東証プライム市場(前引け)=633円高と大幅反発、円安を追い風にリスクオン加速
29日午前の日経平均株価は大幅に反発し、前引けは前日比633円30銭高の3万8355円70銭だった。
きょう前場は買い優勢で始まった後、一段とリスク選好の流れが強まり、日経平均は大幅高となった。600円を超える上昇で3万8300円台に駆け上がり、前場の高値近辺で取引を終えている。前日は欧米株市場が安かったものの、日本時間早朝に発表されたエヌビディア<NVDA>の決算が好調な内容を示し時間外取引で大きく買われたことから、マーケットのセンチメントが強気に傾いた。値がさのハイテク株などに買いが先行した。その後も米関税措置の違法判断をきっかけとした急速な円安・ドル高進行を手掛かりに、海外短期筋が株価指数先物への買いを膨らませたことで、日経平均は一方的に上げ幅を拡大した。
米国時間28日にエヌビディアが発表した2025年2〜4月期決算は売上高が前年同期比69%増の440億6200万ドルと四半期としては過去最高となり、市場予想も上回った。生成人工知能(AI)の強い需要は続いているとの見方から東エレク、アドテストなど半導体関連株が買われ、日経平均の押し上げ要因となった。
ニューヨークの国際貿易裁判所が28日、トランプ関税について一部差し止める決定を下したと報じられたことも、外国為替市場での円安進行と合わせ先物への買いを誘導し、上げ足を助長する格好となった。
米国際貿易裁判所は28日(日本時間29日午前)、トランプ米大統領が発動した関税を違法だとして阻止する判断を下した。米国の通商政策による世界経済の減速懸念が後退したとの楽観的な受け止めから、29日午前の東京外国為替市場で円相場は1ドル=146円近辺まで下落する場面があった。海外短期筋が円安進行に歩調をあわせて日経平均先物に断続的な買いを入れたことが、日経平均の一段高をけん引した面も大きかった。
市場関係者は、「エヌビディアの決算、米関税措置の違法判断、いずれも日本株の強いポジティブ材料だ。特に米国の関税措置は輸出企業の多い日本株の重荷だっただけに、企業業績が上振れすることへの思惑を高めている」とみていた。
後場の日経平均株価は、プラス圏で堅調に推移しそうだ。前場の終盤にかけて本日高値付近まで上げ幅を広げており、後場も引き続き半導体関連企業と輸出株が指数を牽引する可能性があろう。一方、一昨日27日の日本経済新聞の記事では、参議院選挙が7月に迫るなか、日本株市場では政権運営の不安定さに注目が集まっていると報じられていた。足元は物価高への国民の不満が強く、支持率が低迷。与野党からは消費減税を求める声があがっており、減税政策は株価を押し上げる材料となることが多いが、金利上昇を招くとの警戒も強いようだ。マクロ環境がやや落ち着きを見せ始める中、まだ先のイベントにはなるが参院選の動向も頭の片隅には置いておきたい。
東証株価指数(TOPIX)は続伸し、前引けは40.62ポイント(1.47%)高の2810.13だった。JPXプライム150指数は反発し、21.35ポイント(1.75%)高の1241.39で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3370億円、売買高は8億3407万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1130。値下がりは420、横ばいは75だった。
業種別株価指数(33業種)は非鉄金属、電気機器、輸送用機器、証券・商品先物取引業などが上昇。パルプ・紙、陸運業が下落した。
個別では、売買代金トップに躍り出たフジクラが大幅高、アドバンテスト、ディスコ、東京エレクトロン、ルネサスエレクトロニクスなど半導体関連が軒並み上昇した。川崎重工業も買いが優勢、三井住友や三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも堅調。トヨタ自動車やホンダなど自動車株が高い。日本ヒュームが急騰、楽天銀行、SBIホールディングスも値を飛ばした。ソニーGが株式分割を考慮した上場来高値を更新し、任天堂、リクルートHD、日立などが上昇した。ほか、政府が大規模下水道更新工事を30年度までに完了目標と伝わり物色が向かった日本ヒュームが大幅高、楽天銀行、SBIホールディングス、テイカなどが値上がり率上位となった。
半面、バンナムHD、ニトリHDが安い。JR東やJR東海などの陸運株がやや軟調に推移。第一三共が冴えず、ソシオネクスト、ベイカレントが大幅安。gumi、GMOインターネットなども安い。そのほか、高利回り銘柄として配当権利落ちの影響強まったタマホームが大幅安、ビーウィズ、ライク、パルグループHDなどが値下がり率上位となった。
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