きょうはリスク回避目的の売り圧力が先物主導で増幅され、日経平均株価は一気に水準を切り下げた。一時は800円を超える急落で3万7900円台まで下押す場面もあった。欧州の政局不安などを背景に海外投資家と思われる売りが225先物を絡め高水準となり、全体指数を押し下げる格好となった。日銀による大規模金融緩和策の転換への思惑が外国為替市場で円高に誘導し、これも輸出セクターを中心に逆風となった。値下がり銘柄数は後場になってやや減少したが、プライム市場全体の77%の銘柄が下落する個別株ベースでも売り圧力の強い地合いだった。また、売買代金は3兆6000億円台で前週末のメジャーSQ算出日を除けば、6営業日連続で4兆円台を下回っている。
前週末14日のNYダウ工業株30種平均は下落した。米景気減速や極右政党が台頭するフランスの政治情勢を懸念した売りが優勢となった。欧州の株急落も重荷となり、東京市場では自動車や機械、商社などに売りが出た。欧州投資家によるリスク回避に伴う持ち高調整の売りも観測された。
日経平均は下げ渋る場面もあった。節目の3万8000円に近い水準では日本株の先高観に期待した押し目買いが入った。
米国景気の減速や欧州政局不安という悪材料を複合的にとらえられ、短期筋などによる先物売りが強まった形だろう。関係者からは「米国や中国に比べ、欧州の影響は日本経済にとって限定的で、欧州政局の不安を背景にした株安の動きは早晩落ち着くだろう」との声も聞かれる。今週から月末にかけて約7兆円超の配当の支払いがピークを迎えるため、配当の再投資への需給が相場を下支える可能性もあるため、押し目買いや値ごろ買いも入りやすいだろう。