日経平均は前日までに5日続落で1500円あまり下落していたとあって、前日の米株式相場の上昇を手掛かりとした押し目買いが優勢だった。ただ、市場参加者の先高観が後退しつつあるなかで戻り待ちの売りを急ぐ動きも目立ち、日経平均は下げに転じる場面もあった。
朝方は主力株をはじめ広範囲に自律反発狙いの買いが先行して始まった。前日の欧州株市場が総じて高かったほか、米国株市場でも景気敏感株が買い戻されNYダウが200ドルあまりの上昇で切り返したことから、東京株式市場でも投資家心理が改善した。幅広い銘柄に自律反発狙いの買いが入りやすかった。
しかし、上値では戻り売り圧力が強く、上げ足は次第に鈍る展開に。外国為替市場で急速にドル安・円高が進行し、輸出セクターを中心に逆風材料となった。
日経平均株価は後場に入ると値を消し、前日終値を下回って推移する場面もあった。
東京外国為替市場で円相場が一時1ドル=140円台半ばと約1カ月ぶりの円高・ドル安水準を付け、自動車など輸出関連銘柄への売りを促した。「これまでの急速な相場上昇のけん引役の1つだった円安基調という前提が崩れるとの懸念が広がっている」との見方を示した。
上場投資信託(ETF)の分配金拠出に伴う売りが前日までで一巡したこともあり、市場心理をやや上向かせる要因になった。また、前日の米国市場でSOX指数が2%超上昇したため、アドバンテスや東エレクなど、半導体関連株にも買い戻しの動きが強まり、日経平均の上げ幅は一時250円を超えた。
円相場が円高傾向に振れているほか、新規の手掛かり材料にも乏しいだけに、次第に模様眺めムードが広がり、前日の終値水準を挟んで一進一退の展開だった。
12日には6月の米CPIの発表が控えている。食料品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比5.0%上昇と5月5.3%上昇から小幅な伸び鈍化が予想されている。また、米ナスダックはナスダック100指数の特別リバランスを実施すると発表している。特定の銘柄に資金が集中し、銘柄間のウエート調整が必要になったためで、14日に詳細が発表され、リバランスは24日の取引開始前に実施されるという。それを受けて米国株が大きく調整するのか見極めたいとの思惑もあるだろう。