NY株/欧州株概況
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【市況】ベース記事
12日のNYダウ工業株30種平均は大幅に反発し、前週末比1160ドル72セント(2.81%)高の4万2410ドル10セントと、3月26日以来の高値で終えた。
 
米中高官は10、11両日にスイスで米高関税政策を巡り協議した。ベセント米財務長官が12日、米中両国が関税率を115%引き下げ、90日間の交渉期間で合意したと発表。米中対立が緩和に向かい景気後退リスクが低下するとの観測が広がり、アマゾン・ドット・コムやアップルなどハイテク銘柄が相場をけん引した。
 ダウは今月に入ってから12日までの8営業日で1700ドル超上昇し、先月の下げを帳消しにした。市場参加者は「一段高には規制緩和しかない」とみている。トランプ米政権は発足当初こそ規制緩和に前向きとされていたが、高関税政策ばかり打ち出す姿勢に失望感が広がっていた。
 
14日までに、米国は累計145%の関税率を30%に、中国は125%を10%にそれぞれ下げる。引き下げた関税のうち一部は90日間停止し、協議を続けるという。10〜11日に開いた米中協議後の共同声明によると、米国は相互関税を当初の34%に戻し、上乗せ部分の24%を90日間停止して基本税率の10%にする。違法薬物対策の名目で課した20%の追加関税を含めると累計で30%になる。
 
トランプ米大統領は前週末に中国への関税率は「80%がよさそうだ」との考えを示していた。同水準を大幅に下回る税率となり、「トランプ氏が関税を交渉戦術として利用していたということに市場は極めて楽観的に反応した」と受け止められた。
 
「中国という貿易大国との引き下げ合意となり、投資家心理がかなり上向いた」との声も聞かれた。今後の協議には課題も残るとみられるが、貿易摩擦の激化で経済が大きく悪化するとの懸念が後退した。
 
投資家のリスク選好姿勢が強まったことで米債券市場では債券に売りが出て、長期金利が一時4.47%とおよそ1カ月ぶりの高水準を付けた。外国為替市場では米景気の先行き懸念が和らいだことで、ドルが主要通貨に対して上昇。対円では1ドル=148円半ばと4月上旬以来の円安・ドル高水準となった場面があった。
 
個別銘柄ではハイテク株への買いが目立った。市場では「供給網を巡る懸念が大幅に和らぐことになる」(ウェドブッシュ証券)との見方があった。エヌビディアは5.4%高、アップルは6.1%高、アマゾン・ドット・コムは8%高と軒並み上昇した。消費関連株や景気敏感株も広く上昇し、ナイキが7.3%、キャタピラーが5.1%、ゴールドマン・サックスが4.2%上げた。
 
一方、コカ・コーラやマクドナルド、トラベラーズといったディフェンシブ株は売られた。トランプ米大統領は12日、薬価を引き下げるための大統領令に署名し、米国の患者が製薬会社から医薬品を直接購入できる仕組みを構築する方針を公表した。値下げが収益を下押しするとの見方から、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が下落した。薬価交渉の仲介事業を傘下に持つ医療保険株の重荷となり、ユナイテッドヘルス・グループも下げた。
 
ナスダック総合株価指数は大幅に4日続伸した。前週末比779.428ポイント(4.34%)高の1万8708.344(速報値)と、2月下旬以来の高値で終えた。テスラが6.7%高、メタプラットフォームズが7.9%高と目立った。
 
S&P500種株価指数は大幅に反発した。前週末比184.28ポイント(3.25%)高の5844.19で終え、3月上旬以来の高値となった。
 
 
NYダウ 42410.10 ( +1160.72 )
S&P500 5844.19 ( +184.28 )
NASDAQ 18708.34 ( +779.42 )
米10年債利回り 4.470 ( +0.087 )
 
NY(WTI)原油 61.95 ( +0.93 )
NY金 3228.0 ( -116.0 )
VIX指数 18.39 ( -3.51 )



【シカゴ日本株先物概況】
12日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前週末比1290円高の3万8760円で終えた。この日は米中が互いに課した追加関税の大幅引き下げで合意したことを受けて米株式相場が大幅に上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
38760 ( +1060 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38820 ( +1120 )
 
( )は大阪取引所終値比
 
 





【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 
12日の英FTSE100種総合株価指数は続伸し、前週末比50.18ポイント(0.58%)高の8604.98と4月2日以来の高値で終えた。米中両政府が互いに課す高関税を90日間大幅に引き下げると発表し、世界経済への悪影響が抑えられるとの見方が出た。インドとパキスタンが停戦で合意するなど地政学リスクに対する警戒がやや和らいだのも投資家心理の支えとなった。
 
銅先物やアルミニウム先物の相場上昇を背景に、スイスのグレンコアをはじめ資源関連に買いが優勢となった。一方で公益や日用品など、景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄に売りが出た。
 
FTSEの構成銘柄では、金融大手スタンダード・チャータードが9.60%高、資源大手グレンコアが6.08%高、産銅大手アントファガスタが5.77%高と急伸。他方、産金大手フレスニロは5.80%安、同業エンデバー・マイニングは5.49%安、流通大手マークス&スペンサーは3.32%安となった。
 



■ドイツ・フランクフルト株価指数
 
12日のドイツ株価指数(DAX)は3日続伸し、終値は前週末比67.22ポイント(0.28%)高の2万3566.54と最高値を更新した。米中両政府が12日、互いに課している高関税を90日間大幅に引き下げることで合意したと発表した。貿易問題を巡る米中の協議が続くとの観測も支えに、貿易摩擦が世界景気を下押しするとの懸念が後退した。
 
個別では、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが8.19%高、商用車大手ダイムラー・トラックが5.17%高、郵便・物流大手ドイツポストが4.75%高と相場をけん引。半面、防衛大手ラインメタルは5.90%安、エネルギー大手イーオンは4.28%安、不動産大手ボノビアは3.32%安と売られた。
 
 





■フランス・パリ株価指数


フランスの株価指数CAC40は3日続伸し、前週末比1.37%高の7850.10と4月2日以来の高値で終えた。フランスのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンをはじめ消費関連が買われた。製薬のサノフィ株は午後に水準を切り上げ、上昇に転じた。食品のダノン、防衛向けの電子機器システムを提供する仏タレスや保険のアクサが下落した。

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