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【市況】反発619ドル高、週末控え主力株に買い広がる |
11日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比619ドル05セント(1.56%)高の4万0212ドル71セントで終えた。週末を控え、主力株の一部への見直し買いが膨らんだ。ダウ平均の上げ幅は一時800ドルあまりになった。
米中の貿易戦争激化への懸念から売りが先行し、マイナス圏に沈む場面もあった。ただ、この日発表された堅調な米金融大手の決算が好感されたほか、英紙フィナンシャル・タイムズによるボストン連邦準備銀行のコリンズ総裁へのインタビューなどが好感されて上伸した。コリンズ氏は金融市場の動揺に対して「必要ならば断固として行動する用意がある」と発言。投資家心理が改善した。
JPモルガン・チェースがこの日発表した2025年1~3月期決算は増収増益を計上。米メディアによると、純営業収益と、調整後の1株当たり利益は市場予想をともに上回った。モルガン・スタンレーなどの決算も堅調な内容だった。
一方、米中貿易戦争による景気後退懸念は払しょくされていない。中国政府は11日、トランプ米政権が対中追加関税率を計145%まで引き上げたことを受け、米国からの全輸入品に課す報復関税の税率を84%から125%にすると発表。日系証券筋は「米中の対立は引き続き相場の重荷となっている」と指摘した。
個別銘柄では、JPモルガン・チェースが4%高で終えた。朝発表の2025年1〜3月期決算で1株利益が市場予想以上だったうえ、25年12月期通期の収益見通しをほぼ据え置いたことが買い材料となった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、同日朝に四半期決算を発表したモルガン・スタンレーや資産運用のブラックロックも好決算と受け止められ、金融株に買いが広がった。
JPモルガンの決算を受け、市場では「決算や見通しは絶好調だった」との声が聞かれた。この日はハイテク株への買いも目立ち、アップルは4%高、エヌビディアは3.1%高となった。マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムも上げた。
ボストン連銀のコリンズ総裁は11日、金融市場が混乱した場合、米連邦準備理事会(FRB)は安定化のために「確実に対処する準備ができる」と語ったと、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版が伝えた。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も同日の米CNBCの番組で金融市場に「まだ大きな混乱はみられない」との見方を示した。FRB高官発言が投資家の安心感につながった面もあった。
レビット米大統領報道官は同日、各国の関税を巡る交渉について「わずか数日の間に15以上の提案が検討されている」と話した。関税引き下げへの期待も追い風となった。
朝発表の3月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.4%下落した。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想は0.2%増だった。10日発表の3月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことに続き、「ディスインフレを示した」との見方があった。ただ、市場の関心は関税引き上げによる影響に集中しており、指標を受けた積極的な売買は限られた。
ただ、関税を巡る先行き不透明感は根強い。中国政府は11日、米国製品に対する輸入関税を84%から125%に引き上げると発表した。トランプ米政権による追加関税発動をきっかけに、双方の応酬が激化していることは相場の重荷となった。ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁は11日の講演で、「経済見通しの不確実性は多くの要因を反映しているが、関税や貿易政策の経済への影響がリストの最上位にあることは確かである」と語った。
ミシガン大学が11日に発表した4月の米消費者態度指数(速報値)は50.8と、市場予想(54.6)を下回った。貿易戦争や景気後退への懸念が起因した。一方、1年先の予想インフレ率は6.7%と前月(5.0%)から上昇し、1981年以来の高水準となった。長期の予想も前月の4.1%から4.4%に上昇した。市場では「消費者の悲観が一段と強まっている」(ウェールズ・ファーゴ)と受け止められた。景況感が悪化するなか、物価上昇への警戒も株価の上値を抑えた。
そのほかのダウ平均の構成銘柄では、ビザやIBM、メルクやシャーウィン・ウィリアムズが上げた。半面、ウォルト・ディズニーやナイキは下げた。ダウ平均は週間で1897ドル上昇し、週間の上げ幅は24年11月上旬以来の大きさとなった。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比337.145ポイント(2.05%)高の1万6724.456(速報値)で終えた。週間の上昇率は7.2%と、22年11月上旬以来の大きさだった。アルファベットやブロードコムが買われた。
S&P500種株価指数は反発した。前日比95.31ポイント(1.80%)高の5363.36で終えた。週間では5.7%上昇し、上昇率は23年11月上旬以来の大きさとなった。
NYダウ 40212.71 ( +619.05 )
S&P500 5363.36 ( +95.31 )
NASDAQ 16724.46 ( +337.15 )
米10年債利回り 4.494 ( +0.063 )
NY(WTI)原油 61.50 ( +1.43 )
NY金 3244.6 ( +67.1 )
VIX指数 37.56 ( -3.16 )
【シカゴ日本株先物概況】
11日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比250円高の3万3650円で終えた。主力株の一部への見直し買いが広がり、米株式相場が上昇した。シカゴ市場の日経平均先物にも買いが入りやすかった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
33650 ( +130 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て) 33815 ( +295 )
※( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
11日の英FTSE100種総合株価指数は続伸し、前日比50.93ポイント(0.64%)高の7964.18で終えた。11日発表された2月の英実質国内総生産(GDP)が前月比0.5%増と市場予想を上回った。英経済への懸念が後退し、投資家心理を支えた。ただ関税を巡る米中の対立などが世界経済に悪影響を及ぼすとの警戒感は根強く、指数の上値を抑えた。
FTSEの構成銘柄では、産金大手フレスニロが7.37%高、同業エンデバー・マイニングが6.43%高、流通大手テスコが4.16%高と買われた一方、保険会社セント・ジェームズ・プレイスは4.30%安、石油大手BPは2.90%安、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスは2.06%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
11日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比188.63ポイント(0.91%)安の2万0374.10で終えた。貿易摩擦が世界景気や欧州企業の収益に逆風になるとの懸念から、ソフトウエアのSAP、独シーメンスといった時価総額が大きい銘柄に売りが出て、指数の重荷となった。
個別では、不動産大手ボノビアが5.94%高、分子診断大手キアゲンが3.08%高、医薬大手メルクが2.53%高と上昇した半面、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズは5.81%安、総合電機大手シーメンスは3.35%安、航空機大手エアバスは3.33%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比0.29%安で終えた。
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