朝方はリスク回避ムードとなり、日経平均は短期筋の利益確定の売りで下値を試す展開となった。前日の米国株市場ではFRBのウォラー理事やニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が相次いでタカ派的な発言をしたことで、主要株価指数が揃って下落したが、その地合いを引き継ぐ格好となった。下げ幅は一時180円を超えた。
ただ、下値では押し目買いが活発で寄り後は徐々に下げ幅を縮小させる展開となった。米株価指数先物が堅調な値動きを示していたことで安心感が広がり、国内企業の決算発表が佳境入りとなるなかで、好決算銘柄への買いが全体相場を支える形となった。結局、日経平均は小幅マイナス圏で引けたものの、引け際にプラス圏に浮上する場面もあった。
8日の米株式市場ではハイテク株の下落が目立ち、東京株式市場でも朝方から運用リスクを避ける動きが優勢だった。東エレクやアドテストなど値がさの半導体関連銘柄に加え、エムスリーなどPER(株価収益率)が高いグロース(成長)株に売りが目立った。
米株価指数先物が日本時間9日昼の取引で堅調に推移したことや、中国・上海株や香港株の上昇が支援材料となった。NTTデータや住友鉱など決算発表を手がかりにした個別銘柄への買いも指数を支えた。2023年3月期(今期)の連結業績予想を据え置いたトヨタは、午後の決算発表後に小幅高となった。日経平均は大引け前に一時20円超上げた。
市場では「直近で米国株が大きく値を戻すなか、日本株は戻りが鈍かっただけに、底堅さにつながったようだ」との見方があった。
先週の米雇用統計を受け、米国のインフレ再加速への警戒感がくすぶっているため、関係者の多くは来週の米消費者物価指数(CPI)の動向を確認したいと考える向きが多い。米国の利上げの早期停止観測が後退し、米国市場の下落基調が鮮明になれば、年金基金など国内機関投資家からの売りが膨らむ可能性があり、2万7500円を維持できるかが目先的なポイントになりそうだ。