前日の米株式市場で主要な株価指数が年初来高値を付けた流れを受け、朝方は幅広い銘柄に買いが先行した。上げ幅は300円を超える場面があった。
朝方リスクオンムードのなか、日経平均が寄り付きに300円を超える上昇でフシ目の3万3000円台を回復してスタートした。前日の米国株市場でNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに上昇し、揃って年初来高値更新と好調が続いており、相対的に出遅れる日経平均は水準訂正を期待した買いが優勢となった。米国では来年の早期利下げ観測が強気の拠りどころとなっており、東京株式市場でもこれに追随する動きとなったが、国内で政局不安が台頭していることが全体相場の重荷となった。外国為替市場では取引時間中に円高方向に傾き、これも輸出株の一角などに逆風材料となり指数を押し下げた。
主要半導体銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)などが年初来高値を付けた。東京市場では東エレクやアドテスト、スクリン、ルネサスなど半導体関連に買いが優勢となり、相場を押し上げた。日銀が現行の金融緩和策の早期修正に動くとの警戒がいったん後退したことも相場の支えとなった。
日経平均は前日終値近辺まで伸び悩む場面があった。自民党安倍派(清和政策研究会)の資金還流疑惑を巡り、12日には岸田文雄首相が14日にも4閣僚を更迭する見通しだと伝わった。金融緩和策の継続を求める「リフレ派」を推進したことで知られる安倍派の発言力が薄れることで金融経済政策の方向性が変わるとの思惑が相場を下押ししたとの声が聞かれた。
12日は11月の米消費者物価指数(CPI)、13日は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控え、積極的な売買が手控えられた側面もあったようだ。
米CPIの結果は、今夜から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)における最新の判断材料ともなるだけに、インフレの低下が確認され、来年の早期利下げ観測を後押しするものになるのかがポイントだ。総合指数は前年比で前回からやや鈍化、コア指数は横這いと予想されている。また、翌日にはFOMCの結果も判明するため、積極的に売り買いを仕掛ける投資家は少なく、選別色の強い展開が続くだろう。