朝方から売りが先行し、日経平均は終始前日終値を下回る水準で推移した。前日の米国株市場では3月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え様子見の地合いとなり、NYダウがわずかながら続落となった一方、ナスダック総合株価指数は続伸するなど高安まちまちだった。これを受けて東京株式市場でも積極的な買いは見送られ、足もと持ち高調整の売りが優勢となった。米長期金利が上昇一服していることはポジティブ材料ながら、外国為替市場では円安にも歯止めがかかっており、中東での地政学リスクも意識されるなか、主力ハイテク株の方向性が定まりにくかった。
イスラエルと対立するイランが原油輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖する可能性があると伝わり、投資家のリスク回避姿勢が強まった。日本時間今夜に3月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、取引終了にかけては発表後の相場変動を警戒する持ち高調整の売りで、日経平均は下げ幅を広げる場面があった。
日銀の植田和男総裁が10日午前、衆院財務金融委員会に出席し今後の金融政策運営について、見通し通りに基調的物価上昇率が上がっていくのであれば「ところどころで金融緩和の度合いを縮小していくということが適切になるという風に考えている」などと発言したが市場の反応は限定的だった。
輸送用機器や保険業、医薬品などの下げが目立った。半面、米ハイテク企業が相次いで日本でデータセンターへの設備投資を拡充する見通しから将来的に電力消費が増えるとの思惑が強まり、東電HDなど電力株が軒並み上昇した。
注目の米CPIについては、総合指数とコア指数の前月比の伸び率が小幅な鈍化が想定されており、CPIを受けた為替相場の動きに注目が集まっている。利下げ時期の後ずれは織り込まれてきていると考えられ、アク抜け的な動きに期待したいところであろう。