きょうは日経平均が朝方高く始まった後も先物主導で一貫して下値を切り上げる展開で、3万2000円台半ばで高値引けとなる終始リスク選好ムードの強い地合いだった。前日の米国株市場では、物価指標の発表を受けて金融引き締め長期化への警戒感が後退、米長期金利の低下を背景にハイテク株を中心として買いが優勢となり、これを引き継いで東京株式市場でも半導体関連株を主軸に全体相場が押し上げられる形となった。
岸田政権が半導体基金に3.4兆円を要求しているとの報道も支援材料となった。
あすのオプションSQ算出を前に損失確定目的の空売り買い戻しを誘発、後場の取引では、先物に引っ張られる格好で日経平均は一貫して水準を切り上げる動きとなった。値上がり銘柄数は全体の7割強を占めた。また、売買代金は5営業日ぶりに4兆円台に乗せている。
高値圏では一進一退となる場面も多かった。今週の日経平均は一方的な上昇が続いており、上値では相場過熱を警戒した利益確定売りが出た。市場では、国内機関投資家による持ち高調整の売りも観測されていた。
日経平均は9月15日の高値(3万3634円31銭)から10月4日の安値(3万0487円67銭)までの下げ幅の半値戻しを達成したことから、全値戻しも期待できると話す向きも出始めるなど、投資家に強気姿勢が広がりつつある。
ただ、前日、本日とも相場上昇の主因は米長期金利の低下が引き金になっているだけに、米国のインフレ鎮静化の進展度合いが最大の関心事で、今夜発表の米CPIの結果が注目されている。CPIが想定外に大きく上昇するなら、再び利上げ長期化観測が台頭し、世界的に株価波乱が起こる可能性も残るだけに警戒が必要だろう。