東京株式(大引け)=467円安と反落、米関税政策の不透明感と円高

【大引け概況】
30日の日経平均株価は反落し、終値は前日比467円88銭安の3万7965円10銭だった。
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前日の米株式市場では、NYダウは117ドル高と反発した。しかし、トランプ関税に対して米国際貿易裁判所はその大部分を違法としたが、米連邦巡回控訴裁判所は29日にその効力を一時的に停止するとの判断を下し、米関税政策に対する不透明感が強まった。また、円高が警戒されるなか日経平均株価は下落してスタート。
朝方に680円あまり下落し3万7700円台まで値を下げる場面があった。為替相場も午前10時過ぎに一時1ドル=143円台前半まで円高が進み、ハイテク株などが売られた。後場に入ってからは下げ幅が縮小したが、大引けにかけ売り直され3万8000円台を割り込んだ。米国時間30日には4回目の日米関税交渉が見込まれているほか、米個人消費支出(PCE)物価指数も発表されることから積極的な買いは手控えられた。
東証プライム市場の売買代金は概算で6兆5106億円と、4月7日以来の大きさだった。
米連邦巡回区控訴裁判所が29日、トランプ政権の関税の大部分を無効とした米国際貿易裁判所の一審判決について、その執行を一時的に停止する判断を下した。29日の日経平均は、関税無効や決算発表後の米エヌビディアの上昇への期待から急伸していたため、30日は戻り待ちや利益確定目的の売りも出やすかった。
大引けで米MSCIの株価指数「グローバルスタンダード指数」の構成銘柄の定期入れ替えに伴う売買が発生。全体では150億円程度の資金流出が見込まれ、約2000億円と推計された1年前に比べると相場に対する影響は限定的だったとの声があった。
一方、需給面では5月のMSCIの定期見直しが1年で最大のイベントと市場で認識されている。「流動性が担保される中で機関投資家の持ち高調整を目的とした取引が集中した可能性があり、思惑的な売買が膨らんだ」。大引け間際のクロージング・オークション(CA)の時間帯に約3兆円の売買が成立した。
日米国時間30日には第4回目の日米関税交渉が見込まれており、その結果が注視されているが、来週からは6月相場に突入する。
当面のスケジュールで注目されるのは「主要7カ国首脳会議(G7サミット)での日米首脳会談だろう」(アナリスト)との声が出ている。15日から17日にカナダで開催されるG7サミットでは日米首脳会談が予定されており、どこまでトランプ関税の協議が進むかが注視されている。市場には「状況次第では相互関税措置の一部停止措置が終了する7月9日近辺まで、交渉の妥結はない可能性もある」との見方も出ている。いずれにせよ、ハイテク株など外需銘柄の本格反騰に入り、日経平均株価が3万8000円台を一気に突き抜けるためには、トランプ関税の先行きが見え視界不良相場が一掃されることが待ち望まれているだろう。
東証株価指数(TOPIX)は6営業日ぶりに反落した。終値は10.45ポイント(0.37%)安の2801.57だった。JPXプライム150指数は反落し、9.91ポイント(0.80%)安の1232.46で終えた。
東証プライムの売買高は27億1183万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は632。値上がりは939、横ばいは59だった。
業種別株価指数(33業種)は精密機器、電気機器などが下落。水産・農林業、医薬品、パルプ・紙などが上昇。
個別銘柄ではディスコ、ルネサスエレクトロニクス、アドバンテストレーザーテック、スクリーンHD、ルネサスエレクトロニクスなど半導体株の下げが目立った。また、日野自動車、マツダ、日産自、SUBARU、三菱自など自動車株も不透明な米国関税政策が嫌気されて下落。このほか、ソフトバンクグループ(SBG)、HOYA、コニカミノルタ、キーエンス、ソニーグループ、フジクラ、IHI、任天堂、サンリオ、日立製作所が下落した。
半面、国内証券会社によるポジティブなレポートが材料視されて東海カーボンが買われたほか、三菱重工業や川崎重工業が高く、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループが値を上げた。伊藤忠商事やダイキン工業が買われ、ディー・エヌ・エーや楽天銀行、クボタが堅調だった。大塚HD、エーザイ、協和キリン、武田薬品など医薬品株の上げが目立った。また、中国への水産物輸出再開の動きが伝わったことからニチレイ、ニッスイも買われた。このほか、資生堂、良品計画、住友化学などが上昇した。
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