市場が欲しがるのが「驚き」。
そして、二律背反的に求めるのが「安定」。
「意外安」というのは忌み嫌われるが切望されるのは「突飛高」。
これは、不変の真理だし不動の「心理」だろう。
一歩で墨守されるのが「安定」。
さほど動かず、しかも「株価が買値を下回らないこと」も絶対条件視される。
不動に安心しつつも、動かない相場には嘆息という場面にはよく遭遇する。
どちらかしか選べないとしたらどちらを優先する投資家さんが多いのだろうか。
これは、結構微妙なところだ。
兜町は「宝の山」。
そう言われていた時代もあっただろうし、あった筈。
でも、今とは違って相当胡散臭さが漂い、国民金融資産の健全な育成などはお題目だったようでもある。
当然ながら「産業資本の長期安定的供給」なんて考えられたこともなかっただろう。
それでもそこには宝と夢と汗があったに違いない。
今は閑散としているアローズだって2000人近くが一同に介した歴然たる取引の「場」。
清浄で神聖不可侵のようなイメージを持った音に聞こえるのは気の所為だろうか。
物理学では「場は時空の各点に関連する物理量」として残っているし「場の理論」もある。
「花札やトランプなどのゲームで、札を積んだり並べたりしてゲームを進めていく所。
また、マージャンで、東西南北の局面」。
「取引所内の売買をする所。立会場のこと」。
「場が立つ」という使われ方もあるようだ。
今でも「前場・ザラ場・後場」と「場」は残っている。
その「場」で行われていたのが「撃柝(ゲキタク)売買」。
集団競争売買のセリ商いで拍子木を打って商い成立の合図にしていた。
いわゆるセリだ。「出来申さず」カーン。
なんて言葉は、今は聞かれない。
その商いの対象は特定銘柄や指定銘柄。
始値と終値の決定に用いていた値段決定方法だ。
「複数の売り手と買い手とを相手に担当者が適当と思う値段を唱えて仮の商いを進める。売買量が一致したときに拍子木を打って商いを成立させるもの」。
その解説。
「証券市場の市場動向についてすばやい反応を示し、市場性が高く、かつ業種を代表するような人気の高い銘柄を証券取引所がとくに指定した株式」。
昭和29年(1954年)。
市場を活発化させることを目的にスタートした特定銘柄。
昭和53年(1978年)から平成3年(1991年)まで存在していた。
どんな銘柄だったのかと振り返ってみると・・・。
特定銘柄は平和不動産、日石、小松、松下、本田技研、三井物産、東京海上、日本郵船など。
指定銘柄は平和不動産、東レ、旭化成、日本石油、住友電工、日本電気、松下電器産業、三菱重工、トヨタ自動車、三井物産、東京海上火災保険、日本郵船など。
各業種の指標的存在という位置づけだった。
ゲキタクの復活は人的側面からも難しい(伝承芸能みたいなもの)かも知れない。
しかし、代表銘柄のパックがあっても悪くはないだろう。
指定銘柄は売買単位、決済期日、手数料など信用取引促進の諸策が組み込まれていたのが問題で廃止となったのが経緯。
今は低金利とは手数料の割引とか期日の短縮など、織り込まなくてもいい。
市場の代表銘柄がいることが重要だと思う。
日本経済が「ソフトバンクとファーストリテとファナック」では少し違和感があろう。
市場での戒めは不用意な観測。
「ダヴォス会議なんて株価インパクトはない」と言った市場関係者がいた。
たしかに、中長期は別にして目先的に材料になることは少ない。
「ダヴォス会議なんて」と言いたくなる気持ちもわかる。
しかし、今回はムニューシン財務長官の「ドル安歓迎発言」が重要視されての円高株安。
ダヴォスがなければこれもなかった。
過去の経験則に流されるままに市場観測していると間違うことも多い。
大げさに安川電機の業績の物足りなさを語るよりも静かに海外を見つめることも必要だ。
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