
前日の米株式市場では、長期金利の低下を背景にNYダウが反発したものの、ハイテク株は
軟調でナスダック指数とフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が下落した。これを受けた東京株式市場は値を下げてスタート。
一時1ドル=144円90銭台に円高が進行したことを受け、日経平均株価は午前10時過ぎに270円を超える下げとなり3万7400円台まで下落した。半導体関連株などに利益確定売りが膨らんだ。
内閣府が16日朝発表した1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値が4四半期ぶりのマイナス成長となり、投資家心理の重荷になった。ただ、売り一巡後は下値を拾う動きが強まり、下げ渋る展開。日経平均株価は後場に入り一時プラス圏に浮上した。週末で積極的な売買が見送られるなか、大引けにかけ一進一退が続き、結局小幅安で取引を終えた。
チャート分析上でこのところ上値抵抗線として意識されている200日移動平均線(3万7856円、16日時点)に接近した場面では、戻り待ちや利益確定目的の売りに押されやすかった。一方、日経平均は午後の取引で小幅ながら一時上昇に転じた。トランプ米政権が「相互関税」を発表した4月初旬に日経平均は急落したが、「その後の急速な戻り局面で買い遅れている投資家は多いとみられ、株価の下落局面では買いたい投資家が多かった」ようだ。
東京株式市場でも半導体株やAI関連株の一角が売られた。米小売売上高などの経済指標が予想を下回ったことからドル売りが先行、輸出採算の悪化を警戒した売りも散見された。しかし、積極的に売り込む動きは限られ、反対に押し目がないまま相場は上昇してきただけに、節目の3万7500円を割り込むと、押し目待ち狙いの買いが入ったようだ。
国内では決算発表を一巡し、投資家の関心は再び企業から米中貿易交渉や関税による米景気の行方に移っていきそうだ。目先は交渉の進捗などを見極めながら、次なる上昇に向けての準備期間と位置づけ、押し目買いスタンスで望みたいところだろう。