ウクライナ情勢の不透明感が拭えず投資家心理が弱気に傾いたほか、米国のインフレ加速に対する警戒感やアジア株安も重荷となって先物主導で下げた。
米2月消費者物価指数(CPI)が40年ぶりの上昇となり、インフレ加速への懸念が高まったことも警戒され前日のNYダウは反落した。これを受け、この日の東京株式市場も売りに押される展開となり、日経平均株価は一時700円を超す下落となった。前日の日経平均株価が急上昇した反動で、利益確定による売りが先行し、ハイテク株などを中心に値を下げる銘柄が目立った。ただ、引けにかけやや下げ渋った。為替は一時1ドル=116円70銭台と17年1月以来、5年2カ月ぶりとなる円安が進んだ。
ウクライナとロシアが10日にトルコで開いた外相会談は、ロシアが侵攻を開始してから初めての閣僚級会合だったが、特に進展はなかった。両国の主張の隔たりが依然として大きいなか、週末のウクライナ情勢の悪化に対する警戒も根強く、景気敏感株を中心に売りが膨らんだ。
10日発表の2月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.9%上昇と1月(7.5%)よりも上昇率が拡大し、約40年ぶりの高水準だった。米長期金利が上昇して割高感が意識されたことも、東京市場でハイテク株売りにつながり、香港株や上海株の急落が日経平均の下げを増幅させた。
市場では需給の悪化を指摘する声もあった。日経平均が昨年来高値(3万0670円)を付けてから週明け14日で6カ月、高値近辺で信用買いを入れていた投資家の売りが出やすかった面もあるようだ。
東証株価指数(TOPIX)は反落し、前日比30.49ポイント安の1799.54で終えた。JPX日経インデックス400も大幅反落した。
東証1部の売買代金は概算で3兆3145億円。株価指数先物・オプション3月物のSQ(特別清算指数)算出に絡んだ売買もあった。売買高は14億2133万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1707と、全体の約8割を占めた。値上がりは413銘柄、変わらずは60銘柄だった。