【市況】反落337ドル安、トランプ関税が重荷 |
1月31日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比337ドル47セント安の4万4544ドル66セントで終えた。
トランプ米政権のレビット大統領報道官は31日の記者会見で、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国への10%の追加関税を2月1日から課すと説明。関税政策が輸入品価格の上昇を通じてインフレ再燃を招くとの懸念から、小売りや日用品など幅広い銘柄に売りが出た。
ダウ、ナスダックともにプラス圏で推移していたが、市場では「関税引き上げが回避されるとの楽観論」(日系証券)がはく落した。
米商務省が朝方発表した昨年12月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.6%上昇と、伸びが前月(2.4%上昇)から拡大したものの、市場予想と一致。相場に大きな影響を与える材料とはならなかった。
米政権が2月からカナダやメキシコなどに対して新たな関税を課すと改めて伝わり、米経済やインフレへの影響を懸念した売りが優勢になった。ダウ平均の下げ幅は370ドルを超える場面があった。
米債券市場では長期金利が午後に上げ幅を拡大した。金利上昇で株式の相対的な割高感が意識されやすくなったことも、株売りにつながった。
ただ、ダウ平均は取引開始直後には2024年12月4日に付けた最高値(4万5014ドル)を上回る場面があった。アップルは下げに転じる前に一時は前日比4%上昇していた。30日夕に発表した24年10〜12月期決算で売上高が市場予想を上回ったうえ、説明会で1〜3月期の増収見通しを示した。
ダウ平均の構成銘柄ではシェブロンが4.5%安となった。31日朝に発表した24年10〜12月期決算で特別項目を除く1株利益が市場予想を下回った。エヌビディアやシャーウィン・ウィリアムズ、ナイキ、ボーイングも売られた。一方、アムジェンやシスコシステムズは上昇した。
ダウ平均は月間で2000ドル高となり、2カ月ぶりに上昇した。
ナスダック総合株価指数も反落した。前日比54.307ポイント(0.27%)安の1万9627.442(速報値)で終えた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やインテルなど半導体株の一角が下げた。ナスダック指数は月間では1.6%高となり、3カ月連続で上昇した。
NYダウ 44544.66 ( -337.47 )
S&P500 6040.53 ( -30.64 )
NASDAQ 19627.44 ( -54.31 )
米10年債利回り 4.540 ( +0.024 )
NY(WTI)原油 72.53 ( -0.20 )
NY金 2835.0 ( -10.2 )
VIX指数 16.43 ( +0.59 )
1月31日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比230円安の3万9355円で終えた。
NYダウ平均は、トランプ米政権が翌日から実施する方針の高関税政策に圧迫され、反落した。同日の米株式相場が下げ、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが波及した。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39355 ( -275 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39395 ( -235 )
( )は大阪取引所終値比
1月31日の英FTSE100種総合株価指数は5日続伸した。終値は前日比27.08ポイント(0.31%)高の8673.96と、連日で最高値を更新した。米株式市場で、前日に上昇した主要株価指数が31日も上昇して始まり、投資家心理を上向かせた。
航空機エンジン大手ロールス・ロイス・ホールディングスや防衛のBAEシステムズといった資本財関連や、銀行株に買いが優勢だった。英シェルなどエネルギーも上げた。
FTSEの構成銘柄では、一部事業のスピンオフ(分離・独立)計画を発表した医療機器・精密部品大手スミスグループが10.78%高と急伸。商業用不動産大手ランド・セキュリティーズが2.72%高、包装資材大手モンディが2.39%高で続いた。一方、産金大手フレスニロは2.32%安、保険大手プルデンシャルは1.54%安、流通大手セインズベリーは1.47%安となった。