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【市況】続伸54ドル高、インフレ懸念和らぐ |
30日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比54ドル34セント高の4万2270ドル07セントで終えた。
同日発表の物価指標を受けてインフレ懸念が後退し、主力株に買いが入った。半面、米中の貿易を巡る緊張感は相場の重荷となり、ダウ平均は300ドルあまり下げる場面があった。
トランプ氏はSNSへの投稿で、「中国は合意を完全に破った」と批判した。関税措置を巡る協議が進展していないことにいら立ちを示したものとみられ、市場では米中通商摩擦への警戒感が再浮上。ハイテクや金融などの銘柄の売りが先行した。
ただ、ミシガン大学が同日発表した5月の米消費者態度指数(確報値)は52.2と市場予想(51.5)を上回った。過去2番目の低さとなった速報値(50.8)から上方修正された。1年先のインフレ予想は6.6%、長期予想は4.2%とそれぞれ速報値から下方修正された。
市場予想を上回ったことで景気減速懸念が後退。市場では「米経済の底堅さが確認された」との声が聞かれた。
ダウはプラス圏に到達した。米金融大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)による債券市場の先行きを懸念した発言をきっかけに、幅広い銘柄の売りが一時加速したものの、引けにかけてプラス圏に切り返した。
30日発表の4月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比で2.1%上昇と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(2.2%上昇)を下回った。市場では「インフレの減速傾向が続いていることを示した」と受け止められた。
ダウ平均は下げる場面もあった。トランプ氏は30日、自身のSNSに、中国が米国との「合意を完全に破っている」と投稿した。29日にはベッセント米財務長官が中国との貿易交渉について「やや行き詰まっている」との認識を示したと伝わった。これとは別に、米ブルームバーグ通信は30日、米政権が中国のハイテク部門に対する規制を拡大する計画だと報じた。
一方、在米中国大使館の担当者は30日に米NBCニュースに対し、トランプ氏の投稿について「このところ中国は米国の半導体分野などの輸出規制措置の乱用に対する懸念を高めている」と語り、「中国は今一度米国が誤った行動を直ちに是正するよう強く求める」とも述べた。
トランプ氏は30日午後の記者会見で「中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談することになるだろう」と述べた。協議が「うまくいくことを願う」とも語ったが、市場では米中の緊張が再び高まるとの懸念が改めて広がった。
個別では、ウォルマートやユナイテッドヘルス・グループ、ウォルト・ディズニーなどが買われた。半面、ナイキやキャタピラー、シェブロンは下げた。四半期決算を受けて前日に大きく買われたエヌビディアも下落した。
ダウ平均は月間では1600ドル高となり、4カ月ぶりに上昇した。関税を巡り米政権と各国・地域の交渉が進展したことが追い風となった。
ナスダック総合株価指数は反落した。前日比62.105ポイント(0.32%)安の1万9113.767(速報値)で終えた。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が同日、今後も米政府効率化省(DOGE)の仕事を支援していく姿勢をみせたことを受け、テスラが3%安となった。ナスダックは月間で9.5%高となり、上昇率は2023年11月以来の大きさとなった。
S&P500種株価指数は反落した。前日比0.48ポイント安の5911.69で終えた。月間では6.1%高と、23年11月以来の上昇率となった。
【シカゴ日本株先物概況】
30日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比210円安の3万7705円で終えた。同日の日本の株式相場が下落したほか、米株式市場での半導体株安などが重荷となった。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
5月30日の英FTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反発し、前日比55.93ポイント(0.64%)高の8772.38で終えた。前日の米国株高などを背景に、買いが先行した。英アストラゼネカとGSKといった時価総額が大きい製薬株が上昇し、指数を押し上げた。
FTSEの構成銘柄では、第一生命ホールディングスが出資を発表した金融大手M&Gが5.48%高と急伸。製薬大手GSKが3.50%高、通信大手BTが3.16%高で続いた。一方、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は2.01%安、蒸気システム大手スパイラックス・サーコは1.72%安、給食サービス大手コンパス・グループは1.70%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
5月30日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反発し、前日比64.25ポイント(0.26%)高の2万3997.48で終えた。前日の米株高を背景に投資家心理が改善し、ドイツを含む欧州の主要な株式市場には買いが先行した。
だが午後に入りトランプ米大統領によるSNSへの投稿をきっかけに、貿易問題を巡る米中の対立が再び激しくなりかねないとの警戒感が広がると株式には売りが増え、DAXは上昇幅を縮めた。
個別では、通販大手ザランドが1.98%高、ヘルスケア大手フレゼニウスが1.89%高、ミュンヘン再保険が1.31%高と買われた。半面、医療機器のザルトリウスは3.30%安、高級車メーカーのポルシェは2.10%安、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズは1.40%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は4日続落し、前日比0.35%安で終えた。
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