毎日コラム
ドローンには無限の可能性!?

9月14日サウジアラビアの東部州で、国営石油会社サウジ・アラムコの施設2カ所がドローンによる攻撃を受け、一気に中東の緊張が高まっています。
日々進化を続けるドローン技術ですが、ついにこれが悪用され、攻撃に利用されてしまった事に不安を覚える人も多いのではないでしょうか。

現在日本では、航空法やドローン規制法により住宅密集地や首相官邸、皇居などの上空や周辺での飛行が禁じられています。2020年東京五輪・パラリンピックなど大きな国際イベントを控え、国内のドローンテロ対策が進んでいます。

防衛省はドローンによるテロや危険な行為を防ぐため、飛行禁止区域を無許可で飛ぶドローンに妨害電波を発信し、制御できなくする「ジャミング(電波妨害)装置」の導入を決めており、来年度予算案の概算要求にジャミング装置や、網で捕獲する機材の取得に向けた費用を盛り込みました。 

ドローンはレーダーに映りにくいことから、検知技術の開発も進んでいます。
三菱電機<6503>は、悪意のある攻撃で発生する計測データの矛盾から攻撃を検知する「センサーセキュリティー技術」を、世界で初めて開発したほか、パナソニック<6752>は、32チャンネル集音アレイマイクと、IP対応の全方位カメラとを組み合わせることで、約300m先から飛来するドローンを確認することができる「ドローン検知システム」を開発、セコム<9735>は、カメラなどを搭載可能な直径約50cm以上のドローンが100m以内に接近すると、レーダーで自動的に検知、ドローンの方向と距離を表示するとともに、3D指向性マイクが当該方向の音を集音、近赤外照明付きの高速パンチルトズームカメラが自動追跡し、ライブ映像を表示することができるシステムを開発するなど、研究・開発が進んでいます。

価格が安いことからもドローンの軍事利用は一層進むという見方があり、防衛省内では、国内防衛のためさらに対策を研究していくことにしています。
 

元々軍事用に開発され、事件をきっかけに悪い意味で再注目を集めるドローンですが、産業向けに使われるようになってから日常生活においては徐々にそのニーズを高めています。
特に人手不足が深刻化している物流分野において、活用に向けた取り組みが活発化しています。

2013年にはAmazonが、ドローンを使った商品の無人宅配便を検討していることを公表し注目を集めました。
日本でも、2018年11月には日本郵政が、福島県南相馬市小高区の小高郵便局と浪江町の浪江郵便局間でドローンを使った荷物配送を開始、郵便局の業務で使う2キログラム程度の書類やパンフレットの輸送に限定してますが、ドローン宅配便の実用化に期待が高まっています。
千葉市ではドローンと地上配送ロボットを使ってマンションの玄関先まで運ぶ宅配実験を行っているほか、楽天は、静岡県藤枝市で中山間地域の住宅を対象に、日用品や弁当をドローンで届ける実証実験に取り組んでいます。

2018年9月に国土交通省は、人の目が届かなくなる場所でもドローンが飛べるよう航空法に基づく飛行承認の許可要領を改定しており、国の許可を得れば、監視する補助者がいなくてもドローンを飛ばせるようになりましたが、飛行場所は山間部などに限られ、都市部では飛行できません。
これらの実証実験は将来的には、都市部での飛行が可能になることも見据えており、少子高齢化が進む日本において人手不足は最大の社会問題であることから、政府が対策の切り札としてドローンの活用を検討することも考えられます。

物流以外でも今後、救援物資の配送・危険な場所の調査・災害救助など災害対策や、オフィスビルや大規模イベントの警備分野への導入により、働き方や産業に大きな変化をもたらすことも期待されています。

日本国内で2017年に503億円だったドローンの市場規模は、2024年度には5073億円に達すると見込まれるなど、まだまだ無限の可能性を秘めています。
市場の関心の高い「人工知能(AI)」や「次世代高速通信規格(5G)」などと密接にリンクしていることからも、今後果てしない商業的な可能性もっています。
高度なAI技術を搭載することで、物流や測量の効率・性能が高まるほか、IoT時代に必須の多数同時接続を可能にする5Gは、ドローンを普及させるうえでも重要なインフラとなるなど、新しいサービスが生まれればその都度、注目度が大きくなることは間違いありません。

技術が進歩し、正しく使えるよう法整備が進めば、ドローンは今後なくてはならないものになるでしょう。
関連したニュースや銘柄は引き続き目が離せません。

■ドローン関連銘柄
銘柄コード 社名 概要
2303 ドーン GIS(地理情報システム)ソフトの開発。防災関連としても注目が集まる。
2331 綜合警備保障 農業用無人ヘリの散布で30年のノウハウを持つ。警備ドローンの研究開発も手掛けている。
2667 イメージワン 搭載されたカメラを使って自動撮影ができる「MD4-200」と「MD4-1000」などを取り扱う。
3444 菊池製作所 自律制御システム研究所の野波健蔵特別教授と共同開発したドローンの量産を行う。
3681 ブイキューブ 自治体、企業向けドローン活用サービスを提供、災害や海難救助での対策、橋梁設備の定期点検などを手掛ける。
4425 Kudan 安価で簡素なカメラでも1ミリ―1センチメートル単位で自己の位置を把握して飛行できる3次元画像認識システムを開発。
6232 自律制御システム研究所 産業用ドローン「ACSL-PF1」を開発、多様なアプリケーションに対応する飛行性能や安全性、メンテナンス性を実現。
6702 富士通 2018年3月19日仙台市でNTTドコモと、災害発生時の被災状況をリアルタイムに把握しドローンが避難を呼びかける実証実験を行う。
津波映像をドローンでとらえ地図にマッピング、ブロックチェーンで情報共有する作業を担当。
6752 パナソニック 道路・橋・ダムなど各種インフラ設備に対し、ロボティクスと画像処理技術を活用したインフラ点検サービス「Smart Image Sensing」を提供。
9233 アジア航測 ドローンによる写真測量、ドローンパイロットスクールを運営
9474 ゼンリン 準天頂衛星「みちびき」を利用したドローンの実証実験
9735 セコム 2020年までに警備用ドローンの運用を目指す。

 

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