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【市況】3日ぶり反落17ドル安、米中摩擦が圧迫 |
15日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比17ドル15セント安の4万6253ドル31セントで終えた。米中貿易摩擦への懸念が根強く、ダウ平均の重荷となった。半面、同日に四半期決算を発表した金融が買われたことは相場を支えた。
米金融大手がこの日発表した決算は米景気の底堅さを示唆する内容だったことから買い安心感が広がり、ダウなど主要株価指数は上昇して取引を開始。ダウの上げ幅は一時400ドルを超えた。
ただ、中国のレアアース(希土類)の輸出規制強化で米中摩擦が再び激化するとの警戒感から、リスク回避の売りが膨らみ、ダウは値を消した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のミラン理事はこの日のイベントで、米中対立を踏まえ、景気下振れリスクが高まっていると言及し、追加利下げの必要性を訴えた。発言後、ダウなどはマイナス圏に沈んだが、「利下げで景気か支えられる」(日系証券)との期待感からプラス圏に切り返した。
米中対立や米政府機関の継続などのリスクが改めて意識され、その後のダウの買いの勢いは続かなかった。
前日にはトランプ米大統領が中国政府が米国産の大豆を「意図的に買っていない」などと非難し、米中関係を巡る懸念は株式の売りにつながった。
米政府機関の一部閉鎖は15日も続いた。米行政管理予算局(OMB)のボート局長は政府閉鎖の間に1万人を超える職員を削減する可能性があるとの考えを示したと伝わった。市場では「閉鎖が長引くほど、消費者心理への影響が出かねない」との見方もあり、相場の重荷となった。
パウエルFRB議長が前日に米政府機関の一部が閉鎖するなかで入手可能な経済データに基づくと、利下げを決めた9月から雇用とインフレの見通しは大きく変化していないと語った。市場では10月の追加利下げ観測も改めて意識され、15日も株買いを支えた。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、モルガン・スタンレーとバンク・オブ・アメリカが買われた。それぞれ15日発表の2025年7〜9月期決算で事業会社の売上高に相当する純営業収益と1株利益が市場予想を上回った。ダウ平均の構成銘柄では、JPモルガン・チェースが上昇した。
ニューヨーク連銀が15日発表した10月の製造業景況指数はプラス10.7と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(マイナス1.8)を上回った。「大手銀行の好決算とあわせて、米景気の底堅さを映す」として、投資家心理を支えた。
個別銘柄ではハネウェル・インターナショナルやトラベラーズ、セールスフォースが売られた。一方、ウォルマートやIBM、シスコシステムズは上昇した。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比148.379ポイント(0.65%)高の2万2670.080で終えた。
オランダの半導体製造装置ASMLホールディングが15日、26年12月期通期の売上高見通しは「25年を下回らない」との見方を示した。KLAやラムリサーチなど関連株が買われた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は9%高だった。
15日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比1010円高の4万8000円で終えた。この日は、米中貿易摩擦への懸念がくすぶる中でダウ工業株30種平均は小幅に反落したものの、前日に急落した反動で日経平均株価は大きく反発しており、シカゴ市場の日経平均先物には買いが優勢だった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
48000 ( +190 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
48100 ( +290 )
( )は大阪取引所終値比
15日の英FTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比28.02ポイント(0.29%)安の9424.75で終えた。貿易問題を巡る米中の対立が激しさを増すか、事態の推移の見極めたいと投資家には慎重姿勢が根強い。
FTSE100種指数は高値圏での推移が続いており、目先の利益確定などを目的とした売りが出やすかった。英BAEシステムズを含め防衛・航空や、製薬の英アストラゼネカなどヘルスケアの関連銘柄で売りが優勢だった。英HSBCホールディングスといった金融が売りに押された。
FTSEの構成銘柄では、広告大手WPPが3.59%高、高級衣料のバーバリーが3.36%高、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスが2.95%高と上昇。一方、格安航空大手イージージェットは4.09%安、防衛大手バブコック・インターナショナル・グループは3.23%安、航空・防衛大手BAEシステムズは2.74%安と値を下げた。
15日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前日比55.57ポイント(0.22%)安の2万4181.37で終えた。米中対立について事態の推移を見極めたいと、投資家に慎重姿勢が根強い。目先の利益を確定する目的の売りに押された。DAXは前日比で高く推移する場面もあり、下値を探る動きは限られた。
個別では、化学大手BASFが2.28%高、化粧品大手バイヤスドルフが1.90%高、化学品商社ブレンタークが1.69%高と買われた半面、防衛大手ラインメタルは5.09%安、ヘルスケア大手フレゼニウスは2.10%安、人工透析製品・サービスのフレゼニウスメディカルケアは2.04%安で終了した。
欧州株式市場で、フランスの株価指数CAC40は反発した。終値は前日比1.98%高の8077.00と3日以来の高値となった。ルコルニュ首相が6日に辞意を表明したのをきっかけに同国の政治不安が急速に強まっていたが、同指数は6日以降の下落分を取り戻した。
首相に再任したルコルニュ氏率いる内閣が存続する可能性が高まったとの見方から、フランスの政治情勢が不安定さを増すとの懸念がひとまず和らいでいる。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが前日比12%高で終えるなど、時価総額が大きい高級ブランド株への買いも指数を押し上げた。
LVMHが14日公表した2025年7〜9月期の売上高が市場の想定ほど落ち込まず、消費関連株の買いを誘った。一方で仏タレス、サフランといった防衛の関連銘柄で売りが優勢だった。