きょうはリスク選好の地合いだった。前日の欧州株市場で主要国の株価が上昇、米国株市場でもハイテク株中心に買われ、NYダウが3日続伸、ナスダック総合株価指数も続伸するなど強さを発揮したことで、投資家心理が改善した。米金融引き締めが長期化することへの警戒感が後退する一方、外国為替市場で円相場が1ドル=146円台後半まで下落し、前日比で円安・ドル高に振れたのも輸出株を中心に相場の支えとなった。
国内では日銀の政策変更思惑から長期金利が上昇傾向にあり、これがグロース株に重荷となる場面もあったが、後場は日経平均が上げ幅を広げ、結局この日の高値圏で着地した。半導体関連や総合重機メーカーを除き主力どころも総じて高く、値上がり銘柄数はプライム市場の76%を占める買い気の強い相場だった。
12日午前の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時0.720%と9年8カ月ぶりの水準に上昇した。金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすいグロース(成長)株には逆風で、日経平均は上げ幅を縮小する場面があった。その後、長期金利の上昇が一服すると日経平均は再び強含み、この日の高値圏で引けた。
市場では「円安基調が続くなか、2023年4〜9月期の企業決算発表で通期見通しの上方修正が増えるとの期待から、海外勢が先回りして買いを入れているようだ」との声が聞かれた。海外勢は引き続き低PBR(株価純資産倍率)企業の改革に対する関心を持っていることも日本株への資金流入につながっているとの見方もあった。
日経平均は反発したが、自律反発の域を抜け出ていないとの見方が多い。植田日銀総裁の金融政策に関する報道を背景に国内長期金利は上昇傾向にある。また。米国でもインフレ高進による利上げ長期化への懸念も完全に拭えていない。米国で13日に発表される8月の消費者物価指数(CPI)を受けた米国市場の動きや、来週に予定される日米の金融政策決定会合の結果を見極めるまでは、積極的な売買は手控えられよう。目先は日米金利や為替動向をにらみながらの動きが続きそうだ。