NY株/欧州株概況
330ドル安、米利下げ観測の後退が重荷
【市況】330ドル安、米利下げ観測の後退が重荷

7月31日のNYダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比330ドル30セント安の4万4130ドル98セントで終えた。
 
朝発表の米指標が経済や労働市場の底堅さを示したが、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが遠のくとの見方から、株売りが出た。ユナイテッドヘルス・グループやメルクといったヘルスケア株の下げも重荷となった。
 
米商務省がこの日発表した6月の米PCE物価指数は、前年同月比2.6%上昇と、伸び率は2カ月連続で拡大。市場予想(2.5%上昇=ロイター通信調べ)も上回った。変動の激しいエネルギーと食品を除いたコア指数の上昇率は前月と同水準の2.8%。両指数ともに米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標である2%を依然として上回っており、市場では早期利下げ観測が後退する中、リスク回避の売りが膨らんだ。
 
週間の米新規失業保険申請件数は21万8000件と、市場予想(22万2000件)を下回った。
 
市場では、「FRBのパウエル議長や(利下げに消極的な)タカ派メンバーには都合の良い内容だった」との受け止めがあった。パウエル議長は前日の記者会見で9月の政策判断を決めていないことを強調し、利下げ観測をけん制していた。経済指標が米経済の底堅さを示したことも、市場の利下げ観測を後退させた。
 
個別銘柄では、アナリストが投資判断を引き下げたユナイテッドヘルス・グループが6.2%安となる場面があった。メルクやアムジェンも下げた。トランプ米大統領は31日、自身のSNSで米欧の大手製薬会社に送付した書簡を公表した。米国で提供される医薬品の価格を下げることを目的に、「最恵国待遇」を低所得者向けの米公的医療保険「メディケイド」にも適用することなどを求め、業績を下押しするとの見方から関連株に売りが出た。
 
一方、ダウ平均は上昇する場面もあった。マイクロソフトが一時8.2%高となり、時価総額は4兆ドルを超える場面があった。前日夕発表の2025年4〜6月期決算で売上高や1株利益が市場予想を上回った。クラウド需要が底堅く、7〜9月期の主要3部門をあわせた売上高見通しも市場予想以上となった。
 
ダウ平均の構成銘柄ではないが、メタも12.8%高となる場面があった。前日発表の4〜6月期決算や7〜9月期の売上高見通しが市場予想を上回った。経営陣は人工知能(AI)開発への設備投資額を増やす見通しを示し、好感された。マイクロソフトとメタにはアナリストの目標株価引き上げが相次いだ。
 
その他のダウ平均の構成銘柄では、ナイキやIBM、ボーイングが下げた。半面、スリーエム(3M)やアマゾン・ドット・コム、トラベラーズは買われた。
 
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比7.226ポイント安の2万1122.448で終えた。
 
 


【シカゴ日本株先物概況】
 
7月31日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比125円高の4万765円で終えた。この日は米株式相場が下落した一方で日経平均株価が反発し、シカゴ市場の日経平均先物には買いが優勢となった。
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
 40765 ( -435 )

シカゴ日経225先物 (ドル建て)
40795 ( -405 )

( )は大阪取引所終値比






【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

7月31日の英FTSE100種総合株価指数は前日比横ばい圏で終えた。終値は同4.13ポイント(0.04%)安の9132.81だった。米国市場で取引される銅先物の相場急落を背景に資源株が下げた。
半面、好決算を公表した銘柄への買いが相場を下支えした。
米市場での銅先物の価格急落は、米政権が30日に銅と関連製品を輸入する際の関税について方針を示したことがきっかけとなった。高関税が課されると市場が見込んでいた精錬銅が当面は関税の対象から外れる見通しとなり、市場の警戒が緩んだ。
 
FTSEの構成銘柄では、包装資材大手モンディが12.07安と急落。31日に2025年1〜6月期決算を公表したロンドン証券取引所グループは7.91%安、業績は市場予想に沿った水準だったものの、定額でデータなどを提供するサブスクリプション型サービスの伸び悩みが嫌気された。産銅大手アントファガスタも5.89%安と下げた。
 
一方、保険会社セント・ジェームズ・プレイスは11.89%高、31日に半期決算を公表した有害生物管理会社レントキル・イニシャルは9.49%高、好調な1〜6月期決算とあわせて通期の業績見通しを引き上げた航空機エンジン大手ロールス・ロイスは8.50%高と大きく買われた。
 
 



■ドイツ・フランクフルト株価指数
 
7月31日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反落し、前日比196.75ポイント(0.81%)安の2万4065.47で終えた。主要企業による決算発表が本格化するなか、米関税政策が企業収益の逆風になる可能性が改めて意識されている。
 
個別では、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズが4.43%安、通販大手ザランドが4.21%安、スポーツ用品大手アディダスが3.92%安と下げを主導。半面、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズは1.76%高、香料大手シムライズは1.71%高、高級車メーカーのポルシェは1.39%高で取引を終えた。


■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は3日ぶりに反落し、前日比1.14%安で終えた。

 

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