3日の米国株は、強い内容となった1月雇用統計や、決算を発表したアマゾンの大幅安などを嫌気して下落した。ただ、日本株はアマゾン株の下落などは織り込み済みで、為替市場でドル高・円安が進行したことや、日銀後任総裁に関する観測報道が出てきたことを好感した買いが入った。
寄り付きから200円を超える上昇となり、早い時間に上げ幅を300円超に拡大。2万7800円台に乗せたところでは萎んだものの、盛り返して前場は高値圏で終えた。政府が雨宮正佳副総裁に総裁就任を打診したとの観測報道を受けて日銀の政策修正に対する警戒が後退し、金融株以外は買われる流れとなった。
一方、後場は円安一服感が出てきたことから、伸び悩んで上げ幅を縮小。グロース株などには目先の利益を確定する売りも出てきた。結局、3桁の上昇とはなったものの、2万7700円を下回り安値圏で取引を終了した。
日銀の緩和姿勢が続くとの見方から円相場が1ドル=132円台まで下落し、トヨタなど自動車株は輸出採算の改善を期待した買いで上昇した。しかし、日本でもインフレが顕著になるなかで、次期総裁のもとでも金融緩和策の修正を徐々に進めるという観測は根強い。円安進行が一服し、長期金利が上昇すると日本株の上昇の勢いも鈍った。
前週末の米株式市場では1月の米雇用統計が労働需給の逼迫を示す内容となり、米利上げの早期停止期待が後退。米長期金利の上昇と日米のハイテク株売りを促し、東エレクなどの下落が日経平均の重荷となった。日経平均が心理的節目の2万8000円に接近するにつれ、戻り待ちの売りも出やすかった。
市場からは「後場は、円安が一服し、売りに傾いた。日経平均2万8000円をにらむ水準は戻り売りが増えてくるレベルであり、上値が重くなってくる。決算発表が相次ぐなか、多くは上値を買い進めるような業績内容が期待できず、しばらくもたつく可能性がある」(準大手証券)との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は続伸し、前週末比8.96ポイント(0.45%)高の1979.22で終えた。
ジーテクト、23年6月期業績予想を上方修正したが市場コンセンサスを下回ったテクノプロHDが軟調な展開となった。アドテスト、エムスリーが下落した。