きょうはリスク回避目的の売りが朝方から噴出した。外国為替市場の円高にリンクさせた先物主導の売り仕掛けが効いて、朝方は日経平均が1000円以上水準を切り下げ、3万5000円台攻防を意識させた。
しかしその後は下げ渋り、特に後場に入ってからの戻り足が顕著だった。前週末の米国株市場では8月の米雇用統計発表を受けて米景気のソフトランディング期待が弱まり、リスクオフの流れのなか半導体大手エヌビディア<NVDA>などが売られ、市場センチメントを冷やす格好となった。外国為替市場では円高方向に振れ、東京市場では、これも輸出ハイテク株などにデメリットとなっている。ただ、取引時間中にドルが買い戻され、円安方向に押し戻されたことで株式市場の戻り足に貢献した。前引け時点ではプライム市場の約80%の銘柄が下落していたが、大引け時点で値下がり銘柄は65%まで減少した。
日本時間9日午後の取引で、米ナスダック100指数の先物「Eミニ・ナスダック100」がプラス圏で推移したことや、円相場が一時1ドル=143円台まで下落したことで、投資家心理がやや改善した。円高一服に合わせるように、海外短期筋が株価指数先物に断続的に買いを入れたことも相場の下値を支えた。
市場では「朝方の急落からの戻りが早いため、ポジション調整で国内の年金基金などが買い戻しているとの観測が出ている」との指摘もあった。
米国景気の後退懸念がくすぶるなか、為替相場の動向に左右されている。今週は11日に8月の米消費者物価指数(CPI)や13日には9月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表を控えているだけに、指標を受けた為替や米国市場の動きには引き続き警戒する必要があるだろう。また、国内でも週末には9月限の先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出日を控えている。ロールオーバーが中心になるものの、大きな変動に対してはヘッジ対応の売買に振らされやすくなるだろう。