東京株式(前引け)=176円高と反発、円安支えに買い流入

6日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前日比176円18銭高の3万7730円67銭だった。
きょう前場は日経平均、TOPIXともに上昇した。前日の米国株市場ではNYダウなど主要3指数が揃って下落。同日発表された週間の新規失業保険申請件数が市場予想を上回り、米景気の先行き不透明感が意識されたほか、トランプ米大統領との関係悪化が表面化したイーロン・マスク氏率いるテスラ<TSLA>が急落し、ともに米株式相場の重荷となった。一方で、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行い、貿易協議の合意内容の履行を確認したことは、投資家のリスク許容度の改善に寄与した。外国為替市場でドル円相場が一時1ドル=143円台後半とドル高・円安に振れるなか、東京株式市場では主力株を中心に買いが優勢となった。日経平均の上げ幅は一時200円を超えた。
トランプ氏と習近平氏は中国によるレアアース(希土類)の輸出規制などを話し合い、関税政策を巡る2度目の米中閣僚級協議を早期に開くことを確認した。両首脳が互いに訪問し合うことでも一致した。トランプ氏は自身のSNSに「とても良い電話だった」と投稿。停滞していた交渉が前進するとの見方が広がり、株買いを後押しした。
きょうの中国株市場では米中交渉の進展期待を買い材料視する動きは限られている。東海東京インテリジェンス・ラボの長田清英チーフストラテジストは「中国国内では米中交渉が進展すると中国政府による景気刺激策への期待がしぼむ面がある」と指摘。そのうえで「日本では中国政府の政策の影響は限られるため、米中貿易摩擦の緩和による世界景気減速への懸念後退を素直に好感する動きが出やすかった」と話していた。
ただ、日本株の積極的な上値追いの動きは限られた。5日のNYダウ工業株30種平均は続落した。この日発表された週間の新規失業保険申請件数が市場予想を上回り、4日発表の5月のADP全米雇用リポートに続いて労働市場の軟化を示す内容となった。米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)とトランプ氏の決裂が鮮明になり、テスラ株が急落した。米労働市場の減速懸念や米政策を巡る先行きの不透明感は東京株式市場でも株価の重荷となった。
後場の日経平均はプラス圏での推移が継続しそうだが、上値の重い展開を想定しておきたい。中国株市場で米中交渉の進展期待を買い材料視する動きは限られるなか、海外市場で米長期金利が強含みの動きとなったことも投資家心理を慎重にさせている。さらに、米関税政策による米国経済の下押し圧力が意識される中、今晩、米国で5月の米雇用統計が発表されることから、これを見極めたいとして積極的に買い進む動きは限定的となりそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは15.34ポイント高の2771.81だった。JPXプライム150指数も反発した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆8081億円、売買高は7億979万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1082。値下がりは473、横ばいは74だった。
業種別では、証券商品先物、金属製品、機械を筆頭に全業種が上昇した。
個別では、トーセイが急伸。キオクシアホールディングス、メルカリ、ジンズホールディングスも大幅高だった。三菱UFJや三井住友などの金融株のほか、三菱重工業、川崎重工業、IHI、任天堂、ソニーグループ、ファーストリテ、メルカリ、アドバンテスト、オリエンタルランドなどが上昇した。そのほか、ダルトンの大量保有を材料視されたトーセイが大幅高、三菱製鋼、ビー・エム・エル、ジンズホールディングスなどが値上がり率上位となった。
一方、レーザーテックやディスコなど一部の半導体関連株が軟調に推移。また、サンリオ、キーエンス、パナソニック ホールディングス、フィックスターズなどが下落した。ほか、2-4月期の失速で25年4月期業績は下振れ着地となったアインホールディングスが急落、インターメスティック、KLab、セレスなどが値下がり率上位となった。
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