朝方は、9日の米国株式市場でハイテク株が下落した流れを受け、グロース(成長)株中心に売りが先行した。持ち直す場面もあったが、買いは続かず、再び軟化した。
後場入り後は、株価指数先物売りを交えて下げ幅を拡大した。11月の米消費者物価指数(CPI)の発表を見極めたいとの雰囲気から、大引けにかけては一部の投資家が持ち高調整の売りを膨らませて一段安となり、下げ幅を300円超に拡大する場面があった。
岸田文雄首相が意欲を示してきた金融所得課税について、10日に正式決定する2022年度与党税制改正大綱に「総合的な検討」を明記する方針が伝わり、投資家心理に水を差したとの声が聞かれた。香港ハンセン指数などのアジア株相場が総じて下落したことも重荷だった。
11月の米CPIは、足元のインフレ圧力を確認するうえで注目度が高い。米連邦準備理事会(FRB)の利上げに対する姿勢にも影響を与えるとみられ、発表を控えていったん持ち高調整の売りを出す動きにつながった。
市場からは「米CPI発表を前に手控え気分だ、上値が重く、新規買いは入らない。『オミクロン』不安で下落したが、その前の水準には戻せず、まだ懸念材料として残っている状態だ」との声が聞かれた。
なお、この日算出の日経平均先物・オプション12月限のメジャーSQ(特別清算指数)値は2万8523円30銭。
JPX日経インデックス400は続落した。東証株価指数(TOPIX)も続落し、前日比15.31ポイント安の1975.48で終えた。
東証1部の売買代金は概算で2兆6680億円。売買高は11億1409万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1607と、全体の7割超を占めた。値上がりは481、変わらずは95だった。