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【市況】225ドル高と反発、雇用懸念の後退が支え |
5日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、終値は前日比225ドル76セント(0.47%)高の4万7311ドル00セントだった。
この日発表された雇用やサービス業の景況感に関する指標がいずれも市場予想を上回り、投資家のリスク選好度が上昇した。前日に割高感が懸念され売りを浴びた人工知能(AI)関連など、ハイテク株を中心に買い優勢の展開となった。
堅調な決算や業績見通しを発表した銘柄が積極的に買われた。アムジェンは7.8%高、キャタピラーは3.9%高、マクドナルドは2.2%高と、ダウ平均の上昇をけん引した。
5日発表の10月のADP全米雇用リポートで、非農業部門の雇用者数は前月比4万2000人増えた。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(2万2000人増)を上回った。9月分は上方修正された。
5日午前に発表された10月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数は52.4と、市場予想(50.5)を上回った。
市場では「米連邦準備理事会(FRB)による追加利下げの余地を残す程度に、米雇用や景況感の改善がみられた」との受け止めがあった。FRBの利下げ効果の支えとともに雇用や経済の急速な悪化を避けられるとの楽観を誘い、企業収益の改善を期待した買いにつながった。
前日は株式の割高感が強まっているとの懸念から売りが広がっていた。5日朝もハイテク株の下げが相場の重荷となっていたが、売り一巡後は一角が持ち直した。ダウ平均の構成銘柄ではないが、前日夕に好決算を発表した半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が売り先行後に上昇に転じ、2.5%高で取引を終えた。
市場では「前日の相場下落が一段の売りを招く展開にならず、投資家の安心感を誘った」との声が聞かれた。前日はリスク回避姿勢が強まり、代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格が10万ドル台を割り込む場面があったが、5日は10万ドル台を回復し投資家心理を支えた。
米連邦最高裁は5日、トランプ米政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて課した関税措置の合憲性を巡る訴訟の口頭弁論を開いた。複数の判事は合憲性に懐疑的な見解を示していると米CNBCなどが5日に報じた。
市場では関税政策が覆れば自動車など高関税の影響を受けやすい米企業の収益を支えるほか、米国の物価高を抑えるといった見方があった。一方、徴収済みの関税の還付や今後の政策を巡る不透明感を強めるとの観測もあった。判断が下るまでには時間がかかるとみられており、様子を見極めたいとの声も聞かれた。
ダウ平均の構成銘柄ではアムジェンが8%近く上昇した。前日夕に発表した2025年7〜9月期決算が市場予想を上回り、25年12月期通期の収益見通しを引き上げた。5日に四半期決算を発表したマクドナルドも買われた。キャタピラーやスリーエムも高い。半面、ホーム・デポやシャーウィン・ウィリアムズは売られた。
ナスダック総合株価指数は反発した。終値は前日比151.160ポイント(0.64%)高の2万3499.797だった。マイクロン・テクノロジーやブロードコムなど半導体株に買いが優勢だった。テスラやアルファベットも高い。
【シカゴ日本株先物概況】5日の英FTSE100種総合株価指数は続伸した。終値は前日比62.12ポイント(0.63%)高の9777.08と、最高値を10月30日以来4営業日ぶりに更新した。前日の米国株安を受けて前日比で安く始まったものの徐々に下げ幅を縮め、上昇に転じた。
5日の米国市場でナスダック総合株価指数が上げ幅を広げる場面があるなど、米国の主要株価指数が高く推移しており、投資家心理の支えとなった。同日発表された米景気指標を受け、米労働市場の減速などに対する懸念が和らいだことが背景にある。
原油先物に買いが先行し、英シェルなど石油株が上昇した。たばこ株や、英ユニリーバといった日用品関連に加え、建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループなど資本財の一角に買いが入った。朝方は売りが優勢だった金融株が次第に下げ渋ったのも、指数の上昇を支えた。英アストラゼネカを含むヘルスケア関連には売りが優勢だった。
FTSEの構成銘柄では、高級衣料のバーバリーが3.12%高、ホテル大手ウィットブレッドが2.64%高、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループが2.60%高と相場をけん引。一方、医療機器大手スミス・アンド・ネフューは1.69%安、防衛大手バブコック・インターナショナル・グループは1.65%安、投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストは1.60%安と売られた。
5日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前日比100.63ポイント(0.42%)高の2万4049.74で終えた。5日発表された米景気指標をきっかけに米労働市場の減速などに対する警戒感が和らいだ。
米株式市場では、ナスダック総合株価指数が上げ幅を広げる場面がある。米主要株価指数の上昇を支えに投資家が慎重な姿勢を緩め、欧州市場でも株式に買いが増えた。欧州時間の昼過ぎまでは、DAXは前日終値を下回って推移する場面が目立った。
個別では自動車株に買いが集まり、BMWは6.85%高と急伸。ダイムラー・トラックとメルセデス・ベンツも、それぞれ3.72%高、3.54%高となった。半面、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズは8.63%安、分子診断大手キアゲンは3.67%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーは2.05%安で終了した。