前日発表された米国の雇用関連や景況感指数など経済指標の大幅悪化を嫌気、NYダウの下げに追随して売り先行で始まった。しかし、寄り後は下値抵抗力も発揮し下げ幅を徐々に縮小、後場に入るとプラス圏に切り返した。
欧米で経済活動再開の動きが出ていることや、4月の中国貿易収支が改善傾向をみせていることなどを手掛かりに押し目買いや空売り買い戻しの動きを誘発、全体株価を支えた。前日の米株市場で半導体セクターが買われた流れを引き継いで、半導体製造装置関連株などが上昇して全体を牽引した。
昼ごろ発表の4月の中国貿易統計(米ドル建て)は輸出額が前年同月比3.5%増となり、3月(速報値)の6.6%減から増加に転じた。各国に先駆け、新型コロナの感染拡大が収束したとみられる中国での経済活動の回復を示すものとして、好感した買いが入った。
都内の6日時点の新規感染者数は38人と、4日連続で100人を下回った。国内の感染拡大に鈍化傾向がみられるなか、経済活動の早期正常化への期待も相場を支えた。
一方で、米民間雇用サービス会社ADPが6日発表した4月の全米雇用リポートで、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は前月から2023万6千人減少した。国内の大型連休中に発表されたその他の米経済指標も軒並み悪く、新型コロナによる経済への悪影響が改めて意識され、売りを促した。新型コロナの発生源などを巡り米中両国の対立が激化するとの懸念も上値を抑えた。日経平均は朝方、前営業日比150円超下げる場面もあった。取引時間中を通じて方向感に乏しい展開だった。
前日の米国株安や1ドル=106円台前半の円高が売り材料となった。日経平均は1日に574円安と急落しており、「大幅安の後の割には押し目買いが少なかった」と、投資家の慎重な姿勢を指摘する声が聞かれた。新型コロナウイルス拡大を受けた政府による緊急事態宣言が5月末まで延長されたため、「投資家心理は冷え込んだままだ」という。
JPX日経インデックス400は続落した。終値は前日比38.24ポイント安の1万2779.18だった。東証株価指数(TOPIX)も続落し、4.53ポイント安の1426.73で終えた。
業種別TOPIXは空運、保険などが大幅に下落した半面、電気機器や建設、医薬などは上昇した。
東証1部の売買代金は概算で2兆2877億円。売買高は13億5134万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1118銘柄。値下がりは989、変わらずは64銘柄だった。