前日のNYダウが一時1600ドルを超える急騰をみせるなど、リスクオンの流れが加速したことを受け、きょうの東京株式市場も大きく買いが先行して始まった。
米国では製薬大手のファイザーが新型コロナウイルスのワクチン開発の臨床で好結果を得られたことを発表、これが強気相場を後押しする格好となった。
これまで売り込まれていた銘柄が買い戻される一方、先駆して買われていたハイテク株などは売りに押されナスダック総合指数は大きく下げる展開となっており、東京株式市場でもこの資金シフトの動きが反映される形となった。
景気が回復するとの期待から朝方に一時、前日比400円超高まで上昇。約29年ぶりに取引時間中に2万5000円台を回復した。
値上がりが目立ったのが、旅客需要の持ち直しが期待された空運株や電鉄株。また、「ワクチンが普及すれば世界的に景気は拡大基調に入る」との見方から、鉄鋼や金融などの景気敏感株も買われた。
ただ、心理的な節目の2万5000円を上回ったことで成長株を中心に利益確定売りが出て、午後には下落に転じる場面もあった。日経平均は11月に入ってから1862円高(9日終値時点)と急ピッチで上昇しており、高値警戒感からの売りも出たようだ。
市場からは「急速な株高の揺り戻しによる売りと景気回復期待の先高観からの買いが交錯し、不安定な値動きになった」との見方があった。
JPX日経インデックス400は続伸。終値は前日比207.37ポイント高の1万5376.09だった。東証株価指数(TOPIX)は続伸し、18.90ポイント高の1700.80で終えた。
売買は活況となり、東証1部の売買代金は概算、4兆746億円で、5月29日以来およそ5カ月半ぶりの高水準。売買高は20億6535万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1337と、全体の約6割を占めた。値下がりは788銘柄、変わらずは54銘柄だった。