
前日11日の米国株式市場はまちまち。ADPが発表した民間雇用統計は人員削減を示す低調な結果となり成長懸念も強まったが、利下げ期待に支えられたほか、議会上院のつなぎ予算案合意により政府機関再開のめどがつき期待感にダウは続伸し終盤にかけ上げ幅を拡大した。ナスダックは終日軟調に推移しまちまちで終了。
米株市場を横目に、12日の日経平均は反発して取引を開始した。寄り付き直後一時は300円ほど下げたが、円安基調も支援して輸出関連銘柄中心に買いが続いた。後場の始まりはマイナス圏からスタートとなったが、じりじりと下げ幅を縮小してプラス圏に再度浮上、結果的に5万1000円を超えて取引を終了した。
日経平均株価が昨日小幅ながら下落したことから、押し目狙いの買いも入りやすかった。また、ソフトバンクグループ(SBG)や国内半導体関連株の下落が日経平均株価の重しとなるなか、国内主要企業の4-9月期決算発表が続いており、好決算・好業績銘柄への物色意欲が下支え要因となった。そのほか、TOPIX(東証株価指数)は大幅高となっており、幅広い銘柄がプラス圏で推移した。
フジクラは前週の決算発表を経て証券アナリストから強気の見方があらためて示されており、株価は朝安後に切り返した。ソニーGも上昇した。業種別では医薬品や銀行の上げが目立った。人工知能(AI)・半導体関連と比較した出遅れ感などに着目した買いが入った。
外国為替市場では米政府機関の閉鎖が近く解除され、米景気の減速懸念が和らぐとの見方から円が売られた。対ドルでは一時1ドル=154円台後半と、2月以来の円安・ドル高水準を付け、輸出関連銘柄にとって支えになった。
一方、SBGは朝方に一時10%下げて相場の重荷になった。11日に発表した2025年4〜9月期の連結決算(国際会計基準)で純利益はAI関連企業などに投資するビジョン・ファンド事業の好調でこの期間として過去最高だったが、「目先の材料が出尽くした」との受け止めが市場では広がった。SBGの下げはその後一服し、後場に入って一段と下げ幅を縮めると日経平均は大引けにかけて強含むなど、一日を通じてSBGの動向に左右される展開となった。SBGは大引けでは3.45%安だった。前日の米半導体関連株安の流れを引き継いで東エレクやアドテストも下落した。