きょうは大荒れの地合いとなった。前日の米国株市場ではナスダック総合株価指数は続落歩調となったものの、NYダウが上げ幅は限定的ながら7日ぶりに反発し、下げ止まる動きをみせた。これを受け日経平均は、朝方は空売り筋の買い戻しなどが利いて高く始まった。しかし、それに続く実需の買い意欲に乏しく、その後はすぐに値を消し下値を模索する展開に変わった。半導体関連株への売り圧力が強く、全体相場を押し下げる形に。緊迫化する中東情勢に加え、日本時間午後に発表されたオランダの半導体製造装置大手ASML<ASML>が発表した2024年1〜3月期決算で売上高が市場予想を下回った。半導体製造装置の需要拡大期待が後退し、取引終了にかけ関連銘柄には売りが膨らんだ。
半導体と製造装置需要の先行きに対する懸念からレーザーテクやアドテスト、スクリンなど関連株が取引終了にかけ下げ幅を広げた。市場関係者は「半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)の決算を18日に控えていることも警戒感を強めた」と話した。
日経平均は自律反発狙いの買いが先行し、朝方は上昇する場面があった。ただ、買い一巡後は次第に売りに押される展開だった。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は16日、金融政策について「必要な限り現在の引き締め的な水準を維持する」とインフレ抑制に時間がかかると発言し同日の米長期金利が上昇した。国内債券市場でも長期金利が上昇傾向にあることから足元のバリュエーション(投資尺度)の水準を維持するのが困難との見方が強まった。
日経平均は前日の3万8500円割れ、本日の3万8000円割れと下落基調が続いているだけに、中東情勢がさらに悪化すれば、もう一段安もあるとの声も聞かれ始めるなど、先行き懸念が強まりつつある。また、米国の早期利下げ観測も後退しているだけに、米金利上昇が一段と強まれば、米国株の不安定さから東京株式市場にもネガティブ材料になるとの見方も増え始めるなど不安心理が増幅し始めている。