きょうはリスク回避ムードの強い展開を余儀なくされた。前日の米国株市場では雇用指標の発表を受け米長期金利が低下、NYダウ、ナスダック総合株価指数など主要株価指数が揃って上昇したものの終始不安定な値動きだった。為替市場では米金利低下を背景に一時ドル売りに拍車がかかり、1ドル=154円台まで円高が進行したことも警戒された。一方、取引時間中は一貫して円安方向に振れたのだが、全体相場は特にこれを好材料視する動きは見られなかった。半導体関連の一角に大口の売りが浴びせられ、これも市場センチメント悪化につながっている。また、世界景気の先行きに対する不透明感が投資家の気勢を削いだ。値下がり銘柄数は1200を超え、プライム市場全体の76%の銘柄が下落する売りニーズの強い地合いだった。
前日の米株式市場で主要な米半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が下落したのを受け、東京市場でも半導体関連に売りが膨らんだ。海外の空売り投資家から業績面などでの疑問が指摘されたレーザーテクは7.5%安と7日続落した。東エレクとアドテストも下げた。
4日発表の米雇用関連指標で求人件数が減少したのを受け米長期金利が低下し、5日の国内債券市場でも長期金利が低下して1%を下回る場面もあった。これまでの金利上昇局面で買われてきた保険や銀行といった金融株には利益確定売りが膨らんだ。世界景気の先行き不透明感から自動車や鉄鋼など景気敏感株も下げた。
日本時間今夜の米国市場では5月のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)全米雇用リポートとサプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数の発表を控える。来週11〜12日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて米連邦準備理事会(FRB)高官が公の場で金融政策に関する情報発信を控える「ブラックアウト期間」にも入っている。米国では市場予想を下回る経済統計の発表が増えており、日本株についても積極的に押し目買いを入れる展開にはなりにくかった。ニチレイやイオンなど景気動向に左右されにくいとされるディフェンシブ株の一角には買いが向かった。