東京株式(前引け)=271円安反落、米関税懸念や円上昇で
12日午前の日経平均株価は反落し、前引けは前日比271円70銭安の3万8149円49銭だった。
前日の米国株市場ではNYダウはほぼ横ばいで引けたものの、ハイテク株中心に利食い圧力が表面化し、ナスダック総合株価指数は4日ぶりに下値を探った。外国為替市場では1ドル=144円を割り込む円高に振れており、これも輸出セクターには向かい風となった。ロンドンでの米中貿易協議が玉虫色で明確な進展が見えなかったほか、トランプ米大統領が、貿易相手国への相互関税一時停止措置に関してネガティブなコメントを発したことが伝わり、全体相場の重荷となっている。
日経平均株価はこのところ一方的な上昇が続いてきたとあって利益確定売りも出やすく、下げ幅は一時300円を超えた。
5月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想に届かず、米長期金利が低下し、ドル高・円安が進んだ。12日の東京株式市場では円高進行による輸出採算の悪化懸念からトヨタなどの自動車株の一角が売りに押された。
米ブルームバーグ通信は12日早朝に「トランプ米大統領が一方的に関税率を設定し、今後1週間半から2週間以内に各国・地域に書簡を送ると述べた」と伝えた。関税引き下げの交渉余地の乏しさや関税交渉延長の不透明感も日本株の売りを促した。
日経平均は急速に下げ渋る場面もあった。市場では「事業法人による高水準の自社株買いが続いているほか、このところの相場の戻りを背景に個人の投資余力は依然として大きい。日経平均のきょうの下げは利益確定売りの範囲内にとどまりそうだ」との見方があった。
後場の日経平均はマイナス圏で軟調に推移しそうだ。米国が中東地域から政府職員などの退避を始めたことが影響して原油価格が急騰したことも投資家心理を悪化させる要因となっている。また、トランプ米大統領が2週間以内に一方的に関税率を設定すると発表し、米関税政策の先行き不透明感を背景として手掛けにくい状況が続く中、買い戻しの動きは想定しにくいだろう。
東証株価指数(TOPIX)は小幅に反落した。前引けは11.06ポイント(0.40%)安の2777.66だった。三菱重や任天堂などの上昇が寄与し、プラスに転じる場面もあった。JPXプライム150指数は反落し、6.49ポイント(0.53%)安の1222.56で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆8278億円、売買高は7億2354万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1031。値上がりは512、横ばいは85だった。
業種別では、サービス業、金属製品、輸送用機器が下落した一方で、鉱業、石油・石炭製品、その他製品が上昇した。
個別では、三菱商事や三井物産などの商社株が軟調に推移した。また、レーザーテック、トヨタ自動車、東京エレクトロン、ファーストリテイリング、リクルートホールディングス、日立製作所などが下落した。中外薬や塩野義などの医薬品株も下げた。そのほか、第1四半期営業減益スタートをマイナス視されたシーイーシーが大幅安、ベイカレント、キオクシアホールディングス、マネジメントソリューションズなどが値下がり率上位となった。
一方、出光興産やコスモHDなどの石油関連株が上昇した。親会社のJX金属社長が資本関係を見直す可能性に言及したと伝わったのを受け、東邦チタニウムが急伸した。川崎重工業や三菱重工業、IHIのほか、三菱UFJや三井住友などの金融株が堅調に推移。任天堂、ソニーグループ、JT、ディスコ、サンリオなどが上昇した。ほか、住友ファーマがストップ高カイ気配となり、今期の連続2ケタ増益・増配見通しを好感されたANYCOLORが急騰、プロレド・パートナーズなどが値上がり率上位となった。
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