
きょうはリスク回避目的の売りが先行した。前週末の欧米株市場は高安まちまちの展開で、特に弱気に傾くような地合いではなかったが、21日に米国がイランの核施設に軍事攻撃を仕掛けたことを受け、これが投資家のセンチメントを冷やす格好となった。
イラン側も報復措置としてホルムズ海峡の封鎖などを行う可能性があり、原油価格の高騰などで世界経済への影響が及ぶことへの懸念が売りを誘った。
日本時間23日にはニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の期近物が高騰する場面があった。市場では「日本はエネルギーを輸入に頼っているので、原油高は貿易赤字が拡大して通貨安につながりやすいほか、企業業績にも影響する」との見方が聞かれた。
ただ、下値では押し目買い意欲が活発で日経平均はフシ目の3万8000円台を下回ることなく下げ幅を縮小、結局0.1%強の下げにとどまっている。半導体関連の一角が軟調だったが、全体への影響は限定的だった。為替市場では1ドル=147円台まで円安が進み、これが全体相場を支えた面もある。なお、売買代金は4兆円を下回るなど低調だった。
ただ、原油価格が上昇し、有事のドル買いも進むなか、外国為替市場で円相場が対ドルで1ドル=147円台前半まで下落すると指数は急速に下げ渋り、先物主導で下げ幅を縮小した。
さて、東京株式市場はショックへの耐性が備わりつつあり中東情勢緊迫化でも下値は限定的に。昨日に投開票が行われた東京都議選で自民党が大敗したものの、この自民離れは事前に予想されていたことで相場への影響は見られなかった。中国上海株などアジア株の一角が堅調に推移しており株式の強さが改めて確認できるような1日となっている。