新型コロナウイルスの感染拡大による経済の悪化懸念が強まった。前日に米国株が大幅下落したことで市場心理が悪化し、短期筋による売りが主導した。下落幅は一時400円を超え、取引時間中としては8日以来2週間ぶりに1万9000円を割り込む場面もあった。
21日の米原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)6月物(22日から期近)が急落。原油先物相場の下落が止まらない状況を受け、新型コロナウイルスの感染拡大による経済の悪化懸念が強まった。前日の米国株の大幅下落で市場心理が悪化し、短期筋による売りが広がった。
ただ、下値では買いも入り、日経平均が1万9000円を割り込んで以降は押し目買いも断続的に入り、相場を下支えした。東証株価指数(TOPIX)の下落を受けて日銀による上場投資信託(ETF)購入観測が浮上した。下げ幅は取引終了にかけて縮まった。
日経平均株価を対象としたオプション価格から算出する日経平均ボラティリティー・インデックスは一時45.24と、6日以来の水準まで上昇した。
米国のシェールオイル産出企業が発行した社債や、中東の産油国の国債で利払いや償還に支障が出れば、信用不安が広がって世界の金融市場が混乱する恐れもある。投資家はしばらく、原油価格の動向に神経をとがらせることになりそうだ。
市場関係者は、日経平均株価は一時1万9000円を下回った。「貯蔵場所に困るほど原油の需要が落ち込んでいることが、景気の悪化を強く印象付けた」といい、株式など値下がりリスクのある資産から資金を引き揚げる動きが再び強まった。
原油価格の急落で損失が膨らんだ投資家は、どこかで損失を取り戻す必要があり、最近順調に値を戻していた一部の半導体株などに売りを出しているようだ」と推測する。
JPX日経インデックス400は続落。終値は前日比74.32ポイント安の1万2625.15だった。TOPIXも続落し、8.99ポイント安の1406.90で終えた。
東証1部の売買代金は概算で2兆829億円。売買高は12億4729万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1629と、全体の約75%を占めた。値上がりは496、変わらずは43銘柄だった。