前日の米国株市場で主要株指数が高安まちまちであったことから手掛かり材料に乏しく、国内企業の決算発表本格化を前に買いポジションを引き下げるリスク回避の動きが優勢だった。日経平均は前場で一時200円超下げた。
米国を筆頭に世界的な景気回復期待は根強いものの、国内で新型コロナウイルスの感染者数が再拡大傾向にあることや、米中摩擦の先鋭化を懸念するムードも拭えなかった。銀行株が売られる一方、半導体関連セクターの一角などが底堅さを発揮したほか、海運や機械などグローバル景気敏感セクターが買われ下値を支えた。
国内でも朝方は半導体関連株に売りが優勢だった。新年度に入って以降、ファンドなどの益出しやリバランス(資産配分の調整)の売りが続いているとの指摘もあった。
新型コロナウイルスの感染再拡大を巡り東京都は7日、緊急事態宣言に準じる措置を取ることができる「まん延防止等重点措置」の検討に入った。
ただ、感染の再拡大はすでに広く認識されているうえ、こうした規制強化の検討も市場に織り込まれていたようだ。「すでに緊急事態宣言なども複数回経験するなかで、こうした政策が再導入されても材料視しにくい」との声が出ていた。
午後になると日経平均は下げ幅を縮小し、引けにかけて上げに転じる場面もあった。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で日経平均先物が上昇に転じるなか、ファストリやファナック、東エレクなどの値がさ株が上昇幅を拡大し、指数を押し上げた。
市場では「米10年物国債の利回りが1.6−1.7%で高止まりするなか、米国株も不安定な値動きで、一部の機関投資家は利益確定売りを出しているようだ」との声が聞かれた。