きょうの東京株式市場は方向感のつかみにくい地合いとなったが、個別株の物色意欲は旺盛で下値では押し目買いが活発で頑強な値動きとなった。前日の欧米株市場が軟調な展開だったことで、目先利食い圧力が表面化したものの、鉄鋼や銀行株などバリュー株への買いが全体相場を支える形に。前場はやや荒い値動きで前引けにかけて先物主導のインデックス売りで値を崩しマイナス圏に沈んだが、後場は前日終値近辺で売り物をこなし、引け際に大口買いが入り、小幅ながら上昇に転じる形で取引を終えている。
鉄鋼や銀行、機械などバリュー(割安)株の上昇が目立った。東証株価指数(TOPIX)の規模別株価指数では小型が0.55%高と大型(0.20%高)の上昇率を上回った。これまで相場をけん引してきた大型のグロース(成長)株からバリュー株や小型株に物色が広がっているとの指摘があった。
午前の日経平均は上昇して始まった。前日の米株式市場でエヌビディアが上昇して終えたほか、アーム・ホールディングスが大幅高だった。東京株式市場では朝方に東エレクやソフトバンクグループ(SBG)などが買われ、午前の日経平均は上げ幅が200円に迫る場面もあった。
11時過ぎに日経平均は株価指数先物の売りが主導する形で急速に伸び悩み、一時は下落に転じた。下げ幅は100円を超える場面があった。年初からの上昇が目立ったアドテストなどが利益確定売りに押された。
きょうはこの全国CPI発表を受けて、微妙に相場の波紋が変わった。前場はハイテク系の銘柄が利食われる展開だった。一方、TOPIXの方は前場から高く、後場も概ね前日終値を上回る水準で推移。これはリターンリバーサルを狙ったバリューシフトの動きで、銀行や鉄鋼などいわゆる低PBR銘柄に資金を振り向ける動きが活発化したためだ。一方、半導体関連に利食い急ぎの動きが出ているわけではないものの、国内金利上昇への警戒ムードも若干は漂う。これについては1月の全国CPIが予想より強かったというよりは、今週29日(日本時間夜)に発表される1月の米PCEデフレーターを意識したものかもしれない。「1月のPCEデフレーターも強めの数字が出る可能性が高い」と指摘され、その場合は米金利上昇につられる形で国内10年債利回りが水準を切り上げるというケースも考えられる。一部資金をバリューシフトする口実にはなるだろう。