報告されている。
インフルエンザの発生状況
集団感染事例の報告数
2017年11月30日報道資料 東京都:福祉保健局
流行し始めているインフルエンザだが、病院関係者によると今年はインフルエンザワクチンの製造が遅れており、供給が追いつかない状況だという。
インフルエンザのワクチン製造が遅れた影響で、医療現場のワクチン不足が深刻になっている。本格的な流行期を前に入荷のメドが立たず、予約を打ち切る医療機関もあるそうだ。
厚生労働省によると、今冬のインフルワクチンの製造量は約2528万本(前年比256万本減)となる見通し。これは昨シーズンの使用量(2642万本)を下回る。また、一部は出荷時期が遅れ、12〜1月ごろ医療機関に届く見込みという。
これを受け、株式市場でもインフルエンザ 関連銘柄として思惑買いが続いているようだ。
インフルエンザの流行は、株式市場の視線も集まりやすく個人投資家の注目が集まっている。
関連銘柄として、スイス製薬ロシュ傘下の医薬品大手の中外製薬<4519>は、抗インフルエンザ薬タミフルを国内で販売し高い実績を持っている。これからのシーズン需要高が予想される。
チャート出典:ストックウェザー株式会社
また、塩野義製薬<4507>は、インフルエンザを1回の服用で治療できる新薬の製造販売承認を厚生労働省に申請した。
1日2回、5日間服用するタミフルなどと比べて患者が使いやすい。また、タミフルと比べて効果が高く、臨床試験では服用の翌日には患者体内のウイルス濃度が低下していた。
世界初の仕組みで海外からも注目を集めている。塩野義は早期の承認取得で18年春の販売を目指している。
チャート出典:ストックウェザー株式会社
感染防止対策には予防接種はもとより、うがいや手洗い、マスク着用などへの重要性が高まってくる。このような中で関連製品の需要が拡大しそうだ。
ダイワボウホールディングス<3107>は、「抗ウイルス不織布」を開発、製造販売、高機能マスクを子会社で製造している。
ウイルスを含む飛沫を99%カットすることができる多機能マスク「プルシアンガード」を製造、販売していることから、インフルエンザ関連として注目されている。
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明治ホールディングス<2269>は、殺菌・消毒効果を持つうがい薬「明治 うがい薬」は絶大なブランド力を誇っている。
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手洗いやマスクの着用、人混みを避けるなどの予防を徹底することが大事だろう。
インフルエンザの流行が本格化する段階で、例年以上に警戒心を強める人が増えれば関連銘柄に恩恵が波及するだろう。関連企業などを中心に値動きに注目しておきたい。